(公開 2026/01/11) / 一般知識

行政書士試験|時事問題対策2026・一般知識ニュースと小選挙区制【頻出】

行政書士試験2026の時事問題対策を徹底解説。一般知識のニュース(2026年)はどこから出るか、勉強法、頻出の小選挙区制(小選挙区比例代表並立制・一票の格差)を過去問ベースの例題と解説で整理。足切り回避の戦略も。

最終更新:2026年8月28日(令和8年度試験=2026年11月8日(日)に向けた最新版。法令の基準日・直近の法改正・2026年時点で確認できる時事を反映)

結論:時事問題は「4番目」に手をつける

「行政書士 時事問題 対策」で検索してこの記事にたどり着いた方に、最初に結論をお伝えします。

行政書士試験に「時事問題」という独立した出題枠はありません。 時事は、基礎知識科目14問のうち「一般知識(政治・経済・社会)」の5〜6問の中に、制度や用語の形を借りて紛れ込むだけです。したがって、時事から勉強を始めるのは最も遠回りになります。

正しい着手順は次の4ステップです。

  1. 足切りの数字を正確に覚える(14問中6問・24点・40%)。ここを勘違いしたまま走ると戦略が全部ずれます
  2. 情報通信・個人情報保護(4問)と文章理解(3問)で5〜6問を固める。この7問が最も予測可能で、最も対策しやすい
  3. 行政書士法等(1〜2問)を拾う。2024年度から加わった新分野で、条文数が少なく費用対効果が最高。実際に令和6年度・令和7年度とも出題されています
  4. 時事は最後に、週30分だけ。追うのは「ニュースそのもの」ではなく「ニュースの背景にある制度・用語・施行年月」

この4ステップだけで足切りは越えられます。以下、各ステップを数字と具体例で詰めていきます。特に検索需要の多い小選挙区制については、記事中盤の「過去問で問われた小選挙区制|例題と解説」で、実際に問われた角度を選択肢形式の例題6問+解説として再現しました。すぐ演習したい方は、そこから読み始めても構いません。

2026年度(令和8年度)試験の最新情報と「法令の基準日」

時事対策の前に、2026年度試験の枠組みを押さえておきます。ここを知らずにニュースを追うと、そもそも出題対象にならない法改正を必死に覚えることになりかねません。

令和8年度試験のスケジュール(確定情報)

一般財団法人行政書士試験研究センターおよび各都道府県の公示によると、令和8年度行政書士試験の概要は次のとおりです。

項目内容試験日時令和8年(2026年)11月8日(日)午後1時〜午後4時受験手数料10,400円申込期間(インターネット)令和8年7月21日〜8月24日申込期間(郵送)令和8年7月21日〜8月17日出題数法令等46題+基礎知識14題=60題合格発表令和9年(2027年)1月27日(水)

本記事の執筆時点(2026年8月28日)では、すでに申込期間は終了しています。残り約2か月半。この時期に時事対策へ大量の時間を投じるのは得策ではありません。詳細は必ず試験センターの試験案内で確認してください(申込みの流れ全体は行政書士試験の申込みから合格発表まで完全ガイドで解説しています)。

法令の基準日は「令和8年4月1日」──ここが時事対策の分岐点

行政書士試験には法令の基準日があります。令和8年度試験の試験案内には、次のように明記されています。

令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題する。
― 令和8年度行政書士試験のご案内(行政書士試験研究センター)

これが時事対策における最重要ルールです。意味するところは2つあります。

第1に、2026年4月1日までに施行済みの法改正は、法令科目でも基礎知識でも堂々と出題対象になります。 「新しすぎるから出ないだろう」という油断は禁物です。

第2に、2026年4月2日以降に成立・公布・施行された法改正は、法令科目の出題対象外です。 ただし注意点があり、基礎知識の「一般知識」分野では、社会の動きとして話題性のある法律が扱われる可能性は残ります。とはいえ優先度は明確に下がるので、直前期に新しいニュースを見つけて焦る必要はありません。

この基準日を軸に、2026年度試験に向けた法改正を「対象内/対象外」で仕分けすると、覚えるべき範囲が一気に絞れます。次表がその仕分けです。

法改正・制度施行・成立時期令和8年度試験での位置づけ改正行政書士法2026年1月1日施行基準日内。最重要。「行政書士法等」分野の直球テーマ改正民法(父母の離婚後の親権等)2026年4月1日施行基準日内。民法の出題対象。社会テーマとしても頻出候補住所等変更登記の義務化(不動産登記法)2026年4月1日施行基準日内。実務直結で社会テーマになり得る子ども・子育て支援金の徴収開始2026年4月開始基準日内。少子化対策・社会保障のテーマ改正戸籍法(氏名の振り仮名)2025年5月26日施行基準日内。「行政書士法等」の戸籍法として要注意情報流通プラットフォーム対処法2025年4月1日施行基準日内。情報通信分野の定番候補AI推進法(人工知能関連技術推進法)2025年9月1日全面施行基準日内。情報通信・一般知識の新テーマ令和8年改正個人情報保護法2026年7月17日公布(施行はこれから)基準日外。法令としては出題対象外。時事の話題として名前だけ

「基準日外」の欄まで完璧に覚える必要はありません。時間は基準日内のものに集中させてください。

はじめに:一般知識は「足切り」を回避せよ

行政書士試験の一般知識等科目は、多くの受験生にとって悩みの種です。法令科目でどれだけ高得点を取っても、一般知識等科目で足切りに遭えば不合格になるという厳しいルールがあるためです。

基礎知識科目(旧・一般知識等科目)の出題は合計14問(56点満点)で、このうち6問以上(24点以上)に正解しなければ、法令科目の得点にかかわらず不合格となります。内訳は、一般知識(政治・経済・社会)が5〜6問、行政書士法等が1〜2問、情報通信・個人情報保護が4問、文章理解が3問というのが直近2年の実際の構成です(各分野の出題数は公表されていないため、年度により多少前後します)。

しかし、一般知識等科目は対策の仕方を知っていれば、決して怖い科目ではありません。足切りラインの6問は14問中の43%であり、半分以下の正解率で十分クリアできます。安定して得点できる3分野(個人情報保護法、文章理解、IT・情報通信)で5〜6問を確保し、時事問題で1〜2問を上乗せする戦略が最も効率的です。

