1すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「妥当でない(誤り)」。本問は『妥当なものはどれか』を問うており、本肢は妥当でないので正解肢ではありません。
天皇の国事行為は憲法7条に限定列挙されています。同条1号は『憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること』を国事行為として定めていますが、ここに『予算の公布』は含まれていません。憲法その他の法令にも、予算の公布を天皇の国事行為とする規定は存在しません。したがって、予算の公布が天皇の国事行為であるとする本肢は誤りです。
理由を補足します。予算は、内閣が作成して国会に提出し、国会の議決によって成立する財政上の議決であり(憲法86条)、法律のような形式の国法とは性質が異なります。法律・政令・条約は外部に効力を及ぼすため公布によって周知する手続が予定されていますが、予算にはそのような『公布』という手続が観念されていません。
ひっかけポイント:予算が国会の議決を経て成立する点で法律と似ているため、『予算も天皇が公布するのでは』と早合点しやすい点です。憲法7条1号の列挙に予算が含まれないこと、そもそも予算に公布の概念がないことを押さえてください。
結論:この肢は「妥当」。これが本問の正解肢です。
予算の作成・提出権は内閣に専属します(憲法73条5号、86条)。そこで国会が予算をどこまで修正できるか、特に金額を増やす『増額修正』が許されるかが論点となります。減額修正は一般に許されると解されていますが、増額修正については、内閣の予算提出権(発案権)を実質的に侵害するおそれがあるため許されない、ないし限界があるとする見解が古くから主張されてきました。本肢前半が紹介する『増額修正は許されないとする見解もある』という記述は、この学説の存在を述べたものとして正しいです。
後半について、現行法には増額修正があり得ることを前提とした規定が実際に置かれています。国会法57条の3は、各議院または各議院の委員会が、予算総額の増額修正等を行おうとする場合に、内閣に対して意見を述べる機会を与えなければならないと定めており、増額修正そのものを正面から想定しています。また財政法19条は、国会が国会・裁判所・会計検査院に関する歳出について予算を修正する場合に必要な財源の付記を求める規定で、これも国会による予算修正(増額を含む)を前提としています。したがって『現行法には増額修正を予想した規定が置かれている』という後半も正しく、肢全体として妥当です。
ひっかけポイント:前半が学説(増額修正は許されないとする見解)の紹介、後半が現行法の事実という二段構成です。前半の見解の存在も後半の規定の存在もいずれも正しいため、全体として妥当な記述になります。なお、増額修正の予想規定として最も端的に挙がるのは国会法57条の3です(57条の2は予算修正動議に要する議員数の定めで、修正手続を支える関連規定)。