審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
県が被害者に賠償金を支払った後、市に対して負担部分を求償する訴訟は、機関訴訟ではありません。国家賠償法3条2項に基づく求償金の支払を求める給付訴訟であり、対等な法主体間の金銭請求として民事訴訟の手続で審理されます。
根拠を確認します。市町村立中学校の教職員の給与は都道府県が負担する仕組みになっているため(市町村立学校職員給与負担法1条など)、市立中学校の教諭の職務中の事故については、設置管理者である市が国家賠償法1条1項の賠償責任を負う一方、給与という費用を負担する県も同法3条1項の「費用を負担する者」として被害者に対し賠償責任を負います。被害者はどちらにも請求でき、支払をした者は同条2項により「内部関係でその損害を賠償する責任ある者」に求償できます。最一小判平成21年10月23日は、市立中学校の教諭の指導中の事故につき、給与負担者である県が被害者に賠償した場合、内部的に損害を負担すべきは学校の設置管理者である市であるとして、県から市への求償を認めています。
理由づけです。行政事件訴訟法6条の機関訴訟は「機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争」に限られ、しかも同法42条により法律に特別の定めがある場合しか提起できません。県と市はそれぞれ独立の法人格を有する普通地方公共団体であって上下関係にある内部機関ではなく、また求償金請求について機関訴訟を認める法律もありません。争われているのは「権限の存否」ではなく金銭債権の存否ですから、性質上も機関訴訟とはいえないのです。
ひっかけポイントを挙げます。第一に、行政主体同士が当事者になる訴訟でも、財産上の請求であれば通常の民事訴訟であるということ。当事者訴訟(行政事件訴訟法4条)ですらありません。第二に、国家賠償法3条の枠組みは頻出で、1項の費用負担者の責任、2項の内部求償という二段構造を正確に押さえること。第三に、機関訴訟の具体例は、地方自治法176条7項(長と議会の争い)、245条の8(代執行訴訟)、251条の5(国の関与に関する訴え)、公職選挙法に基づく一部の訴訟など、法律が個別に定めたものに限られるという点です。「別法人間の金銭紛争は機関訴訟ではない」と押さえておけば十分対応できます。
結論:この肢の組合せは「誤り」。
この肢はA=重大な損害、B=民事訴訟、C=仮処分、D=一時的にせよという組合せですが、正しく当てはまるのはAのみで、B・C・Dがいずれも誤りです。
まずAです。差止訴訟の訴訟要件は行政事件訴訟法37条の4第1項本文が定めており、「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる」とされています。したがってA=ア「重大な損害」で正しく、ここは確実に得点したい部分です。
次にB・Cです。引用部分は、差止訴訟が事前救済の仕組みであることから、事後的な救済手段では間に合わない場合に限って認めるという趣旨を述べています。行政処分に対する事後的救済の基本形は取消訴訟であり、その暫定的救済が執行停止(行政事件訴訟法25条2項)です。したがってB=イ「取消訴訟」、C=イ「執行停止」が正解となります。B=民事訴訟、C=仮処分としてしまうと決定的におかしくなります。というのも、行政事件訴訟法44条は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない」と明文で定めており、処分に対して仮処分を求めることはそもそも許されないからです。判決文が「処分がされた後に仮処分の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができる」と述べることは論理的にあり得ません。
最後にDです。空欄Dは2か所に現れ、二つ目は「これを D 受けることにより蓄積していくおそれのある」という文脈です。損害が蓄積していくという結論を導くのですから、「一時的にせよ」では意味が通じません。D=イ「反復継続的に」が正しく、航空機が離着陸するたびに被害が繰り返し発生し積み重なるからこそ、事後的な取消訴訟による救済になじまない、という論理になります。
ひっかけポイントです。「回復の困難な損害」は2004年改正前の執行停止の要件として用いられていた文言で、現行法では差止訴訟・非申請型義務付け訴訟・執行停止いずれも「重大な損害」を基準としています(37条の2第1項、37条の4第1項、25条2項)。また、仮の救済としては仮の差止め(37条の5第2項)があり、その要件は「償うことのできない損害」です。似た文言を正確に区別しておきましょう。