本記事では、2026年の行政書士試験で出題が予想される時事トピックを整理するとともに、足切り回避のための効率的な戦略を解説します。時事問題は深入りせず、最小限の労力で最大限の効果を得ることを目指しましょう。

「行政書士の業務に必要な基礎知識」への再編を正確に理解する

2024年度(令和6年度)試験から、従来「一般知識等」と呼ばれていた科目が「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」という名称に変わりました。これは単なる看板の掛け替えではなく、出題範囲の再編を伴っています。試験センターの試験案内には、出題範囲が次のように示されています。

一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解の中からそれぞれ出題する。
― 令和8年度行政書士試験のご案内(行政書士試験研究センター)

つまり現行の基礎知識科目は、次の4分野構成です。

分野中身直近2年の出題数の目安一般知識政治・経済・社会(時事はここに含まれる)5〜6問行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法など1〜2問情報通信・個人情報保護IT用語、情報通信関連法、個人情報保護法、番号法4問文章理解並べ替え・空欄補充・要旨把握3問

ここで注意すべきは次の3点です。

第1に、「政治・経済・社会」という枠が「一般知識」へと縮小されました。 旧制度の解説記事では「政治・経済・社会は7問程度」と書かれていることが多いのですが、行政書士法等が独立した分野として加わった結果、実際には5〜6問に減っています。時事の守備範囲は、あなたが思っているより狭いということです。

第2に、足切り(基準点)の仕組みは一切変わっていません。 14問中6問・24点・40%のままです。したがって、本記事で述べる「時事は深入りせず、安定得点源を固める」という戦略は再編後も有効です。

第3に、新設された「行政書士法等」は最もコストパフォーマンスの高い上乗せ分野です。 実際、令和6年度は問52で行政書士法、問53で住民基本台帳法が、令和7年度は問53で行政書士法が出題されました。2年連続で出ている以上、これは「出るかもしれない分野」ではなく「出る分野」です。行政書士法の総則(業務範囲・登録・義務・罰則)は条文数も限られるため、時事に週1時間かけるより先にここを固めるべきです(行政書士法の基礎知識|業務範囲と義務を整理戸籍法と住民基本台帳法|届出制度の要点整理)。

呼称は新旧どちらも使われますが、本記事では読者になじみのある「一般知識(等)」の表現も併用しつつ解説します。

【2026年度の要注意】改正行政書士法が2026年1月1日に施行された

「行政書士法等」の分野において、2026年度試験で最も警戒すべきなのが2026年1月1日に施行された改正行政書士法です。法令の基準日(令和8年4月1日)より前に施行されているため、出題対象に確実に入ります。

報じられている改正の柱は、①行政書士の使命規定の明確化、②デジタル化への対応に関する責務の新設、③特定行政書士の業務範囲の拡大、④業務制限規定(19条1項)の明確化、⑤両罰規定の強化、といった点です。とりわけ19条1項については、「他人の依頼を受け報酬を得て」といった文言の整理により、行政書士でない者が名称を問わず業務を行うことを禁じる趣旨が明確化され、法人の業務としてこれが行われた場合には行為者と法人の双方を処罰する両罰規定が設けられたとされています。

改正の詳細な条文・施行日の取扱いは、必ず日本行政書士会連合会や所属予定の単位会が公表する公式資料、e-Gov法令検索の現行条文で確認してください。予備校の速報記事や個人ブログは、条文番号や施行日の記載が誤っていることがあります。時事的な法改正ほど、一次情報にあたる習慣が効きます。

一般知識等科目の出題構成と配点

出題の内訳

基礎知識科目は、4つの分野に分かれています。各分野の出題数と特徴を整理します。

一般知識=政治・経済・社会(5〜6問、20〜24点):日本の政治制度、経済政策、社会問題、国際関係など幅広い分野から出題されます。出題範囲が広く予測が難しいため、最も対策が困難な分野です。時事問題もこの分野に含まれます。

行政書士法等(1〜2問、4〜8点):行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法など、行政書士業務と密接に関連する法令から出題されます。2024年度の再編で加わった新分野で、範囲が狭く条文ベースで対策できるため、実は「隠れた安定得点源」です。

情報通信・個人情報保護(4問、16点):個人情報保護法の条文知識、情報通信に関する基本用語、サイバーセキュリティ等から出題されます。条文ベースの学習で対策可能な分野であり、安定した得点源にすべきです。

文章理解(3問、12点):現代文の読解問題です。文章の並べ替え、空欄補充、要旨把握の3形式が出題されます。テクニックを身につければ安定して高得点が狙える分野です。

令和6年度・令和7年度の実際の出題構成

「5〜6問」「1〜2問」という目安がどこから来ているのかを、直近2年の実際の出題(問47〜問60)で確認しておきましょう。予備校各社が公表している問題分析を突き合わせると、次のような構成になっています。

問番号令和6年度(2024年)令和7年度(2025年)問47〜問49政治(3問)政治(3問)問50〜問51経済(2問)経済(2問)問52行政書士法社会問53住民基本台帳法行政書士法問54〜問56情報通信(3問)情報通信(3問)問57個人情報保護個人情報保護問58〜問60文章理解(3問)文章理解(3問)

この表が示す事実は3つあります。

第1に、問54〜問60の7問(情報通信3・個人情報1・文章理解3)は2年連続で完全に同じ配置です。ここが最も読める7問であり、対策の主戦場です。

第2に、問52〜問53の位置に「行政書士法等」が2年連続で入っています。令和6年度は2問、令和7年度は1問。時事に賭けるより、この1〜2問を取りにいくほうが確実です。

第3に、純粋な時事が絡む可能性のある政治・経済・社会は問47〜問52あたりの5〜6問にとどまります。しかもそのすべてが時事というわけではなく、憲法・政治制度の基礎知識で解ける問題が相当数を占めます。「時事対策」に投じるべき時間が、いかに限られているかがわかるはずです。

分野別の特徴を1枚で把握する

各分野の難易度・対策のしやすさ・狙うべき正解数を表で整理します。学習の優先順位を判断する材料にしてください。

分野出題数配点予測可能性対策のしやすさ目標正解数一般知識=政治・経済・社会(時事含む)5〜6問20〜24点低い低い1〜2問行政書士法等1〜2問4〜8点高い高い(範囲が狭い)1問情報通信・個人情報保護4問16点高い高い(条文・用語暗記)3問文章理解3問12点高い高い(解法テクニック)2〜3問合計14問56点――7〜9問

