審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)は、遅滞なく、裁決をしなければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
判例は、一定の要件を満たす場合には黙示の公用廃止があったものと認め、明示の公用廃止がなくても公共用財産について取得時効が成立しうるとしています。明示の公用廃止を絶対的な要件とする本肢は誤りです。
根拠判例は最判昭和51年12月24日です。同判決は、公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態・機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、その公共用財産については黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げないと判示しました。したがって、公図上は水路とされていても、実態として水路の形態も機能も失われ、長期間他人の占有が続いているような土地は、民法162条による時効取得の対象となりうるのです。
理由づけとしては、公物の不融通性の根拠を考えると理解しやすくなります。公物が私権の対象になじまないとされるのは、公の用に供されている以上、私人の権利取得を認めると公の目的が害されるからです。ところが、すでに公の目的への供用実態が失われ、私人の占有によって何ら公の目的が害されない状態に至っているのであれば、その不融通性を維持する実質的な理由は消滅しています。それにもかかわらず行政庁が公用廃止の意思表示という形式を踏んでいないという一事をもって、長年の占有事実を保護しないのは、時効制度が永続した事実状態を保護しようとする趣旨にも反します。そこで判例は、行政実務上の形式主義を貫かず、黙示の公用廃止という構成で妥当な結論を導いたのです。
ひっかけポイントは、要件の厳格さです。判例が黙示の公用廃止を認めるのは、(1)長年事実上公の目的に供用されず放置され、(2)公共用財産としての形態・機能を全く喪失し、(3)他人の平穏かつ公然の占有が継続し、(4)そのため実際上公の目的が害されることもなく、(5)もはや公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合です。単に一時的に利用されていないというだけでは足りません。また、行政財産である以上、その用途または目的を妨げない限度での使用許可(地方自治法238条の4第7項)や、用途廃止後の普通財産への転換といった仕組みとの区別も意識しておきましょう。
結論:この肢は「正しい」。
いわゆる2項道路の一括指定について、判例は処分性を肯定しています。本肢は判例の判断枠組みと結論を正確に述べたものです。
根拠判例は最判平成14年1月17日です。建築基準法42条2項は、同法の適用の際すでに建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものを道路とみなす旨を定めており、この指定は、個別の道ごとに行うほか、一定の条件に合致する道を一括して指定する方法(一括指定)によって告示の形で行われることが実務上多くみられます。最高裁は、こうした一括指定の方法でされた2項道路の指定であっても、指定の効果が及ぶ個別の道は特定されうるのであり、指定がされると当該道の敷地所有者は、その本来的な効果として、道路内の建築制限(44条1項)を受け、また当該道の中心線から水平距離2メートルの線が敷地の境界線とみなされること(42条2項)により建築基準法上の建築制限を受けることになるとして、一括指定も個別の土地について具体的な私権制限を発生させるものであり、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると判断しました。
理由づけの核心は、処分性の判断において「一般的・抽象的な規範定立か、それとも個別・具体的な法効果の発生か」を、形式ではなく実質でみるという点にあります。一括指定は、外形上は多数の道を一挙に対象とする一般的な告示に見えます。しかし、その指定によってどの土地が制限を受けるかは客観的に確定でき、しかも制限は指定の反射的効果ではなく本来的効果として直接発生します。だからこそ、行政立法のような一般的規律ではなく、多数の名宛人に対する処分の集合と評価できるわけです。
ひっかけポイントは、処分性に関する判例群の中での位置づけです。同じ都市計画・建築行政の分野でも、旧都市計画法上の用途地域指定については、その段階では建築制限は不特定多数者に対する一般的抽象的なものにとどまるとして処分性が否定されました(最判昭和57年4月22日・盛岡用途地域指定事件)。他方、土地区画整理事業の事業計画決定については、判例変更により処分性が肯定されています(最大判平成20年9月10日・浜松市土地区画整理事業事件)。「一般的・抽象的な制限にすぎないか」「特定の土地に具体的な制限が直接生じるか」「実効的な権利救済の必要性はあるか」という三つの視点で、各判例を整理しておくと得点源になります。