1従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
【本問の特殊事情】本問は、妥当でない記述が複数存在したため、正解を一つに確定できず、全受験者を正解とする取扱い(いわゆる没問)とされた問題です。当アプリのデータでも全肢が正解として登録されています。もっとも、記述そのものの正誤を判断する練習としては十分に価値がありますので、各肢の内容を丁寧に確認していきましょう。
この肢の記述は妥当です。代理人がした意思表示の効力が意思の不存在・詐欺・強迫などによって影響を受けるべき場合、その事実の有無は代理人について判断するのが原則です(民法101条1項)。しかし本肢は、代理人が「だまされた側」ではなく「だました側」である場面です。
代理人が相手方に対して詐欺を行った場合、その詐欺は代理行為そのものに伴う欺罔行為であり、代理人の行為の効果は本人に帰属します(民法99条1項)。つまり、相手方から見れば「契約の当事者側からだまされた」のと同じですから、民法96条1項の詐欺による取消しがそのまま認められ、本人が詐欺の事実を知っていたか否かは問題になりません。
これに対し、民法96条2項は、相手方に対する意思表示について「第三者が詐欺を行った場合」には、相手方がその事実を知り、または知ることができたときに限り取消しができると定めています。本肢の代理人は、この「第三者」には当たりません。代理人は本人と一体として契約当事者側に立つ者だからです。ここを取り違えて「本人が善意なら取り消せない」と考えてしまうのが典型的なひっかけです。
関連知識として、代理人が相手方から詐欺を受けた場合には、原則として代理人について詐欺の有無を判断し、本人が取消権を行使することになります。また、特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は自ら知っていた事情(過失によって知らなかった事情を含む)について代理人の不知を主張できません(民法101条3項)。改正前の条文にあった「本人の指図に従って」という要件は、2017年改正で削除されています。代理と意思表示の瑕疵は、「だました側か・だまされた側か」「本人と代理人のどちらの事情を基準にするか」を必ず整理して覚えてください。
結論:この肢は「正しい」。
【本問の特殊事情】本問は妥当でない記述が複数あったため、全受験者正解(没問)として処理された問題です。データ上も全肢が正解として登録されています。以下は記述内容自体の正誤の解説です。
この肢の記述は妥当です。民法114条は、無権代理行為の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めてその期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす、と定めています。記述はこの条文をそのまま述べたものです。
理由づけとしては、無権代理行為は本人が追認するまで効力が未確定であり(民法113条1項)、相手方は不安定な地位に置かれます。そこで相手方に催告権を与えて決着を促すわけですが、確答がない場合にどちらに転ばせるかが問題となります。民法は、本人は自ら望んでいない代理行為の効果を押し付けられるべきではないという考え方から、沈黙を「追認拒絶」と扱いました。無権代理は本人にとって関与していない行為ですから、沈黙で効果が帰属してしまうのは酷だからです。
ひっかけポイントは2つあります。第一に、「追認したものとみなされる」と書き換える出題です。制限行為能力者の相手方の催告権では、法定代理人等が期間内に確答しないと原則として追認したものとみなされる場合があります(民法20条1項・2項)。この違いを狙った引っかけが頻出ですので、無権代理は拒絶擬制、制限行為能力者の側の催告は場面により追認擬制、と対比して整理しましょう。第二に、催告権は相手方が無権代理であることを知っていた(悪意の)場合でも行使できる点です。取消権(民法115条ただし書)や無権代理人の責任追及(民法117条2項)と異なり、催告には善意要件がありません。
関連知識として、追認は相手方に対してするのが原則ですが、無権代理人に対してした場合でも、相手方がその事実を知ったときは相手方に対抗できます(民法113条2項)。追認の効果は原則として契約時に遡ります(民法116条本文)。