この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
会計帳簿の閲覧謄写請求権に、6か月の継続保有要件はありません。会社法433条1項は、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主、または発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上の数の株式を有する株主は、会社の営業時間内はいつでも、会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧または謄写の請求をすることができると定めています。定款でこの割合を引き下げることは可能ですが、条文が課しているのは持株要件(3%以上)だけであり、保有期間の要件は規定されていません。
この請求をするときは、請求の理由を明らかにしてしなければならず(433条1項後段)、会社は同条2項各号に該当する事由があるときは拒絶できます。拒絶事由には、請求者が権利の確保・行使に関する調査以外の目的で請求したとき(1号)、会社の業務を妨げ株主共同の利益を害する目的で請求したとき(2号)、請求者が会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営みまたはこれに従事するものであるとき(3号)などがあります。3号については、主観的な加害意図や競業に利用する目的がなくても拒絶事由に当たるとするのが判例です(最決平成21年1月15日)。濫用的な請求は、保有期間ではなくこの拒絶事由によってコントロールされている、という構造を理解しておいてください。
ひっかけポイントは、同じ3%要件の他の少数株主権との対比です。たとえば株主総会の招集請求権について、会社法297条1項は、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主に請求を認めたうえで、公開会社ではその議決権を6か月前から引き続き有することを要求しています(公開会社でない株式会社では、同条2項によりこの期間要件は課されません)。これに対し、会計帳簿閲覧請求権(433条)や、業務財産状況調査のための検査役選任の申立て(358条1項)には、3%の持株要件はあっても保有期間の要件はありません。同じ3%の少数株主権でも期間要件の有無が分かれる、この振り分けが問われるのです。
さらに、株主総会招集請求権(297条)、株主提案権(303条2項・305条1項)、取締役の違法行為差止請求権(360条)、役員解任の訴え(854条)などには公開会社について6か月の継続保有要件がある一方、会計帳簿閲覧請求権、定款・株主名簿・議事録の閲覧請求権、各種の会社の組織に関する訴えの提起には期間要件がありません。この振り分けを一覧で整理しておくと、本問のような出題に強くなれます。
結論:この肢は「誤り」。
新株発行無効の訴え(会社法828条1項2号にいう「株式会社の成立後における株式の発行の無効の訴え」)の提訴権者に、6か月の継続保有要件はありません。会社法828条2項2号は、この訴えを提起できる者を、当該株式会社の株主等(株主、取締役または清算人。監査役設置会社では監査役、指名委員会等設置会社では執行役を含む。828条2項1号かっこ書参照)と定めるのみで、株式の保有期間による制限を置いていないからです。新株発行後に株主となった者でも提訴できます。
むしろこの訴えで重要なのは提訴期間の制限です。会社法828条1項2号は、株式の発行の効力が生じた日から6か月以内(公開会社でない株式会社にあっては1年以内)に訴えを提起しなければならないと定めています。ここに「6か月」という数字が登場するため、本問のような出題では継続保有要件と取り違えやすいのですが、これは権利行使者の資格要件ではなく、法律関係の早期安定のための出訴期間です。
新株発行無効の訴えの関連知識も押さえておきましょう。無効判決には対世効があり(838条)、遡及効はありません(839条)。すなわち将来に向かってのみ無効となり、会社は払込みを受けた金額を株主に返還します(840条1項)。無効原因は狭く解されており、判例は、公開会社において取締役会決議を欠く新株発行や、代表取締役が権限なく行った新株発行も原則として無効原因とならないとしつつ(最判昭和36年3月31日など)、株主への通知・公告を欠いたために差止めの機会が奪われた場合には無効原因になるとしています(最判平成9年1月28日)。また、新株発行の差止請求(210条)は単独株主権であり、これにも保有期間要件はありません。
ひっかけポイントは、繰り返しになりますが「6か月」という数字の使われ方です。828条の6か月は出訴期間、847条の6か月は継続保有期間です。数字だけを手掛かりに選ばず、条文がその期間を何のために設けているのかまで意識して覚えてください。本問の正解は肢5です。
