1処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
3次条に規定する審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便で提出した場合における前二項に規定する期間(以下「審査請求期間」という。)の計算については、送付に要した日数は、算入しない。
この条文の過去問 3肢
結論:この肢は「正しい」。
違法な行政処分によって損害を受けた者は、あらかじめ当該処分の取消判決や無効確認判決を得ていなくても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求することができます。
根拠となるのは最判昭和36年4月21日です。同判決は、行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ当該行政処分につき取消しまたは無効確認の判決を得る必要はないと判示しました。この立場はその後も一貫して維持されており、最判平成22年6月3日も、固定資産の価格の登録について、審査申出や取消訴訟の手続を経ていなくても国家賠償請求は妨げられないとしています。
理由づけ。行政処分には公定力があり、権限ある機関によって取り消されるまでは、たとえ違法であっても有効なものとして通用します。しかし、公定力が及ぶ範囲は、あくまで処分の効力そのものを否定することに限られます。国家賠償請求は、処分の効力を維持したまま、違法な公権力の行使によって生じた損害の金銭的な填補を求めるものであって、処分の効力を覆すことを内容としません。したがって、国家賠償請求を認めても公定力とは矛盾せず、取消判決の前置(取消訴訟の排他的管轄)は要求されないのです。
ひっかけポイント。第一に、取消訴訟の出訴期間を徒過して処分が不可争力を生じた後であっても、国家賠償請求は可能です(国家賠償法4条・民法724条の消滅時効の範囲内)。この点は救済上きわめて重要です。第二に、国家賠償法上の「違法」と抗告訴訟における「違法」は必ずしも同一ではありません。最判平成5年3月11日(奈良税務署推計課税事件)は、税務署長のした所得税更正処分について、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と処分をしたと認めうるような事情がある場合に国家賠償法1条1項の違法があるとする、いわゆる職務行為基準説的な判断を示しています。したがって、処分が取消訴訟で違法として取り消されたからといって、当然に国家賠償責任が生じるわけでもありません。「取消判決は不要」という本肢の論点と、この違法性相対論をあわせて整理しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。
審査基準と処分基準の義務の強さが、まったく逆に述べられています。
根拠条文。行政手続法5条1項は「行政庁は、審査基準を定めるものとする」と規定し、審査基準の設定を法的義務としています。さらに同条2項は、審査基準はできる限り具体的なものとしなければならないとし、同条3項は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならないと定めています。設定も公表も義務です。
これに対し、行政手続法12条1項は「行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない」と規定しており、処分基準の設定も公表も努力義務にとどまります。同条2項が、処分基準を定めるに当たってはできる限り具体的なものとしなければならないとしている点は審査基準と同様です。
理由づけ。申請に対する処分は、申請者があらかじめ基準を知ることによって申請の準備ができ、また行政庁の恣意的な判断を防ぐことができるため、基準の設定・公表を義務としても支障が小さい類型です。他方、不利益処分については、基準を詳細に公表すると、あらかじめ基準ぎりぎりの行為を狙う脱法的な行動を誘発したり、事案ごとの個別的な事情に応じた柔軟な処分が困難になったりするおそれがあるため、努力義務にとどめられました。
ひっかけポイント。この「義務/努力義務」の対比は行政手続法で最も出題頻度の高い論点です。義務なのは、審査基準の設定・公表(5条)、申請に対する拒否処分の理由提示(8条)、不利益処分の理由提示(14条)です。努力義務なのは、標準処理期間の設定(6条。ただし定めたときの公表は義務)、処分基準の設定・公表(12条)、公聴会の開催等(10条)です。なお、処分基準が努力義務であっても、いったん定められた処分基準には行政の自己拘束が働き、最判平成27年3月3日は、処分基準に先行処分を加重要件とする定めがある場合、その定めと異なる取扱いをすることは特段の事情がない限り裁量権の逸脱濫用に当たるとして、期間経過後も取消訴訟の訴えの利益が失われないとしています。
結論:この肢は「正しい」。
根拠は行政不服審査法9条1項です。同項は、「第四条又は他の法律若しくは条例の規定により審査請求がされた行政庁(……以下「審査庁」という。)は、審査庁に所属する職員……のうちから第三節に規定する審理手続……を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等……に通知しなければならない」と定めています。この規定は、処分についての審査請求(2条)と不作為についての審査請求(3条)とを区別せず、審査請求一般について審理員の指名を義務づけていますから、不作為についての審査請求でも原則として審理員の指名が必要です。したがって本肢は正しい記述です。
理由づけとして、審理員制度は平成26年の全部改正で導入された、現行行政不服審査法の目玉といえる仕組みです。旧法下では、処分に関与した職員がそのまま審理を担当することもあり、審理の公正さに疑問が持たれていました。そこで新法は、審査庁に所属する職員のうちから、当該処分に関与していない者を審理員として指名させ(9条2項1号参照)、審理員が争点整理・証拠調べ・審理手続を主宰して審理員意見書を作成し(42条)、審査庁はこれを踏まえて行政不服審査会等に諮問したうえで裁決を行う(43条、44条)という三段構えの手続を用意しました。不作為の是正を求める審査請求であっても、相当の期間が経過したといえるか、不作為に正当な理由があるかといった事実認定・判断が必要であり、公正な審理の要請は処分の場合と変わりません。
ひっかけポイントは、本肢の「原則として」という留保です。9条1項ただし書は、審査庁が同項各号に掲げる委員会・機関(行政委員会等)である場合、条例に基づく処分について条例に特別の定めがある場合、または24条の規定により審理手続を経ないで審査請求を却下する場合には、審理員の指名を要しないと定めています。したがって「必ず」と言い切れば誤りですが、本肢は「原則として」としているので正しい記述となります。
関連知識として、審理員の指名を要しない場合には行政不服審査会等への諮問も不要となる場面がある点(43条1項各号)、審理員となるべき者の名簿の作成が努力義務とされている点(17条)も、あわせて確認しておきましょう。