この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
本問は「誤っているものはどれか」を問うていますので、正しい記述であるこの肢は答えにはなりません。
根拠は会社法52条です。同条1項は、株式会社の成立の時における現物出資財産等(定款に記載・記録された金銭以外の財産、および財産引受けの目的財産)の価額が定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、その不足額を支払う義務を負うと定めています。これは、いわゆる「不足額塡補責任」と呼ばれる、資本充実を確保するための責任です。
そして同条2項は、この責任の免責事由として、(1)現物出資財産等について会社法33条2項の検査役の調査を経た場合、(2)当該発起人または設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合、の二つを掲げています。肢の記述はこの1項本文と2項の例外をそのままなぞったものですから、正しい記述です。
理由づけとしては、現物出資は金銭出資と異なり評価が難しく、過大評価がなされると会社財産の空洞化を招き、他の株主や会社債権者を害します。そこで設立に関与した発起人・設立時取締役に不足額の塡補を負わせつつ、検査役という中立的な第三者の調査を経ていれば過大評価の危険が制度的に排除されているとして免責し、また過失がないことを自ら立証した者も免責する、という制度設計になっています。
ひっかけポイントは、この無過失の抗弁が使えない場面があることです。会社法103条1項は、募集設立の場合には52条2項2号(注意を怠らなかったことの証明)を適用しないとしています。募集設立では設立時募集株式の引受人という一般投資家が関与するため、発起人らの責任がより重く、無過失責任に近づけられているのです。また、現物出資者・財産引受けの譲渡人である発起人自身は、そもそも52条2項の免責を受けられません(52条2項柱書かっこ書)。加えて、この不足額塡補責任は総株主の同意がなければ免除できません(55条)。
結論:この肢は「正しい」。
根拠は会社法52条の2第1項です。同項は、発起人が出資の履行を仮装した場合、株式会社に対し、(1)払込みを仮装した場合には払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払、(2)給付を仮装した場合には給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部の給付(会社がその財産の価額に相当する金銭の支払を請求したときは、その金銭の全額の支払)をする義務を負うと定めています。肢の記述はこの規定に沿っており、正しい内容です。
この規定は平成26年会社法改正で新設されたものです。それ以前は、いわゆる預合いや見せ金といった出資の履行の仮装がなされた場合に、払込みの効力や引受人の地位をどう扱うかについて解釈上の争いがありました。改正法は、仮装をした発起人に会社に対する支払義務・給付義務を負わせるとともに、仮装に関与した他の発起人・設立時取締役も、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しない限り、連帯して同じ義務を負うものとしました(52条の2第2項・3項)。
さらに重要なのが52条の2第4項です。出資の履行を仮装した発起人は、この支払・給付の義務を履行した後でなければ、仮装した出資の履行に係る設立時発行株式について株主の権利を行使することができません。つまり、仮装払込みでも株式引受け自体は無効にならず株主の地位は生じるが、支払をするまで権利行使が凍結される、という構成です。そして5項は、その株式を譲り受けた第三者は、悪意または重大な過失がある場合を除き、株主の権利を行使できると定め、善意の譲受人を保護しています。
ひっかけポイントは、この52条の2の義務も総株主の同意がなければ免除できないこと(55条)、および募集設立における設立時募集株式の引受人についても同様の規律(102条の2、102条3項・4項)が置かれていることです。設立時取締役の責任は無過失の証明で免れうるのに対し、仮装をした発起人本人の責任は無過失責任である点も、対比して押さえておきましょう。