この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、目次の改正規定(「株主総会及び種類株主総会」を「株主総会及び種類株主総会等」に、「第二款 種類株主総会(第三百二十一条―第三百二十五条)」を「/第二款 種類株主総会(第三百二十一条―第三百二十五条)/第三款 電子提供措置(第三百二十五条の二―第三百二十五条の七)/」に、「/第二節 会社の登記/ 第一款 本店の所在地における登記(第九百十一条―第九百二十九条)/ 第二款 支店の所在地における登記(第九百三十条―第九百三十二条)/」を「第二節 会社の登記(第九百十一条―第九百三十二条)」に改める部分に限る。)、第二編第四章第一節の節名の改正規定、第三百一条第一項の改正規定、同節に一款を加える改正規定、第七編第四章第二節第一款の款名を削る改正規定、第九百十一条第三項第十二号の次に一号を加える改正規定、同節第二款の款名を削る改正規定、第九百三十条から第九百三十二条までの改正規定、第九百三十七条第一項の改正規定、同条第四項を削る改正規定、第九百三十八条第一項の改正規定及び第九百七十六条中第十九号を第十八号の二とし、同号の次に一号を加える改正規定は、公布の日から起算して三年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
この法律による改正後の会社法(以下「新法」という。)の規定(罰則を除く。)は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律(前条ただし書に規定する規定については、当該規定。附則第十条において同じ。)の施行前に生じた事項にも適用する。ただし、この法律による改正前の会社法(以下「旧法」という。)の規定によって生じた効力を妨げない。
この法律の施行前にされた会社法第三百五条第一項の規定による請求については、なお従前の例による。
この法律の施行前にされた旧法第三百十条第七項、第三百十一条第四項又は第三百十二条第五項の請求については、なお従前の例による。
この法律の施行の際現に監査役会設置会社(会社法第二条第五号に規定する公開会社であり、かつ、同条第六号に規定する大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものについては、新法第三百二十七条の二の規定は、この法律の施行後最初に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までは、適用しない。この場合において、旧法第三百二十七条の二に規定する場合における理由の開示については、なお従前の例による。
新法第四百三十条の二の規定は、この法律の施行後に締結された補償契約(同条第一項に規定する補償契約をいう。)について適用する。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
本問は「誤っているもの」を選ぶ問題ですから、正しい記述である本肢は正解肢ではありません。
根拠条文は会社法107条1項1号と108条1項4号です。107条1項1号は、株式会社は「その発行する全部の株式の内容として」、譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨を定款で定めることができるとしています。他方、108条1項4号は、内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合に、その一部の種類の株式についてのみ譲渡制限を付すことも認めています。つまり、全部の株式に一律に付す方法と、種類株式の内容として一部に付す方法の両方があるわけで、本肢はこの両方を正確に述べています。
理由づけとしては、株式は本来自由に譲渡できるのが原則(会社法127条)ですが、中小の同族会社などでは、望まない者が株主として経営に参加してくることを防ぐ必要があります。そこで会社法は、定款自治により譲渡による取得に会社の承認を要する仕組みを認めました。発行する全部の株式が譲渡制限株式である会社は「公開会社でない会社」(非公開会社。2条5号の反対解釈)となり、取締役の任期を10年まで伸長できる(332条2項)、総株主の半数以上であって総株主の議決権の4分の3以上に当たる多数による特殊決議を経て株主ごとに異なる取扱いをする属人的な定めを置ける(109条2項、309条4項)、募集株式の発行を原則として株主総会特別決議で行う(199条2項、309条2項5号)など、多くの規律が公開会社と異なってきます。
ひっかけポイントは、定款変更によって既存の株式に譲渡制限を新たに付す場合の決議要件です。この定款変更は株主の投下資本回収の機会を制約するため、通常の特別決議ではなく、議決権を行使できる株主の半数以上であって当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数による特殊決議が必要とされ(309条3項1号)、反対株主には株式買取請求権が認められます(116条1項1号)。設定の場面と、すでに設定済みの株式を譲渡する場面を混同しないようにしてください。
結論:この肢は「正しい」。
会社法136条は「譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる」と定めています。本肢はこの条文をそのまま述べたもので、正しい記述です。
