1発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。
2発起人は、前項の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
根拠は会社法303条2項です。同項は「前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、総株主の議決権の百分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権又は三百個(これを下回る数を定款で定めた場合にあっては、その個数)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。この場合において、その請求は、株主総会の日の八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までにしなければならない」と定めます。本肢はこの内容をそのまま述べたもので、正しい記述です。
ここで本問が「公開会社」を前提としている意味を押さえてください。会社法327条1項1号により、公開会社は必ず取締役会を置かなければなりません。つまり公開会社=取締役会設置会社です。したがって303条1項(取締役会を置かない会社では単独株主権として議題提案ができる)ではなく、少数株主権化された2項が適用されるのです。「公開会社」という一語から「取締役会設置会社である」という前提を導けるかどうかが、この肢を素早く処理する鍵になります。
株主提案権は三つに分かれます。①議題提案権(303条)=「役員選任の件」のように会議の目的である事項そのものを提案する権利。取締役会設置会社では議決権の1%以上または300個以上を6か月前から保有し、総会日の8週間前までに請求します。②議案要領通知請求権(305条)=自分が提出しようとする議案の要領を招集通知に記載させる権利。取締役会設置会社では①と同じ持株・期間要件と8週間前という期限がかかります。③議案提案権(304条)=総会の議場で議案を提出する権利。これは単独株主権であり、持株要件も期限もありません。
関連知識として、令和元年会社法改正により、株主が305条1項により提案できる議案の数は原則10までに制限されました(305条4項)。また、303条2項・305条1項の6か月要件は、公開会社でない取締役会設置会社には適用されません(303条3項、305条2項)。本肢は公開会社の事例なので6か月要件が必要であり、記述に誤りはありません。
結論:この肢は「正しい」。
根拠は会社法304条です。同条本文は「株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)につき議案を提出することができる」と定め、ただし書は「当該議案が法令若しくは定款に違反する場合又は実質的に同一の議案につき株主総会において総株主(当該議案について議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の賛成を得られなかった日から三年を経過していない場合は、この限りでない」と定めています。本肢は本文・ただし書ともに条文の内容と一致しており、正しい記述です。
この権利はいわゆる議案提案権(動議提案権)で、株主総会の議場で行使するものです。最大の特徴は「単独株主権」であることです。303条の議題提案権や305条の議案要領通知請求権が、取締役会設置会社では議決権の100分の1以上または300個以上を6か月前から保有することを要する少数株主権であるのに対し、304条には持株要件も保有期間要件も、8週間前という期限もありません。1株しか持たない株主でも、議場で「取締役をAではなくBにする」といった議案を出せるのです。招集通知に記載してもらう必要がなく、会社に事務負担をかけないことがその理由です。
ただし、本文の「株主総会の目的である事項につき」という限定は重要です。招集通知に記載された議題(会議の目的である事項)の枠内でしか議案を出せません。取締役会設置会社では、株主総会は招集通知に記載された事項以外については決議できないからです(309条5項)。たとえば議題が「取締役選任の件」であれば別の候補者を提案できますが、議題に挙がっていない「定款変更の件」をその場で持ち出すことはできません。
ただし書の「10分の1以上の賛成を得られなかった日から3年」という要件は、いわゆる同一議案の再提出制限です。ほとんど支持を得られない議案が毎年繰り返し提出されて総会運営が混乱するのを防ぐ趣旨です。数字の覚え方としては「10分の1・3年」をセットで記憶し、305条にも同じ制限が及ぶ(305条6項)ことを押さえてください。ひっかけとしては「3分の1以上」「5年」などと数字を差し替えるパターンが典型です。