附則第二条から第五条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
株主総会決議取消しの訴えの提訴権者に、6か月の継続保有要件はありません。会社法831条1項は、株主総会等の決議の日から3か月以内に、株主等(株主、取締役、監査役、執行役、清算人)が決議取消しの訴えを提起することができると定めるだけで、保有期間や持株数による制限を置いていないからです。決議取消しの訴えは単独株主権であり、1株しか持たない株主でも、また決議後に株主となった者でも提起できます。
決議の当時に株主でなかった者であっても、その後に株式を取得して株主となれば、当該決議の取消しを訴求できると解されています。決議の瑕疵は会社の運営の適正に関わるものであり、現に株主である者に是正の機会を与えるべきだからです。また、判例は、自己に対する招集手続の瑕疵がなくても、他の株主に対する招集手続の瑕疵を理由として取消しを求めることができるとしています(最判昭和42年9月28日)。
ここで重要なのは「3か月」という提訴期間です。会社法831条1項の3か月は除斥期間と解されており、この期間を過ぎると取消しを主張できなくなります。しかも判例は、期間経過後に新たな取消事由を追加して主張することは許されないとしています(最判昭和51年12月24日)。会社の組織に関する法律関係を早期に安定させる趣旨です。
ひっかけポイントは、決議の瑕疵を争う三つの訴えの区別です。決議取消しの訴え(831条)は3か月の出訴期間があり提訴権者も限定されますが、決議不存在確認の訴えおよび決議無効確認の訴え(830条)には出訴期間の制限がなく、確認の利益がある限り誰でも提起できます。取消事由は、招集手続・決議方法の法令定款違反または著しい不公正、決議内容の定款違反、特別利害関係人が議決権を行使したことによる著しく不当な決議、の三類型です(831条1項各号)。いずれについても6か月の保有期間は問題になりません。本問で6か月の継続保有が要求されるのは、肢5の株主代表訴訟です。
結論:この肢は「正しい」。
取締役の責任を追及する訴え、すなわち株主代表訴訟(会社法が「責任追及等の訴え」と呼ぶもの)については、会社法847条1項が、6箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等または清算人の責任を追及する訴えの提起を請求することができる、と定めています。本問の問題文の表現は、この条文の文言をそのまま引いたものです。
手続の流れも押さえておきましょう。株主はまず会社に対して提訴請求を行い、会社が請求の日から60日以内に責任追及等の訴えを提起しないときに、初めて自ら会社のために訴えを提起できます(847条3項)。ただし、60日の経過により会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、直ちに訴えを提起することができます(847条5項)。また、責任追及等の訴えが当該株主もしくは第三者の不正な利益を図りまたは会社に損害を加えることを目的とする場合には、提訴請求をすることができません(847条1項ただし書)。
なぜ代表訴訟にだけ継続保有要件が課されるのかという理由づけです。代表訴訟は単独株主権であり、1株の株主でも会社の役員を被告として訴訟を追行できる強力な制度です。しかも訴訟の目的の価額は算定不能なものとみなされ、手数料は一律とされているため(847条の4第1項)、提訴の負担が小さい。そこで、訴訟を起こす目的だけで株式を買い集める濫用を防ぐため、6か月の継続保有という時間的な絞りをかけたのです。
ひっかけポイントと関連知識を挙げます。第一に、この6か月要件は公開会社についてのものであり、公開会社でない株式会社では継続保有要件は不要です(847条2項)。非公開会社では株式の譲渡自体が制限されており、濫用目的での取得が想定しにくいためです。本問が冒頭で「公開会社の株主であって」と限定しているのはこの点を踏まえたものです。第二に、定款で6か月を下回る期間を定めることはできますが、上回る期間を定めることはできません。株主に不利な変更は許されないからです。第三に、6か月の継続保有要件は代表訴訟だけでなく、株主総会の招集請求(297条1項・2項)、株主提案権のうち議題提案権および議案要領通知請求権(303条2項、305条1項ただし書)、取締役の違法行為差止請求権(360条1項・3項)、役員解任の訴え(854条1項・2項)などにも課されています。逆に、会計帳簿閲覧請求(433条)、各種の会社の組織に関する訴えの提起(828条、831条)、募集株式発行の差止請求(210条)には期間要件がありません。この振り分けが本問の実質的な出題意図です。なお、平成26年改正で導入された多重代表訴訟(特定責任追及の訴え、847条の3)でも、最終完全親会社等の株主に6か月の継続保有要件が課されている点も、関連知識として押さえておきましょう。