理由づけとしては、譲渡制限株式であっても株主の投下資本回収の途を完全に塞ぐことは許されないため、会社法は、譲渡前にあらかじめ会社の意思を確認できる手続(事前の譲渡等承認請求)を株主に保障しました。会社が承認しない旨を決定した場合でも、株主が請求の際に「承認しないときは会社または指定買取人が買い取ることを請求する」旨を併せて求めていれば(138条1号ハ)、会社は自ら買い取るか(140条1項、株主総会特別決議。309条2項1号)、指定買取人を指定しなければなりません(140条4項)。これにより株主は換価の機会を確保できます。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、条文の括弧書のとおり、譲渡の相手方が発行会社自身である場合は136条の対象外です。会社が自社株を取得するのは自己株式の取得の問題であり、155条以下の財源規制・手続規制に服します。第二に、会社が譲渡等承認請求の日から2週間(定款で短縮可)以内に承認・不承認の通知をしないときは、承認する旨の決定をしたものとみなされます(145条1号)。また、会社が不承認の通知をしたにもかかわらず、通知の日から40日以内に買取通知をしないときも承認とみなされます(145条2号)。期間の数字は頻出です。
この法律の施行前に株式会社と保険者との間で締結された保険契約のうち役員等(旧法第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。以下この条において同じ。)がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が塡補することを約するものであって、役員等を被保険者とするものについては、新法第四百三十条の三の規定は、適用しない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
会社法137条1項は、譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができると定めます。そして同条2項は、この請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令(会社法施行規則24条)で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載・記録された者またはその一般承継人と共同してしなければならないと定めています。本肢はこの内容を正確に述べており、正しい記述です。
理由づけは、なりすまし防止です。株式取得者が単独で「私はこの株式を取得した」と請求できてしまうと、実際には譲渡を受けていない者が名義書換の前段階の手続を悪用し、真の株主の地位を害するおそれがあります。そこで、原則として名簿上の株主との共同請求を要求し、譲渡の事実に争いがないことを担保しているのです。名義書換請求について共同請求を要求する133条2項と同じ発想です。共同請求が不要となる例外としては、株式取得者が確定判決を得た場合や、一般承継により株式を取得した場合などが施行規則24条に定められています。
ひっかけポイントは、136条の請求(譲渡しようとする株主による事前の請求)と137条の請求(すでに取得した者による事後の請求)の区別です。前者は譲渡人が単独でできますが、後者は原則として共同請求が必要です。また、いずれの請求も「譲渡等承認請求」として138条に定める事項を明らかにしてしなければならず、買取請求を併せてする場合には対象株式の数などを明示する必要があります。なお、会社の承認を欠く譲渡制限株式の譲渡は、判例上、会社との関係では効力を生じないものの、譲渡当事者間では有効と解されています(最判昭和48年6月15日)。
結論:この肢は「誤り」。
本問は「誤っているもの」を選ぶ問題ですから、本肢が正解です。誤りは二点あります。承認機関を一律に「株主総会」としている点と、決議要件を「特別決議」としている点です。
会社法139条1項は「株式会社が第136条又は第137条第1項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない」と定めています。つまり、取締役会設置会社では取締役会が承認機関となるのが原則であり、株主総会が承認機関となるのは取締役会を設置していない会社の場合です。さらに、ここでいう株主総会の決議は普通決議で足ります。譲渡の承認は会社法309条2項が列挙する特別決議事項に含まれていませんから、特別決議は不要です。
理由づけとしては、譲渡承認は会社の日常的な業務判断に近く、機動的な処理が求められるため、取締役会設置会社では取締役会に委ねるのが合理的だからです。また、定款で別段の定めを置けば、代表取締役の決定に委ねることも可能と解されています。中小企業では「代表取締役の承認による」といった定款規定が置かれることも珍しくありません。
ひっかけポイントとして、譲渡承認手続の中で「特別決議」が要求される場面と混同しないでください。会社が承認せず、会社自身が対象株式を買い取る旨を決定する場合には、株主総会の特別決議が必要です(140条2項、309条2項1号)。このとき、譲渡等承認請求をした株主は原則としてその総会で議決権を行使できません(140条3項)。他方、指定買取人の指定は、定款に別段の定めがない限り、株主総会特別決議(取締役会設置会社では取締役会決議)によります(140条4項・5項)。「承認するか否かの決定=普通決議または取締役会決議」「会社が買い取る決定=特別決議」と整理しておきましょう。
