1発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
会社法461条1項は、同項各号に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならないと定めています。同項3号は157条1項の規定による決定(156条1項の株主総会決議を受けて行う具体的な取得内容の決定)に基づく当該株式会社の株式の取得を掲げており、株主総会の決議に基づく株主との合意による有償取得はこれに当たります(なお同項2号は、156条1項の決定に基づく取得のうち子会社からの取得(163条)や市場取引等による取得(165条1項)の場合を掲げています)。したがって分配可能額を超えて金銭等を交付することはできません。「超えて…交付することができる」とする本肢は財源規制に正面から反するもので誤りであり、これが本問の正解です。
趣旨は債権者保護です。自己株式を有償で取得することは、会社財産を株主に払い戻すことにほかならず、経済的には剰余金の配当と同じ効果を持ちます。もし無制限に認めれば、会社債権者の引当てとなる責任財産が容易に流出してしまいます。そこで会社法は、剰余金の配当と自己株式の有償取得を「剰余金の分配」として一元的にとらえ、共通の財源規制を課しているのです。分配可能額は、剰余金の額を基礎に、自己株式の帳簿価額やのれん等調整額に関する調整を加えて算出されます(461条2項、446条、計算規則)。
違反の効果も重要です。分配可能額を超えて自己株式の有償取得がされた場合、金銭等の交付を受けた者、当該行為に関する職務を行った業務執行者、株主総会または取締役会に議案を提案した取締役等は、会社に対して連帯して、交付された金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負います(462条1項)。業務執行者等は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば免れますが(同条2項)、株主側の返還義務は無過失責任です。さらに、この義務は総株主の同意によっても分配可能額を超える部分については免除できません(462条3項)。加えて債権者は、交付を受けた株主に対し直接支払を請求することもできます(463条2項)。
ひっかけポイントは、財源規制の基準時が「当該行為がその効力を生ずる日」である点、そして取得の手続が株主総会決議によるものであっても、市場取引等により取締役会決議で行うものであっても、財源規制は等しく及ぶという点です。決定機関の緩和と財源規制の緩和はまったく別問題です。
結論:この肢は「正しい」。
会社法124条1項は、株式会社は、一定の日(基準日)を定めて、基準日において株主名簿に記載または記録されている株主(基準日株主)を、その権利を行使することができる者と定めることができると規定しています。行使できる権利として典型的なのが株主総会の議決権であり、本肢はこの制度をそのまま述べたものですから正しい記述です。
基準日制度の趣旨は、株主が日々変動する会社において、権利行使者を一時点で確定させることにあります。とくに上場会社では株式が市場で常時売買されているため、総会の当日に株主である者を基準にすると、招集通知の発送先も議決権の数も確定できません。そこで、たとえば三月決算会社であれば三月三十一日を基準日とし、その時点の株主名簿上の株主に議決権を与えたうえで、六月に定時株主総会を開催するという運用が行われています。
手続面の要件も押さえておきましょう。まず、基準日株主が行使することができる権利は、基準日から三か月以内に行使するものに限られます(124条2項)。株主でなくなった者が長期間にわたり権利を行使できるのは不合理だからです。三月末を基準日とする会社の定時株主総会が六月に集中するのは、この三か月ルールの帰結です。次に、基準日を定めたときは、その基準日の二週間前までに、基準日および行使することができる権利の内容を公告しなければなりません(124条3項本文)。ただし、定款に基準日および当該事項の定めがあるときは公告は不要です(同項ただし書)。多くの会社は定款で「毎年三月三十一日の最終の株主名簿に記載された株主をもって定時株主総会において権利を行使することができる株主とする」と定めているため、実際には公告不要となります。
ひっかけポイントとして、権利行使期間の「三か月以内」を「六か月以内」などに、公告期限の「二週間前まで」を「一週間前まで」などに改変する出題が典型です。また、基準日は「定めることができる」任意の制度であって、必ず定めなければならないものではありません。本肢は「定めることができる」としており正しく、「誤っているもの」を選ぶ本問の正解にはなりません。