この表から読み取るべきポイントは明確です。予測可能性と対策のしやすさが高いのは「行政書士法等」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の計8〜9問。このうち6問を固められれば、時事問題を1問も取れなくても足切りを突破できます。旧制度の「3分野・7問」という前提で戦略を立てている受験生が多い今、この1〜2問の差は大きなアドバンテージになります。

足切りラインと得点戦略

足切りラインは14問中6問以上(24点以上)です。これをクリアするための現実的な戦略は以下のとおりです。

安定得点源で5〜6問確保

  • 情報通信・個人情報保護:4問中3問正解(条文・用語学習で対応可能)
  • 文章理解:3問中2〜3問正解(テクニックで安定)
  • 行政書士法等:1〜2問中1問正解(範囲が狭く、費用対効果が最も高い)

時事・政経社会で1〜2問上乗せ

  • 一般知識(政治・経済・社会):5〜6問中1〜2問正解

安定得点源で5〜6問確保できれば、時事問題で1問取るだけで足切りをクリアできます。時事問題に過度な時間を割く必要はなく、安定得点源の強化を優先すべきです。

なお、この配分にはあえて余裕を持たせています。本試験では、得意なはずの分野で見慣れない出題に当たることが必ず一度はあります。「6問ちょうど」を狙う設計にすると、1問の事故で足切りに直結します。目標は7〜8問に置き、6問はあくまで最低ラインと考えてください(より詳しい配分設計は一般知識対策の総合戦略|足切りを確実に突破するを参照)。

足切り基準の法的根拠と「合格基準」の3要件

行政書士試験の合格基準は、毎年度、一般財団法人行政書士試験研究センターから公表されます。例年示される基準は次の3つをすべて満たすことです。

  1. 法令等科目の得点が、当該科目の満点の50%以上(244点満点中122点以上)
  2. 一般知識等(基礎知識)科目の得点が、当該科目の満点の40%以上(56点満点中24点以上)
  3. 試験全体の得点が、満点の60%以上(300点満点中180点以上)

このうち②が、いわゆる「足切り」です。重要なのは、①と③をクリアしていても②を満たさなければ不合格になるという点です。逆に、②さえ確保できていれば、あとは法令科目で勝負できます。合格基準は補正措置(難易度調整)がとられる年もありますが、足切りの「40%=6問」というラインは安定して維持されています。この「40%=24点=6問」という数字は、正誤問題で頻出の引っかけポイントです。「50%」「8問」などと混同しないよう、正確に記憶しましょう。

合格者の一般知識等の得点分布

合格者の一般知識等科目の得点は、6〜9問正解(24〜36点)に集中しています。10問以上正解している合格者は少数派であり、一般知識等で高得点を目指す必要はありません。7〜8問正解(28〜32点)を安定して取れるようになれば、足切りの心配なく法令科目の学習に集中できます。

逆に言えば、本試験の現場では「一般知識で確実に6問を超えた」という安心感が、残りの法令科目を冷静に解く土台になります。試験戦略上は、安定分野を先に解いて基準点超えの感触を得てから、政治・経済・社会の難問に取り組むという解答順序も有効です。

確認問題

行政書士試験の合格基準は、法令等科目で50%以上、基礎知識(一般知識等)科目で40%以上、試験全体で60%以上の得点をいずれも満たすことである。○か×か。

○ 正しい × 誤り
解説
行政書士試験研究センターが公表する合格基準は、(1)法令等科目で満点の50%以上(244点中122点以上)、(2)基礎知識(一般知識等)科目で満点の40%以上(56点中24点以上=6問以上)、(3)全体で満点の60%以上(300点中180点以上)の3要件をすべて満たすことです。基礎知識科目の足切りは40%=24点=6問が正しい基準です。

行政書士試験の時事問題対策|どこから出るか・勉強法

「行政書士 時事問題 対策」と検索する受験生が最初に知りたいのは、(1)時事問題はどこから出るのか、(2)どう勉強すれば効率的か、の2点でしょう。ここで全体像を整理します。

時事問題はどこから出るか(出題源)

行政書士試験の時事問題は、一般知識(政治・経済・社会)の5〜6問の中に紛れ込む形で出題されます。独立した「時事問題」という枠があるわけではなく、政治制度・経済政策・社会問題の設問が、その時々の話題(ニュース)と結びついて作られる、と理解するのが正確です。具体的な出題源は次の3つに集約されます。

  1. 直近1〜2年の行政組織の新設・改編(例:デジタル庁、こども家庭庁)
  2. 法令の基準日までに施行された法改正・新法(例:改正行政書士法、改正戸籍法、情報流通プラットフォーム対処法、AI推進法)
  3. 継続的に注目される制度・政策テーマ(例:選挙制度、金融政策・新NISA、少子高齢化、SDGs、国際情勢)

芸能・スポーツ・個別の事件事故は出題されません。「ニュースそのもの」よりも、「ニュースの背景にある制度・用語」が問われる点が最大の特徴です(詳しくは後述の「時事の出題されやすい角度」参照)。

「ニュースが問題になる」までのタイムラグを理解する

もう1つ、時事対策で決定的に重要なのがタイムラグです。試験問題は試験日の直前に作られるわけではなく、相当の期間をかけて作問・校閲されます。加えて、法令の基準日が試験年度の4月1日である以上、試験直前の数か月に起きた出来事が問題になる可能性は構造的に低いのです。

具体的に言えば、2026年11月8日の試験で問われる可能性が高いのは、おおむね2024年後半から2026年前半までに制度として固まった事柄です。2026年の夏以降のニュースを必死に追いかけても、得点にはほとんど結びつきません。

この構造を知っていれば、直前期にニュースを見て不安になる必要がなくなります。9月以降にやるべきは「新しい情報を入れること」ではなく、「すでに整理した制度・用語・施行年月を反復すること」です。

時事問題の勉強法(最短ルート)

時事対策は「深入りしない」のが鉄則です。次の3ステップが最も費用対効果に優れます。

  1. 毎日5〜10分:新聞の一面・社説、またはニュースアプリで政治・経済・社会のトップ項目に目を通す
  2. 月1回30分:予備校の時事対策テキストや白書の概要で、重要トピックを「制度・用語・施行年月」の単位で整理する
  3. 直前期(試験2〜3か月前):時事テキストを1冊に絞り、行政組織の新設・法改正を施行年月とセットで2〜3周する

