1取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。
3第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。
一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役
二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役
三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)
4前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。
この条文の過去問 2肢
結論:この記述は誤り。
商人がその営業の範囲内において寄託を受けた場合には、報酬を受けないときであっても、善良な管理者の注意をもって寄託物を保管しなければならない(商法595条)。「自己の財産に対するのと同一の注意」ではなく、より高度な善管注意義務が課される点が誤っている。
民法では、無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管すれば足りるとされている(民法659条)。無償で他人のために物を預かる者に重い注意義務を課すのは酷だからである。
しかし商人については事情が異なる。商人は営業として反復継続的に物を預かる専門家であり、無償の寄託であっても営業上の信用や将来の取引を期待して引き受けるのが通常である。また、商人の物的設備や能力に対する信頼も存在する。そこで商法は、無報酬の場合であっても善管注意義務を負わせることとして、民法659条の原則を修正しているのである。
したがって、注意義務の程度を「自己の財産に対するのと同一の注意」とする本記述は誤りである。
結論:この記述は誤り。
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、その不足額を支払う義務を負う(会社法52条1項)。ここまでは記述のとおりである。
誤りは、この義務が総株主の同意によっても免除できないとする点にある。会社法55条は、52条1項の規定により発起人等が負う義務について、総株主の同意がなければ免除することができないと定めている。これは裏を返せば、総株主の同意があれば免除することができるという趣旨である。この義務は会社(ひいては株主全体)の利益を保護するためのものであるから、利益の帰属主体である株主全員が同意するのであれば免除を認めてよいと考えられたものである。
なお、募集設立において現物出資者以外の発起人等が責任を免れるためには検査役の調査を経たこと等を要する(52条2項、103条1項)。いずれにせよ、免除が一切できないとする本記述は誤りである。