この法律は、平成二十四年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一から五まで 略
六 次に掲げる規定 平成二十五年七月一日
イ及びロ 略
ハ 第七条の規定及び附則第七十二条から第七十八条までの規定
この法律は、平成二十四年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一から五まで 略
六 次に掲げる規定 平成二十五年七月一日
イ及びロ 略
ハ 第七条の規定及び附則第七十二条から第七十八条までの規定
この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
結論:この肢は「妥当」。設問は「誤っているもの」を選ばせる問いなので、本肢は正解肢ではない。
会社法361条2項は、監査等委員会設置会社における取締役の報酬等について、同条1項各号に掲げる事項を、「監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して」定款の定めまたは株主総会の決議により定めなければならないと規定する。本肢はこの条文の内容と一致しており、妥当である。
監査等委員である取締役は、業務執行を行う取締役を監督・監査する立場にある。仮にその報酬を業務執行取締役と一体で(区別せずに)決めてしまうと、被監督者である業務執行側の意向で監査等委員の報酬が左右され、監督機能の独立性が損なわれかねない。そこで会社法は両者の報酬枠を区別して定めることを義務づけ、監査等委員の独立性を制度的に担保している。
ひっかけポイントとして、ここでいう「区別」とは2つの区分(監査等委員である取締役の枠/それ以外の取締役の枠)に分けて報酬等を定めるという意味であり、各取締役ごとに個別額まで株主総会で必ず定めることまでは要求していない点に注意したい。各人への個別配分は肢4・肢5で問われる別の規律の問題である。
結論:この肢は「妥当」。正解肢ではない。
会社法361条5項は、監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができると定める。本肢はこの条文どおりであり、妥当である。
趣旨は、監査等委員の独立性・中立性の確保にある。報酬は取締役の地位の根幹に関わるため、その当事者である監査等委員自身に株主総会での意見陳述権を認めることで、業務執行側からの不当な圧力を牽制し、監督機能の実効性を高めている。なお本項の意見陳述権は、各監査等委員が個人として行使できるものである(機関としての監査等委員会の意見を選定者が述べる肢3の場面とは主体が異なる)。
関連知識として、同じく監査等委員である取締役の地位の独立性を担保する規定に、その選任・解任・辞任に関する意見陳述権(会社法342条の2第1項)があり、解任には株主総会の特別決議が必要とされる(会社法309条2項7号)。報酬についての意見陳述権と併せて、監査等委員の地位の保護というセットで押さえておきたい。
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
結論:この肢は「妥当」。正解肢ではない。
会社法361条6項は、監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができると規定する。本肢はこの条文どおりであり、妥当である。
肢2が「自分(監査等委員)自身の報酬」についての各監査等委員個人の意見陳述権であったのに対し、本肢は「監査等委員でない取締役(=業務執行取締役)の報酬」について、監査等委員会という機関の意見を、選定された監査等委員が代表して述べる場面である。報酬の対象者(誰の報酬か)と意見の主体(個人か、選定された監査等委員か)が異なる点をきちんと区別して読む必要がある。
この規定は、監査等委員会設置会社において、業務執行取締役の報酬という「お手盛り」が生じやすい領域に対しても監督機能を及ぼすための仕組みである。選定された監査等委員を通じて監査等委員会の見解を株主総会に届けることで、報酬決定の適正化を図っている。
結論:この肢は「誤り」。設問は「誤っているもの」を選ばせる問いなので、本肢が正解肢である。
会社法361条3項は、監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定めまたは株主総会の決議がない(=各人ごとの配分が定まっていない)ときは、当該報酬等は、同条1項の報酬等の範囲内において、「監査等委員である取締役の協議」によって定めると規定する。本肢は決定方法を「多数決によって定める」としている点が条文と異なり、誤りである。
「協議」とは、原則として当事者全員の合意(全員一致)による決定を意味し、多数決とは異なる。報酬という各取締役の利害に直接関わる事項について、監督機能を担う監査等委員相互の地位の独立性・対等性を尊重するため、多数決で押し切るのではなく協議による合意を求めているのである。
ひっかけポイントは、会社法では機関の意思決定を「決議(多数決)」とするものと「協議(合意)」とするものが条文ごとに使い分けられている点である。本肢のように「多数決」という一見もっともらしい語に置き換えるのは典型的な出題パターンであり、条文が『協議』としていることを正確に記憶しているかが問われている。なお、配分が定款や株主総会の決議で個別に定められていればその定めに従うことになり、本項が適用されるのはそうした定めがない場合に限られる。