1行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この記述は正しい。
水俣病患者認定申請に対する処分の遅延が争われた事案で、最高裁判所(最判平成3年4月26日)は、認定申請者が相当期間内に応答処分を受けることにより焦燥、不安の気持ちを抱かされないという利益は、内心の静穏な感情を害されない利益として不法行為法上の保護の対象になり得ると述べた。もっとも、同判決は、処分の遅延があればただちに賠償責任が生じるとはせず、不法行為の成立には、処分庁が客観的に手続上必要と考えられる期間内に処分をしなかったことだけでは足りず、その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き、かつ、その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことを要するとした。
また、不作為の違法確認訴訟における違法と、国家賠償法1条1項の適用上の違法とは判断の対象と枠組みが異なるため、不作為の違法を確認する判決が確定していても、そのことから当然に国家賠償責任が成立するわけではない。
したがって、記述は判例の趣旨に沿っており妥当である。
結論:この記述は誤り。
所得税の更正と国家賠償責任について、最高裁判所(最判平成5年3月11日)は、税務署長のした所得金額を過大に認定した更正は、そのことからただちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、違法の評価を受ける、と判示した。
記述は、この判示のうち「違法」と評価される場面を「過失」があると評価される場面に置き換え、他方で過大認定があれば直ちに違法になるとしている。つまり、判例が違法性の判断基準として示した職務上通常尽くすべき注意義務の枠組みを、過失の問題にすり替えている点が誤りである。正しくは、過大な更正があっても直ちに違法とはならず、上記の注意義務違反があると認め得る事情がある場合に限って違法と評価される。
したがって、記述は妥当でない。