1審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、審査庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する庁の長である場合にあっては行政不服審査会に、審査庁が地方公共団体の長(地方公共団体の組合にあっては、長、管理者又は理事会)である場合にあっては第八十一条第一項又は第二項の機関に、それぞれ諮問しなければならない。
一 審査請求に係る処分をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第九条第一項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるもの(以下「審議会等」という。)の議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て当該処分がされた場合
二 裁決をしようとするときに他の法律又は政令(条例に基づく処分については、条例)に第九条第一項各号に掲げる機関若しくは地方公共団体の議会又はこれらの機関に類するものとして政令で定めるものの議を経るべき旨又は経ることができる旨の定めがあり、かつ、当該議を経て裁決をしようとする場合
三 第四十六条第三項又は第四十九条第四項の規定により審議会等の議を経て裁決をしようとする場合
四 審査請求人から、行政不服審査会又は第八十一条第一項若しくは第二項の機関(以下「行政不服審査会等」という。)への諮問を希望しない旨の申出がされている場合(参加人から、行政不服審査会等に諮問しないことについて反対する旨の申出がされている場合を除く。)
五 審査請求が、行政不服審査会等によって、国民の権利利益及び行政の運営に対する影響の程度その他当該事件の性質を勘案して、諮問を要しないものと認められたものである場合
六 審査請求が不適法であり、却下する場合
七 第四十六条第一項の規定により審査請求に係る処分(法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分及び事実上の行為を除く。)の全部を取り消し、又は第四十七条第一号若しくは第二号の規定により審査請求に係る事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することとする場合(当該処分の全部を取り消すこと又は当該事実上の行為の全部を撤廃すべき旨を命じ、若しくは撤廃することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
八 第四十六条第二項各号又は第四十九条第三項各号に定める措置(法令に基づく申請の全部を認容すべき旨を命じ、又は認容するものに限る。)をとることとする場合(当該申請の全部を認容することについて反対する旨の意見書が提出されている場合及び口頭意見陳述においてその旨の意見が述べられている場合を除く。)
2前項の規定による諮問は、審理員意見書及び事件記録の写しを添えてしなければならない。
3第一項の規定により諮問をした審査庁は、審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人)に対し、当該諮問をした旨を通知するとともに、審理員意見書の写しを送付しなければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
事務の監査請求(地方自治法75条)も住民監査請求(同法242条)も、自治事務・法定受託事務のいずれについても対象となりうるものであり、本肢は正しい記述です。
まず事務の監査請求です。地方自治法75条1項は、選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができると定めています。これは直接請求の一種であり、対象は「当該普通地方公共団体の事務の執行」全般です。法定受託事務も2条9項が明示するとおり地方公共団体が処理する事務ですから、当然この「事務」に含まれます。
次に住民監査請求です。242条1項は、普通地方公共団体の住民が、当該団体の長・委員会・委員・職員について、違法もしくは不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、または違法もしくは不当に公金の賦課徴収・財産の管理を怠る事実があると認めるときに、監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずべきことを請求できると定めます。ここでの対象は財務会計上の行為または怠る事実であり、当該行為が自治事務に関して行われたか法定受託事務に関して行われたかは問いません。法定受託事務の処理に伴う支出であっても、違法・不当な財務会計行為であれば住民監査請求、さらには住民訴訟(242条の2)の対象となります。
理由づけとしては、やはり1999年の地方分権改革が効いています。機関委任事務は原則として監査委員の監査対象から外されていましたが、これが廃止されたことにより、地方公共団体の処理する事務は原則としてすべて監査の対象に取り込まれました。監査委員の権限を定める199条2項も、監査委員は「普通地方公共団体の事務」の執行について監査すると定めており、自治事務と法定受託事務を区別していません。
ひっかけポイントを二つ挙げます。第一に、本肢が「対象となることがある」という控えめな表現を用いている理由です。199条2項の括弧書きと施行令により、自治事務のうち労働委員会・収用委員会の権限に属するもので政令で定めるもの、および法定受託事務のうち国の安全を害するおそれ等の理由で政令で定めるものは、監査の対象から除かれています。全部が必ず対象になるわけではないため、「ことがある」という表現が的確なのです。第二に、事務の監査請求と住民監査請求の混同です。前者は選挙権者の50分の1以上の連署が必要な直接請求で、請求者は選挙権を有する者、監査結果は公表・報告されるにとどまり訴訟には接続しません。後者は住民であれば1人でもでき(外国人・法人でも可)、当該行為のあった日または終わった日から1年という期間制限があり(242条2項)、住民訴訟の前置手続となります。この対比は繰り返し出題されますので確実に整理しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。
判例は、道路の供用によって周辺住民に受忍限度を超える騒音・排気ガス等の被害が生じている場合を、国家賠償法2条1項にいう「公の営造物の設置又は管理」の瑕疵に当たると認めています。責任は生じないとする本肢は判例に反します。
根拠となるのは国道43号線訴訟の最高裁判決(最判平成7年7月7日)です。国道43号および阪神高速道路の沿道住民が、自動車騒音・排気ガス等による被害を理由に損害賠償と差止めを求めた事案で、最高裁は、道路の供用によって生ずる騒音等が周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害を及ぼしている場合には、道路に「設置又は管理」の瑕疵があるとして、国および阪神高速道路公団の損害賠償責任を肯定しました(差止請求については、道路の公共性等を考慮して認めませんでした)。
理論的な下敷きとなっているのは、大阪国際空港訴訟の最高裁大法廷判決(最大判昭和56年12月16日)が示した考え方です。同判決は、営造物の設置または管理の瑕疵とは営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態をいうとしたうえで、その安全性の欠如は営造物が本来備えるべき物的性状の欠陥にとどまらず、営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において、利用者以外の第三者に対して危害を生じさせる危険性がある場合をも含むとしました。これがいわゆる供用関連瑕疵(機能的瑕疵)の理論です。道路は物理的には何ら欠陥がなくても、それが供用されること自体から沿道に騒音・振動・大気汚染をもたらすのですから、この理論により瑕疵が認められるわけです。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、供用関連瑕疵の理論は「営造物の物的欠陥がなければ瑕疵はない」という素朴な理解を覆すものであり、本肢はまさにその素朴な理解に読み手を引き込もうとしています。第二に、損害賠償請求と差止請求の帰趨が分かれている点です。国道43号線訴訟でも大阪空港訴訟でも、過去の被害に対する賠償は認められた一方、将来にわたる差止めは、当該施設の公共性・公益上の必要性の大きさを比較衡量した結果として認められませんでした。「賠償は認容、差止めは棄却」という結論の非対称性は、受忍限度論における違法性判断が請求内容によって異なりうる(違法性段階説)という議論と結びついており、記述式の素材にもなりますので押さえておきましょう。