1この法律の施行前に旧法第六百七十六条に規定する事項の決定があった場合におけるその募集社債及びこの法律の施行前に会社法第二百三十八条第一項に規定する募集事項の決定があった場合におけるその新株予約権付社債の発行の手続については、新法第六百七十六条第七号の二及び第八号の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2この法律の施行の際現に存する社債であって、社債管理者を定めていないもの(この法律の施行の日以後に前項の規定によりなお従前の例により社債管理者を定めないで発行された社債を含む。)には、新法第六百七十六条第七号の二に掲げる事項についての定めがあるものとみなす。
3この法律の施行の際現に存する社債券の記載事項については、なお従前の例による。
4この法律の施行前に社債発行会社、社債管理者又は社債権者が社債権者集会の目的である事項について提案をした場合については、新法第七百三十五条の二の規定は、適用しない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
会社法174条は「株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる」と規定しています。本肢はこの条文をそのまま述べたもので、正しい記述です。
理由づけとしては、譲渡制限は「譲渡による取得」を対象とするため、相続や合併といった一般承継による株式の移転には承認手続が及びません。その結果、会社にとって望ましくない相続人が当然に株主となってしまい、閉鎖的な人的信頼関係を基礎とする会社の運営が困難になるおそれがあります。そこで会社法は、定款に定めを置くことを条件として、会社の側から売渡しを請求できる制度(相続人等に対する売渡請求)を用意しました。
手続としては、請求のたびに株主総会の特別決議で、請求する株式の数と相続人等の氏名・名称を定めなければならず(175条1項、309条2項3号)、この決議では対象となる相続人等は原則として議決権を行使できません(175条2項)。また、請求は相続その他の一般承継があったことを知った日から1年以内に限られます(176条1項ただし書)。売買価格は当事者の協議によりますが、協議が調わないときは、請求があった日から20日以内に裁判所に価格決定の申立てをすることができます(177条2項)。さらに、この売渡請求は自己株式の取得ですから、財源規制が及び、分配可能額を超えて対価を交付することはできません(461条1項5号)。
ひっかけポイントは、この制度が相続人による会社支配の防止に有効な反面、相続人側の議決権が排除される結果、少数派株主が相続を機に会社を乗っ取る「クーデター」に使われうる点です。定款に定めを置くかどうかは慎重な検討を要します。試験対策としては、対象が譲渡制限株式に限られること、そのつど特別決議が必要なこと、1年の期間制限があることの三点を押さえてください。
結論:この肢は「正しい」。
本問は「誤っているもの」を選ぶ問題ですから、正しい記述である本肢は正解肢ではありません。
根拠は会社法2条15号の社外取締役の定義規定です。同号イは、株式会社の取締役であって「当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(会社法363条1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、その就任の前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと」を要件としています。現に業務執行取締役等の地位にある者は社外取締役たりえない以上、社外取締役が当該会社またはその子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人を兼ねることはできません。よって本肢は正しい記述です。
理由づけとしては、社外取締役制度の趣旨が、業務執行から距離を置いた立場から経営を監督し、経営陣と会社・株主との利益相反を抑止することにあるからです。自ら業務を執行する者が同時に自分を監督するのでは、制度が空洞化してしまいます。
ひっかけポイントとして、2条15号は平成26年改正で要件が大きく組み替えられたことを押さえておきましょう。改正前は「過去に一度でも当該会社の業務執行取締役等であったことがない」という無期限の要件でしたが、改正後は「就任の前10年間」というクーリングオフ期間方式になり(同号イ・ロ)、他方で、親会社等の関係者(同号ハ)、兄弟会社の業務執行者(同号ニ)、当該会社の取締役・執行役・支配人その他の重要な使用人または親会社等の配偶者・二親等内の親族(同号ホ)が新たに社外性を否定する事由として追加されました。近親者要件が加わった点は出題されやすいところです。なお、社外監査役の定義(2条16号)も同様の構造をとっており、あわせて確認しておくと効率的です。
この法律の施行前に登記の申請がされた新株予約権の発行に関する登記の登記事項については、新法第九百十一条第三項第十二号の規定にかかわらず、なお従前の例による。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
会社法331条6項は「監査等委員会設置会社においては、監査等委員である取締役は、3人以上で、その過半数は、社外取締役でなければならない」と定めています。本肢はこのうち社外取締役の割合に関する部分を述べたもので、正しい記述です。
理由づけとしては、監査等委員会設置会社は、監査役を置かず(327条4項)、取締役会の内部機関である監査等委員会が監査・監督機能を担う機関設計です。監査役会の場合に半数以上を社外監査役とする(335条3項)のと同様、あるいはそれ以上に、監査を担う委員の独立性を確保する必要があります。そこで、監査等委員である取締役は3人以上でその過半数を社外取締役とすることが要求されています。