時事に費やす時間は週30分〜1時間で十分です。残りの時間は配点の大きい法令科目(行政法・民法)に回すのが合格への近道です。

2026年の注目ニュース・時事テーマ(要点整理表)

2026年8月28日時点で、行政書士試験の時事問題として狙われやすい「制度的に確立した」テーマを整理します。下表は不確実な未来予測ではなく、すでに施行・制度化され、法令の基準日(2026年4月1日)までに固まっているものに絞っています。各テーマの詳細は本記事の後続セクションで解説します。

分野時事テーマ押さえるべき出題ポイント行政書士法等改正行政書士法(2026年1月1日施行)使命規定、デジタル対応の責務、業務制限(19条1項)、両罰規定行政書士法等改正戸籍法=氏名の振り仮名(2025年5月26日施行)戸籍に振り仮名が記載されるようになった/通知と届出の仕組み政治・行政組織デジタル庁/こども家庭庁設置形態(内閣/内閣府の外局)・所管・発足年政治・選挙小選挙区制/一票の格差小選挙区比例代表並立制、メリット・デメリット、最高裁判決経済・金融金融政策の正常化/新NISA緩和・引き締めの方向、非課税枠・限度額経済・労働働き方改革/2024年問題時間外労働の上限規制、猶予業種(建設・運送・医師)社会少子高齢化/子ども・子育て支援金高齢化率・出生率の方向、支援金の徴収開始(2026年4月)社会民法改正=父母の離婚後の親権等(2026年4月1日施行)離婚後も双方が親権を持ち得る制度への転換社会・実務住所等変更登記の義務化(2026年4月1日施行)変更から2年以内の申請義務、経過措置、過料情報通信情報流通プラットフォーム対処法(2025年4月1日施行)プロバイダ責任制限法からの改称、削除対応の迅速化・透明化情報通信AI推進法(2025年9月1日全面施行)内閣にAI戦略本部、AI基本計画、EUとの規制アプローチの違い情報通信個人情報保護法の3年ごと見直し公的部門の一元化(2023年4月)、仮名・匿名加工情報と個人関連情報の区別国際ロシア・ウクライナ/気候変動国連の機関構成・拒否権、パリ協定

「ニュース 2026」を意識して最新性ばかりを追うより、上表のように「制度・用語・年月」を確実に押さえるほうが、行政書士試験では確実に得点につながります。

2026年に施行された「行政書士に効く」3つの改正

上表のうち、2026年度試験に向けて特に押さえておきたいのが、2026年に施行された3つの改正です。いずれも法令の基準日(2026年4月1日)に間に合っており、かつ行政書士業務との距離が近いため、基礎知識でも法令科目でも扱われ得ます。

① 改正行政書士法(2026年1月1日施行):前述のとおり、業務制限規定の明確化と両罰規定の強化が柱とされています。「行政書士法等」分野の直球テーマです。

② 改正民法=父母の離婚後の親権等(2026年4月1日施行):2024年(令和6年)5月に成立・公布された民法等の一部を改正する法律について、政府は施行日を2026年4月1日と定める政令を閣議決定し、同日施行されました。離婚後は父母のいずれか一方のみが親権者となる(単独親権)という従来の原則が改められ、父母の協議や家庭裁判所の判断により、離婚後も双方が親権を持ち得る制度になっています。民法の出題対象であると同時に、家族法制の大転換として社会分野のテーマにもなり得ます。

③ 住所等変更登記の義務化(2026年4月1日施行):不動産登記法の改正により、所有権の登記名義人は、住所や氏名(法人の場合は本店所在地・名称)に変更があった日から2年以内に変更登記を申請することが義務づけられました。施行日前に生じた変更については、施行日から2年間(2028年3月31日まで)の猶予が設けられ、正当な理由なく怠った場合は過料の対象となり得るとされています。相続登記の義務化(2024年4月)と対で覚えておくと、社会・実務系の設問に強くなります。

いずれも施行から日が浅い改正です。細かい要件よりも、「何が変わったのか」「いつから変わったのか」を一言で言えるようにしておけば十分です。

2026年に出題が予想される政治分野のトピック

デジタル庁の施策とデジタル社会の推進

デジタル庁は2021年9月に発足した比較的新しい行政機関であり、試験でも継続的に注目されるトピックです。デジタル社会形成基本法に基づき、行政のデジタル化を推進する司令塔としての役割を担っています。

2026年試験で問われる可能性があるポイントは以下のとおりです。

マイナンバーカードの普及と利活用:マイナンバーカードの健康保険証としての利用(マイナ保険証)が進んでいます。従来の紙の健康保険証は2024年12月に新規発行が終了し、マイナ保険証への移行が進められています。マイナンバー制度とマイナンバーカードの機能の区別を理解しておきましょう。

デジタル社会形成基本法の内容:デジタル社会の形成に関する基本理念、国・地方公共団体の責務、デジタル庁の設置根拠等が定められています。同法の基本理念として「全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現」が掲げられている点を押さえましょう。

デジタル庁の組織上の特徴(出題ポイント)

デジタル庁は内閣に置かれる機関であり、その長は内閣総理大臣です。実務を統括するためにデジタル大臣が置かれ、さらに事務方トップとしてデジタル監が置かれているのが組織上の特徴です。各府省庁の縦割りを排して横断的に施策を進めるため、勧告権など他省庁に対する強い権限が与えられている点が、従来の行政組織と異なるポイントとして問われ得ます。

マイナンバー(個人番号)とマイナンバーカードの違いも頻出です。マイナンバーは番号利用法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)に基づき、社会保障・税・災害対策の3分野に利用範囲が法定されている12桁の番号です。一方マイナンバーカードは、その番号を券面に記載しつつ、ICチップに電子証明書(公的個人認証)を格納した物理的なカードであり、本人確認やオンライン申請の手段として機能します。「番号そのもの」と「カード」を混同させる選択肢に注意しましょう。

こども家庭庁と少子化対策

こども家庭庁は2023年4月に内閣府の外局として設置された行政機関です。こども政策の司令塔として、少子化対策、子育て支援、児童虐待防止等を担当しています。

2024年に「こども未来戦略」に基づく子育て支援の拡充策が打ち出されており、児童手当の拡充(所得制限の撤廃、支給対象の高校生年代への拡大、第3子以降の増額)などが実施されています。行政組織の改編(省庁の新設)に関する出題は時事問題の定番です。

