1二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「妥当」である(本問は妥当でないものを選ぶ問いなので、正解肢ではない)。
前段は、時効完成後に登記を備えた第三者Gとの関係では二重譲渡類似の対抗関係(民法177条)に立ち、登記のないBはGに時効取得を対抗できないという原則を述べたもので正しい(大連判大正14年7月8日、最判昭和33年8月28日)。
後段の「占有開始時点を任意に選択してその成立を主張することは許されない」も判例(最判昭和35年7月27日)と一致する。時効期間は時効の基礎となる事実(占有)が現実に開始した時点を起算点として計算すべきであり、時効援用者が起算点を任意に選択して時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
もし起算点の任意選択(逆算)を認めると、第三者の登記時を基準に時効完成の前後を都合よく操作でき、時効完成後の第三者を保護する対抗関係のルール(前段)が無意味になってしまうからである。
本肢は前段・後段とも判例の確立した理解と一致しており妥当である。起算点固定の原則は、肢3・肢4の「再度の占有継続による新たな時効の完成」とは別の論点なので混同しないよう注意したい(起算点固定は前回の時効の完成時期の操作を否定するもの、再度の時効は別個の新たな時効が成立するもの)。
結論:本肢は妥当である。設問は「妥当でないもの」を選ぶ問いなので、本肢は正解肢ではない。
判例は、構成部分が変動する集合動産であっても、その種類・所在場所および量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定されている場合には、これを一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができるとする(最判昭和54年2月15日)。本問の「甲倉庫内において保管する在庫商品の一切」は、種類(営業用動産・在庫商品)・場所(甲倉庫内)・量的範囲(一切)が指定されており、特定の要件を満たす。
対抗要件については、動産物権変動の対抗要件は引渡しであり(民法178条)、占有改定(民法183条)もここでいう引渡しに含まれる。集合動産譲渡担保では、設定者が現に存在する動産につき占有改定の方法により占有を取得させれば、譲渡担保権者は集合物全体について対抗要件を具備し、その効力は以後新たに構成部分となった動産を含む集合物に及ぶ(最判昭和62年11月10日)。したがって本肢は妥当である。
ひっかけは「占有改定では対抗要件にならない」とする誤解である。動産では占有改定でも対抗要件たる引渡しに当たる(即時取得は否定されるが、対抗要件具備は問題なくできる点と混同しないこと)。