関連知識として、監査等委員である取締役はそれ以外の取締役と区別して株主総会で選任され(329条2項)、任期は2年でこれを短縮することができません(332条1項・4項。他の取締役は1年)。また、監査等委員である取締役の解任は株主総会の特別決議によります(309条2項7号)。監査等委員は当該会社またはその子会社の業務執行取締役・支配人その他の使用人を兼ねることができません(331条3項)。
ひっかけポイントは、指名委員会等設置会社との数字の混同です。指名委員会等設置会社では、指名委員会・監査委員会・報酬委員会の各委員会は3人以上の取締役で構成され、その過半数が社外取締役でなければなりません(400条1項・3項)。「3人以上・過半数が社外」という点は共通ですが、監査等委員会設置会社は委員会が一つだけである点、監査等委員である取締役が株主総会で別枠選任される点が異なります。なお、監査役会設置会社の社外監査役は「半数以上」(過半数ではない)であることも、よく問われる差異です。
結論:この肢は「誤り」。
本問は「誤っているもの」を選ぶ問題ですから、本肢が正解です。ただし、出題当時(2018年)と現在とでは誤りとなる理由が変わっているため、両方を押さえてください。
出題当時の会社法327条の2は、事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る)であって金融商品取引法24条1項により有価証券報告書を提出しなければならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならない、と定めていました。いわゆるコンプライ・オア・エクスプレイン(遵守せよ、さもなくば説明せよ)の規律であり、社外取締役の選任そのものは義務づけられていませんでした。したがって「選任しなければならない」とする本肢は、当時の法状態に照らして誤りでした。
もっとも、令和元年(2019年)の会社法改正(令和3年3月1日施行)により327条の2は改められ、現在は「監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない」とされ、社外取締役の設置が義務化されています。しかし、義務の対象は「有価証券報告書提出会社」に限られます。本肢は「公開会社であり、かつ、大会社である監査役会設置会社」であればすべて義務があるかのように述べており、有価証券報告書提出会社という限定を欠いています。したがって現行法(2026年時点)を基準としても、本肢は誤りです。
ひっかけポイントは、会社法上の「公開会社」(2条5号。発行する全部または一部の株式に譲渡制限がない会社)と、上場会社・有価証券報告書提出会社とは別概念だという点です。非上場でも公開会社に当たる会社は多数あり、それらには327条の2の義務は及びません。なお、指名委員会等設置会社(400条3項)および監査等委員会設置会社(331条6項)では、機関設計上当然に社外取締役が必要となる点と区別して整理しておきましょう。
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
会社法911条3項21号は、株式会社の設立の登記事項として、特別取締役による議決の定めがあるときは、イ「特別取締役による議決の定めがある旨」、ロ「特別取締役の氏名」、ハ「取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨」を掲げています。登記事項に変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をしなければなりません(915条1項)。本肢はこの登記事項を正確に述べており、正しい記述です。
特別取締役の制度は、取締役会設置会社であって取締役が6人以上おり、そのうち1人以上が社外取締役である会社において、あらかじめ選定した3人以上の特別取締役のうち議決に加わることができるものの過半数が出席し、その過半数をもって、重要な財産の処分・譲受けおよび多額の借財(362条4項1号・2号)を決定できるとするものです(373条1項)。大規模な会社で、機動的な意思決定を可能にするための仕組みです。
理由づけとしては、特別取締役による議決は取締役会の権限の一部を少人数に委ねる例外的な仕組みであり、その存在と構成メンバーは会社と取引する第三者にとって重要な情報です。また、社外取締役が1人以上いることが制度の前提要件になっているため(373条1項2号)、誰が社外取締役であるかも公示させる必要があります。本肢が社外取締役である旨の登記に触れているのは、この要件と結びついているからです。
ひっかけポイントとして、社外取締役である旨の登記が要求される場面は限られている点に注意してください。特別取締役による議決の定めがある会社のほか、監査等委員会設置会社(911条3項22号ロ)や指名委員会等設置会社(同項23号ロ)でも社外取締役である旨が登記事項とされていますが、単に社外取締役を任意に置いているだけの会社では、社外である旨は登記事項ではありません。また、特別取締役は「選定」であり、株主総会で選任されるわけではなく、取締役会の決議で選定される点も押さえておきましょう。
結論:この肢は「正しい」。
会社法427条1項は、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役または会計監査人(これらを「非業務執行取締役等」といいます)の423条1項の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を締結することができる旨を定款で定めることができる、と規定しています。社外取締役は業務執行取締役等ではありませんから非業務執行取締役等に含まれ、責任限定契約の対象となります。よって本肢は正しい記述です。