行政組織新設の「定番出題」を表で整理

近年新設された行政機関は、設置時期・設置形態・所管がセットで問われます。横断的に覚えておくと取りこぼしを防げます。

機関発足設置形態主な所管消費者庁2009年内閣府の外局消費者行政の一元化復興庁2012年内閣に設置(期限付き)東日本大震災の復興デジタル庁2021年9月内閣に設置(長は内閣総理大臣)デジタル社会の推進こども家庭庁2023年4月内閣府の外局こども政策の司令塔

このうち「デジタル庁=内閣に直接設置」「こども家庭庁=内閣府の外局」という設置形態の違いは、引っかけとして狙われやすいポイントです。なお、教育行政(学校教育)は文部科学省に残っており、こども家庭庁に一元化されたわけではない点も誤解されやすいので押さえておきましょう。

安全保障政策の変化

日本の安全保障政策は近年大きな転換を迎えています。2022年12月に改定された国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画(安保3文書)により、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有が明記されました。

防衛費のGDP比2%への増額方針や、経済安全保障推進法(2022年成立)に基づくサプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全性確保なども出題の可能性があります。

経済安全保障推進法の4つの柱(重要物資のサプライチェーン強靱化、基幹インフラの安全性・信頼性確保、先端的な重要技術の官民協力、特許出願の非公開)は、用語レベルで整理しておくと、経済安全保障をテーマにした設問に対応しやすくなります。

【頻出】小選挙区制をわかりやすく解説

政治分野では、選挙制度の基礎知識が最も安定して問われます。中でも「小選挙区制」は行政書士試験の一般知識(基礎知識)で頻出のテーマです。なぜ頻出かというと、(1)制度がほぼ変わらず出題側が問題を作りやすい、(2)憲法(選挙権・一票の格差)とも横断的に絡められる、(3)メリット・デメリットや他制度との比較という「正誤を作りやすい論点」が豊富だからです。ここで行政書士一般知識レベルに必要な範囲を正確に整理します。

小選挙区制とは(基本の仕組み)

小選挙区制とは、1つの選挙区から1人の代表(当選者)を選ぶ制度です。最も多くの票を得た候補者1人だけが当選し、それ以外の票は議席に結びつきません。これに対し、1つの選挙区から複数人を選ぶのが大選挙区制、政党の得票率に応じて議席を配分するのが比例代表制です。

衆議院は「小選挙区比例代表並立制」

現在の衆議院議員選挙は、小選挙区比例代表並立制を採用しています。これは、小選挙区制と比例代表制を組み合わせ、別々に投票・集計する仕組みです(並立制)。有権者は、小選挙区では候補者名を、比例代表ブロックでは政党名を書く2票制で投票します。衆議院の比例代表は政党名のみで投票し、政党があらかじめ届け出た名簿の順位どおりに当選が決まる拘束名簿式である点が重要です。

定数の内訳は必ず覚えてください。 衆議院議員の定数は465人で、その内訳は小選挙区289人・比例代表176人です。この3つの数字は、選択肢の中に数字を入れ替えた形で紛れ込ませやすいため、正誤問題の格好の材料になります。「小選挙区176・比例289」と逆にした選択肢や、「定数480」「定数475」といった過去に用いられていた数字を持ち出す選択肢は、典型的な誤りです。定数は削減が重ねられてきた経緯があるため、古い数字が誤肢の材料として使いやすいのです。

なお、衆議院の定数削減については、2025年末以降、与党側から現行465の1割程度を削減する案が示され法案も国会に提出されたと報じられていますが、本記事執筆時点(2026年8月28日)で成立・施行が確認できる情報はありません。試験対策としては現行の465(289+176)で覚えてください。 制度改正は、成立・公布・施行のいずれの段階かで扱いがまったく変わります。「議論されている」段階のものを覚え込まないことも、時事対策の技術です。

重複立候補・惜敗率・比例復活の仕組み

小選挙区と比例代表の両方に重複して立候補できる「重複立候補」が認められている点は、衆議院特有の出題ポイントです。仕組みを分解すると次のようになります。

  1. 政党の公認候補は、小選挙区に立候補しつつ、同じブロックの比例名簿にも名前を載せることができる
  2. 小選挙区で当選した候補は、比例名簿からは除外される(二重に当選することはない)
  3. 小選挙区で落選した候補は、比例名簿の順位に従って復活当選し得る
  4. 政党は、比例名簿で複数の重複候補を同一順位に並べることができる
  5. 同一順位に並んだ候補の間では、惜敗率の高い順に当選が決まる

惜敗率とは、その候補者が立候補した小選挙区における「当選者の得票数」に対する「その候補者自身の得票数」の割合です。式にすると次のとおりです。

惜敗率 = 落選した重複候補者の得票数 ÷ その選挙区の当選者の得票数 × 100(%)

たとえばA選挙区で当選者が10万票、落選した重複候補が9万票なら惜敗率90%。B選挙区で当選者が8万票、落選した重複候補が6万票なら惜敗率75%。両者が同一順位なら、惜敗率90%のA選挙区の候補が先に復活します。「得票数の多い順」ではなく「惜敗率の高い順」である点が引っかけのポイントです(上の例では、B選挙区の候補より得票の少ない候補でも惜敗率が高ければ先に当選し得ます)。

もう1つ、小選挙区で一定の得票に達しなかった候補は比例復活できないという制限があります。供託金没収点(有効投票総数の10分の1)に満たない得票しかできなかった重複候補は、比例名簿から除かれる扱いです。この点は、行政書士試験でも過去に出題実績のある論点です。

参議院の選挙制度との対比(合区・特定枠)

参議院は、都道府県等を単位とする選挙区制と、全国を1単位とする比例代表制を組み合わせています。参議院の比例代表は、候補者名でも政党名でも投票でき、原則として個人の得票順に当選する非拘束名簿式であり、衆議院の拘束名簿式と対比させて問われます。

参議院固有の論点として、次の2つも押さえておきましょう。

合区:一票の格差是正のため、鳥取県と島根県、徳島県と高知県が、それぞれ2県で1つの選挙区とされています。都道府県単位を崩した点で大きな制度変更でした。

特定枠:比例代表の非拘束名簿式の例外として、政党が名簿の一部の候補にあらかじめ優先的な順位を付けられる仕組みです。合区で候補を立てられなくなる県への配慮などが背景とされます。「参議院の比例代表はすべて非拘束名簿式である」という選択肢は、この特定枠の存在ゆえに誤りとされ得るため注意してください。

