1会社は、その名称を商号とする。
2会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。
3会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
本問は「誤っているもの」を選ぶ問題ですから、正しい記述である本肢は正解肢ではありません。
根拠条文は会社法107条1項1号と108条1項4号です。107条1項1号は、株式会社は「その発行する全部の株式の内容として」、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨を定款で定めることができるとしています。他方、108条1項4号は、内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合に、その一部の種類の株式についてのみ譲渡制限を付すことも認めています。つまり、全部の株式に一律に付す方法と、種類株式の内容として一部に付す方法の両方があるわけで、本肢はこの両方を正確に述べています。
理由づけとしては、株式は本来自由に譲渡できるのが原則(会社法127条)ですが、中小の同族会社などでは、望まない者が株主として経営に参加してくることを防ぐ必要があります。そこで会社法は、定款自治により譲渡による取得に会社の承認を要する仕組みを認めました。発行する全部の株式が譲渡制限株式である会社は「公開会社でない会社」(非公開会社。2条5号の反対解釈)となり、取締役の任期を10年まで伸長できる(332条2項)、総株主の半数以上であって総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数による特殊決議を経て株主ごとに異なる取扱いをする属人的な定めを置ける(109条2項、309条4項)、募集株式の発行を原則として株主総会特別決議で行う(199条2項、309条2項5号)など、多くの規律が公開会社と異なってきます。
ひっかけポイントは、定款変更によって既存の株式に譲渡制限を新たに付す場合の決議要件です。この定款変更は株主の投下資本回収の機会を制約するため、通常の特別決議ではなく、議決権を行使できる株主の半数以上であって当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数による特殊決議が必要とされ(309条3項1号)、反対株主には株式買取請求権が認められます(116条1項1号)。設定の場面と、すでに設定済みの株式を譲渡する場面を混同しないようにしてください。
結論:この肢は「正しい」。
会社法136条は「譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる」と定めています。本肢はこの条文をそのまま述べたもので、正しい記述です。
理由づけとしては、譲渡制限株式であっても株主の投下資本回収の途を完全に塞ぐことは許されないため、会社法は、譲渡前にあらかじめ会社の意思を確認できる手続(事前の譲渡等承認請求)を株主に保障しました。会社が承認しない旨を決定した場合でも、株主が請求の際に「承認しないときは会社または指定買取人が買い取ることを請求する」旨を併せて求めていれば(138条1号ハ)、会社は自ら買い取るか(140条1項、株主総会特別決議。309条2項1号)、指定買取人を指定しなければなりません(140条4項)。これにより株主は換価の機会を確保できます。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、条文の括弧書のとおり、譲渡の相手方が発行会社自身である場合は136条の対象外です。会社が自社株を取得するのは自己株式の取得の問題であり、155条以下の財源規制・手続規制に服します。第二に、会社が譲渡等承認請求の日から2週間(定款で短縮可)以内に承認・不承認の通知をしないときは、承認する旨の決定をしたものとみなされます(145条1号)。また、会社が不承認の通知をしたにもかかわらず、通知の日から40日以内に買取通知をしないときも承認とみなされます(145条2号)。期間の数字は頻出です。