理由づけとしては、社外取締役や社外監査役などの非業務執行者に、業務執行者と同じ無限定の損害賠償リスクを負わせると、有能な人材が就任を敬遠し、経営監督機能の担い手を確保できなくなります。そこで、悪意・重過失がない場合に限って責任の上限をあらかじめ画することを認め、就任のインセンティブを確保したのです。最低責任限度額は、社外取締役等を含む非業務執行取締役等については報酬等の2年分に相当する額です(425条1項1号ハ)。
手続面では、責任限定契約の定めを設ける定款変更の議案を株主総会に提出するには、監査役設置会社では監査役全員(監査等委員会設置会社では監査等委員全員、指名委員会等設置会社では監査委員全員)の同意が必要です(427条3項、425条3項)。また、契約を締結した会社は、その後に責任が生じた場合、責任の原因となった事実等を最初の株主総会で開示しなければなりません(427条4項)。
ひっかけポイントは、平成26年改正による対象範囲の拡大です。改正前は「社外」取締役・「社外」監査役に限られていましたが、改正後は社外性を問わず、業務執行に当たらない取締役一般(非業務執行取締役等)に広がりました。さらに令和元年改正では、会社補償(430条の2)および役員等賠償責任保険契約(D&O保険。430条の3)の規律が新設されており、責任限定契約と混同しないよう整理しておきましょう。
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
会社法105条1項は、株主の基本的権利として、剰余金の配当を受ける権利(1号)、残余財産の分配を受ける権利(2号)、株主総会における議決権(3号)を掲げています。そして同条2項は「株主に前項第1号及び第2号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない」と明記しています。したがって、配当請求権と残余財産分配請求権の両方を全部奪う定款規定を設けることはできず、仮に定めても無効です。本肢は誤りです。
理由づけとしては、株式会社は営利法人であり、その営利性の中核は、会社が得た利益を最終的に構成員である株主に分配することにあります。剰余金の配当と残余財産の分配は、まさにその経済的利益の分配経路そのものですから、その両方を完全に奪えば、株主は出資に対する経済的リターンをおよそ期待できなくなり、株式会社としての本質を失います。そこで会社法は、この両権利の全部を奪う定款規定を効力なきものとしました。
ひっかけポイントは「両方の全部」という限定です。裏を返せば、一方だけを与えない旨の定めは可能です。たとえば、剰余金の配当については優先権を与える一方で残余財産の分配には参加させない、あるいは残余財産の分配のみを受けられるといった種類株式は、108条1項1号・2号により適法に設計できます。完全無配当・完全無分配の株式だけが禁じられているのだ、と押さえてください。
なお、議決権については扱いが異なります。105条2項は1号・2号のみを対象としており、議決権については、108条1項3号の議決権制限種類株式として、およそ議決権を有しない株式(完全無議決権株式)を発行することが認められています。ただし、公開会社では議決権制限株式が発行済株式総数の2分の1を超えたときは、直ちにその割合を2分の1以下にするための必要な措置をとらなければなりません(115条)。
結論:この肢は「誤り」。
会社法453条は「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる」と定めており、配当は会社の権利であって義務ではありません。また461条1項は、配当により株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額が「効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない」と定めているにすぎず、分配可能額は配当の上限を画するものです。上限まで配当しなければならないという規定はどこにもありません。したがって本肢は誤りです。
理由づけとしては、企業経営上、稼いだ利益をどこまで内部留保し、どこまで株主に還元するかは、将来の設備投資や研究開発、財務健全性の確保との兼ね合いで決めるべき経営判断事項です。分配可能額の全額を毎期吐き出さなければならないとすれば、成長投資の余地がなくなり、かえって株主の中長期的利益を損ないます。そこで会社法は上限規制のみを置き、実際にいくら配当するかは、原則として株主総会の決議(454条1項、普通決議)に委ねています。無配とすることも当然に可能です。
ひっかけポイントとして、配当の決定機関の例外を押さえておきましょう。まず、取締役会設置会社は、一事業年度の途中において1回に限り取締役会の決議で中間配当をすることができる旨を定款で定めることができます(454条5項。ただし配当財産は金銭に限られます)。また、会計監査人設置会社であって、監査役会設置会社(取締役の任期が1年のもの)、監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社であるなど一定の要件を満たし、かつ会計監査報告に無限定適正意見が付されているなどの場合には、剰余金の配当等を取締役会が決定できる旨を定款で定めることができます(459条1項)。分配可能額の算定(461条2項)とあわせ、条文を追って確認してください。