なお、直近の参議院議員通常選挙は、2025年(令和7年)7月20日に執行された第27回参議院議員通常選挙です(7月3日公示)。選挙結果そのものが問われることはまれですが、「直近の国政選挙はいつか」を答えられないと、投票率や制度改正の話題に接続できません。

観点衆議院参議院議員定数465人(小選挙区289・比例176)248人(選挙区148・比例100)任期4年(解散あり)6年(3年ごとに半数改選・解散なし)比例の投票方式政党名のみ候補者名でも政党名でも可比例の名簿拘束名簿式非拘束名簿式(特定枠は例外)比例の単位全国11ブロック全国1単位重複立候補認められる(惜敗率で順位)認められない被選挙権25歳以上30歳以上

この対比表は、選挙制度の設問が出たときに真っ先に思い出すべき骨格です。より詳しい制度解説は選挙制度|小選挙区制・比例代表の仕組みと頻出ポイントで扱っています。

小選挙区制のメリット・デメリット

小選挙区制は長所と短所がはっきりしており、メリット・デメリットの対比は典型的な出題ポイントです。

観点小選挙区制比例代表制当選者1選挙区1人(最多得票者)政党の得票率に応じて配分政党制への傾向二大政党制に向かいやすい多党制になりやすい政権安定した多数派をつくりやすい連立になりやすく民意を反映しやすい死票多くなりやすい少なくなりやすい候補者と有権者関係が緊密になりやすい政党本位になりやすい

小選挙区制のメリットは、政権が安定しやすく、有権者と候補者の関係が密になりやすい点です。デメリットは、当選者以外に投じられた票(死票)が多くなり、少数意見が議席に反映されにくい点です。「小選挙区制は死票が少ない」「比例代表制は二大政党制を促す」といった逆の記述は典型的な誤りなので注意しましょう。

一票の格差と最高裁判決

小選挙区制とセットで頻出なのが「一票の格差(議員定数不均衡)」です。これは、選挙区ごとの議員1人あたりの有権者数に差があり、人口の少ない選挙区の一票が重く、多い選挙区の一票が軽くなる問題で、憲法14条の法の下の平等・投票価値の平等に反しないかが争われてきました。

最高裁は、格差が一定限度を超えた状態を「違憲状態」と判断しつつも、是正に必要な合理的期間内であったか等を考慮し、選挙自体は無効とせず有効とする判断(事情判決の法理を援用)を繰り返してきました。「最高裁が選挙を無効とした」と断定する選択肢は誤りです。投票価値の平等は政治分野と憲法の両面から問われるため、横断的に押さえておくと有利です(憲法側からの整理は法の下の平等(14条)|平等原則の意味と重要判例を参照)。

判断枠組みを3段階で覚える

一票の格差の判例は、事案ごとに結論が違うため丸暗記が困難です。しかし最高裁の判断は、次の3段階のステップで一貫しています。この枠組みだけ覚えれば、初見の判例でも選択肢を切れます。

  1. 格差が憲法の要求する投票価値の平等に反する程度に達しているか(=違憲状態か)
  2. 憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかったか(=違憲か)
  3. 違憲だとして、選挙を無効とすべきか(=事情判決の法理により、無効としない余地がある)

①でとどまれば「違憲状態だが違憲ではない」、②まで進むと「違憲」、③で無効としなければ「違憲だが選挙は有効」。この3段階のどこで止まったかが判決の結論です。「違憲状態」と「違憲」は別の段階を指す言葉であり、ここを混同させる選択肢が最も多い引っかけです。

押さえるべき判例と直近の動向
判決対象結論の要点最大判昭和51年4月14日衆議院(格差約4.99倍)違憲と判断しつつ、事情判決の法理により選挙は無効としなかった最大判平成11年11月10日衆議院(小選挙区比例代表並立制の合憲性)並立制および重複立候補制は憲法に違反しないとした最二小判令和7年9月26日2024年10月執行の衆議院議員総選挙(最大格差2.06倍)合憲と判断。アダムズ方式に基づく区割りに合理性があるとした

とくに直近の令和7年(2025年)9月26日の最高裁第二小法廷判決は、2026年度試験の時事として意識しておく価値があります。2024年10月の衆院選(最大格差2.06倍)について「合憲」との判断が示され、大法廷に回付せず小法廷で判断した点でも異例とされました。

この判断の前提にあるのがアダムズ方式です。これは、各都道府県の人口を一定の数で割り、小数点以下を切り上げた整数を定数として配分する方式で、人口比をより正確に反映しやすいとされます。この方式に基づく区割り改定(いわゆる「10増10減」=東京5増・神奈川2増・埼玉・千葉・愛知が各1増、宮城・福島・新潟・滋賀・和歌山・岡山・広島・山口・愛媛・長崎が各1減)を定めた改正公職選挙法が2022年に成立し、2024年10月の衆院選から初めて適用されました。

つまり時事の文脈では、「アダムズ方式による10増10減 → 最大格差が2倍程度に縮小 → 最高裁も合憲と判断」という一本の流れとして理解しておくのが最も効率的です。細かい判決日を暗記するより、この因果関係を説明できるようにしてください。

なお、立法不作為と国家賠償という角度から選挙権が問われることもあります(在外日本人選挙権訴訟|立法不作為と国家賠償を解説)。

過去問で問われた小選挙区制|例題と解説

「行政書士試験 一般知識 小選挙区制 過去問」「小選挙区制 出題」で検索する方が本当に知りたいのは、実際にどんな形で問われるのかでしょう。ここでは、行政書士試験および同種の試験で実際に問われてきた角度を踏まえ、選択肢形式の例題を6問用意しました。すべて本記事オリジナルの作問です。まず自分で解いてから解説を読んでください。

小選挙区制が「頻出」である3つの理由

なぜ小選挙区制がこれほど繰り返し問われるのか。理由を知っておくと、どこが狙われるかの勘が働きます。

理由1:制度が安定していて作問しやすい。 選挙制度は毎年変わるものではありません。作問側からすれば、何年経っても使える安定した素材です。時事の枠内でありながら「時事ではない」ため、出題者にとって最も安全な問題になります。

理由2:憲法と横断できる。 選挙権・投票価値の平等(憲法14条・15条・44条)、議員定数不均衡訴訟、在外日本人選挙権訴訟など、憲法の重要判例と直結します。基礎知識でも法令科目でも使える論点は、出題頻度が上がります。

理由3:正誤を作りやすい対立軸が豊富。 小選挙区制と比例代表制、衆議院と参議院、拘束名簿式と非拘束名簿式、死票の多少、二大政党制と多党制──対比の軸がいくつも取れます。対比があるところに選択肢が生まれるというのは、択一試験の鉄則です(多肢選択式の戦略も参考にしてください)。

逆に言えば、対策すべき範囲はこの3軸に絞られます。選挙制度の歴史や各国比較まで手を広げる必要はありません。

例題1:小選挙区制と比例代表制の一般的特徴

選挙制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 小選挙区制は、1つの選挙区から複数の代表を選出する制度であり、大選挙区制よりも死票が少なくなる。
  2. 小選挙区制は、二大政党制を促進しやすい一方で、当選者以外に投じられた票が死票となりやすいという短所がある。
  3. 比例代表制は、政党の得票率に応じて議席を配分する制度であり、小選挙区制よりも二大政党制を促進しやすい。
  4. 比例代表制のもとでは、単独政党が議会の過半数を得やすくなるため、政権が安定しやすい。
  5. 小選挙区制のもとでは、候補者と有権者の関係が希薄になり、政党本位の選挙になりやすい。

正解:2

解説

選択肢2が妥当です。小選挙区制は1選挙区1人を選ぶため、最多得票者以外に投じられた票はすべて議席に結びつかず(死票)、その分だけ大政党に有利に働きます。結果として二大政党制に収斂しやすい一方、少数意見が議席に反映されにくいという短所を抱えます。この「メリットとデメリットが表裏一体である」構造が、小選挙区制を理解する核心です。

1は二重に誤りです。小選挙区制は「1つの選挙区から1人」を選ぶ制度であり、複数を選ぶのは大選挙区制です。また死票は小選挙区制のほうが多くなります。定義と帰結の両方をひっくり返す、典型的な作りの誤肢です。

3は誤り。比例代表制は得票率を議席に反映させるため小政党でも議席を得やすく、多党制になりやすい制度です。「比例代表制が二大政党制を促す」は方向が逆です。

4も誤り。多党制になりやすい比例代表制のもとでは単独過半数が生まれにくく、連立政権が常態化しやすくなります。「政権が安定しやすい」のは小選挙区制のほうです。

5は誤り。小選挙区制では選挙区が狭く、候補者と有権者の距離が近くなりやすいとされます。「政党本位になりやすい」のは、政党名で投票する比例代表制の特徴です。

この例題の型:定義(何人選ぶか)と帰結(死票・政党制・政権の安定性・候補者との距離)を、片方だけ入れ替えて誤肢を作るパターンです。表の縦列を丸ごと覚えて、入れ替えられたら気づく状態を目指してください。

例題2:衆議院の小選挙区比例代表並立制の仕組み

衆議院議員選挙の制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 衆議院議員の定数は465人であり、その内訳は小選挙区選出176人、比例代表選出289人である。
  2. 衆議院の比例代表選挙は全国を1つの単位として行われ、有権者は候補者名または政党名のいずれかを記載して投票する。
  3. 衆議院の比例代表選挙は拘束名簿式であり、有権者は政党名を記載して投票し、当選人は政党があらかじめ届け出た名簿の順位に従って決定される。
  4. 衆議院議員選挙では、小選挙区と比例代表の双方に重複して立候補することは認められていない。
  5. 小選挙区選挙で落選した重複立候補者は、その得票数の多い順に比例代表で復活当選する。

正解:3

解説

選択肢3が妥当です。衆議院の比例代表は拘束名簿式であり、有権者は政党名のみを記載します。当選人は、政党があらかじめ届け出た名簿の順位に従って決まります。

1は数字の入れ替えです。定数465は正しいものの、内訳は小選挙区289・比例代表176であり、記述は逆になっています。この種の数字入れ替えは非常によく使われるため、「289」と「176」はセットで、順序も含めて記憶してください。

2は参議院の比例代表の説明です。参議院の比例代表は全国1単位・非拘束名簿式で、候補者名でも政党名でも投票できます。これに対し衆議院の比例代表は全国11ブロック単位で、政党名のみの投票です。「全国1単位」「候補者名でも可」という2点が衆議院の説明として出てきたら、参議院の話が紛れ込んでいると判断できます。

4は誤り。衆議院では重複立候補が認められています。むしろ重複立候補と比例復活は、並立制を語るうえで欠かせない要素です。

5は最も間違えやすい誤肢です。同一順位に並んだ重複立候補者の間で当選順位を決めるのは、得票数ではなく惜敗率(その選挙区の当選者の得票数に対する自分の得票数の割合)です。選挙区によって有権者数も投票率も違う以上、絶対得票数で比べると不公平になるためこの仕組みが採られています。

この例題の型:衆議院と参議院の制度を混ぜて誤肢を作るパターンと、数字を入れ替えるパターン。前掲の衆参対比表を、左右どちらの列の話かを意識しながら読み返してください。

例題3:ドント式による議席配分の計算

ある比例代表選挙のブロック(定数6)において、各党の得票数が次のとおりであった。ドント式によって議席を配分した場合、A党・B党・C党の獲得議席数の組合せとして妥当なものはどれか。

  • A党:1,200票
  • B党: 900票
  • C党: 480票
  1. A党3・B党2・C党1
  2. A党3・B党3・C党0
  3. A党4・B党2・C党0
  4. A党2・B党2・C党2
  5. A党4・B党1・C党1

正解:1

解説

ドント式は、各党の得票数を1、2、3、4……という自然数で順に割り、得られた商の大きい順に定数ぶんの議席を配分する方式です。実際に商を並べてみましょう。

除数A党(1,200)B党(900)C党(480)÷11,200(1位)900(2位)480(4位)÷2600(3位)450(5位)240÷3400(6位)300160÷4300225120

商を大きい順に並べると、1,200(A)→900(B)→600(A)→480(C)→450(B)→400(A)となります。定数は6なので、ここまでで打ち切ります。したがってA党3議席(1,200・600・400)、B党2議席(900・450)、C党1議席(480)となり、選択肢1が正解です。

計算のコツ:試験時間は限られています。表を全部埋める必要はありません。定数ぶん(この例では6つ)の商が確定した時点で打ち切ること。また、商が僅差になる部分(この例では480と450と400)だけを慎重に比較すれば足ります。

ドント式の周辺論点:商が同数となって議席を決められない場合は、選挙会において選挙長がくじで定めるとされています(公職選挙法の規定)。「同数の場合は得票総数の多い党に配分する」といった選択肢は誤りです。また、ドント式は衆議院・参議院の双方の比例代表で採用されている点も押さえておきましょう。「衆議院だけがドント式」という記述は誤りです。

計算問題は多くの受験生が敬遠しますが、ドント式は手順さえ知っていれば必ず解けます。「捨てない」と決めておくだけで、1問を確実に拾える数少ない領域です。

例題4:一票の格差をめぐる判例

いわゆる一票の格差(議員定数不均衡)をめぐる最高裁判所の判断に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 最高裁判所は、投票価値の不平等が憲法の要求に反する程度に至っている場合には、常に当該選挙を無効としてきた。
  2. 最高裁判所は、投票価値の不平等が憲法の要求に反する程度に至っていても、憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかったといえない場合には、憲法違反とはいえないとしてきた。
  3. 「違憲状態」と「違憲」は同義であり、最高裁判所が「違憲状態」と述べた場合には当該定数配分規定が憲法に違反することが確定する。
  4. 最高裁判所は、衆議院の小選挙区比例代表並立制それ自体について、投票価値の平等に反し憲法に違反すると判断している。
  5. 投票価値の平等は、憲法上、選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準であり、他の政策的目的や理由を考慮する余地はない。

正解:2

解説

選択肢2が妥当です。最高裁の判断枠組みは、①投票価値の不平等が憲法の要求に反する程度に達しているか(違憲状態か)、②合理的期間内に是正されなかったか(違憲か)、③無効とすべきか、という3段階を踏みます。①を満たしても②を満たさなければ、憲法違反とまでは判断されません。

1は誤り。最高裁は、定数配分規定を違憲と判断した場合でも、事情判決の法理を援用して選挙自体は無効としない、という処理を重ねてきました(最大判昭和51年4月14日など)。選挙を無効にすると、その選挙で選ばれた議員の関与した立法まで効力が問題になりかねないという実際上の考慮が背景にあります。「常に無効としてきた」は明確な誤りです。

3は前述の3段階を混同させる誤肢で、実務でも報道でも混乱しやすい部分です。「違憲状態」は①の段階にとどまることを指し、②に至って初めて「違憲」となります。

4は誤り。最高裁は最大判平成11年11月10日において、小選挙区比例代表並立制および重複立候補制は憲法に違反しないと判断しています。制度そのものの合憲性と、その運用における格差の問題は、切り分けて理解してください。

5は誤り。最高裁は、投票価値の平等が唯一絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮し得る他の政策的目的・理由との調和のもとで実現されるべきものである、という立場を取ってきました。選挙制度の仕組みの決定について国会に広い裁量が認められる、という前提です。

直近の動向:2024年10月執行の衆議院議員総選挙(最大格差2.06倍)については、2025年9月26日に最高裁第二小法廷が合憲との判断を示しました。アダムズ方式による区割りに合理性があると評価されたものです。時事としては、「10増10減で格差が縮小し、合憲判断につながった」という流れで押さえておけば十分です。

例題5:死票と投票価値をめぐる基本概念

選挙における死票および投票価値に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 死票とは、白票や記載不備により無効とされた票のことをいう。
  2. 小選挙区制において、当選者の得票率が50%を下回ることはあり得ない。
  3. 死票が多い制度では、政党の得票率と議席占有率との乖離が大きくなりやすい。
  4. 比例代表制は死票が生じない制度であり、すべての票が議席に反映される。
  5. 一票の格差とは、選挙区ごとの投票率の差を意味する。

正解:3

解説

選択肢3が妥当です。死票が多いということは、議席に結びつかない票が多いということであり、その結果として得票率と議席占有率の乖離が大きくなります。小選挙区制で、得票率4割の政党が議席の6割を占めるといった現象が起きるのはこのためです。この乖離こそが、小選挙区制の最大の論点です。

1は誤り。死票とは、当選者以外の候補者に投じられ、議席に結びつかなかった有効票のことです。無効票とはまったく別の概念であり、両者を混同させる選択肢は頻出です。死票は「有効に投じられたのに報われなかった票」だと理解してください。

2は誤り。小選挙区制は最多得票者が当選する相対多数制であり、候補者が3人以上いれば、得票率4割や3割台でも当選し得ます。むしろこれが死票を大量に生む原因です。「小選挙区制=過半数を得た者が当選」という思い込みは典型的な誤解です。

4は誤り。比例代表制は死票が「少ない」制度であって、「生じない」制度ではありません。議席配分の方式(ドント式など)の性質上、どの政党にも議席が回らない端数は必ず生じますし、阻止条項(一定得票率未満の政党に議席を配分しない仕組み)を設ける制度もあります。「少ない」を「ない」に言い換えるのは、択一試験で最もよく使われる誤肢の作り方です。

5は誤り。一票の格差とは、選挙区ごとの議員1人あたりの有権者数(人口)の差により、一票の重みに差が生じる問題です。投票率の差とは無関係です。

この例題の型:概念の定義を微妙にずらす(死票と無効票、格差と投票率)パターンと、程度を絶対化する(「少ない」→「ない」、「あり得る」→「あり得ない」)パターン。選択肢の中の断定表現に線を引く癖をつけると、正答率が目に見えて上がります(選択肢の読み方のコツも併せてどうぞ)。

例題6:選挙制度の横断整理(衆参の対比)

日本の国会議員の選挙制度に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 参議院議員選挙では、選挙区選挙と比例代表選挙の双方に重複して立候補することが認められている。
  2. 参議院議員の被選挙権は25歳以上の日本国民に認められ、衆議院議員の被選挙権は30歳以上の日本国民に認められる。
  3. 参議院の比例代表選挙は非拘束名簿式を原則とするが、政党があらかじめ優先的な当選順位を定めることができる特定枠の仕組みが設けられている。
  4. 参議院議員の任期は4年であり、2年ごとに半数が改選される。
  5. 一票の格差の是正のため、参議院では複数の都道府県を1つの選挙区とする合区が全面的に導入され、すべての選挙区が複数県で構成されている。

正解:3

解説

選択肢3が妥当です。参議院の比例代表は非拘束名簿式を原則としつつ、その例外として特定枠が設けられています。政党は名簿の一部の候補者について、あらかじめ優先的な当選順位を定めることができます。

1は誤り。重複立候補が認められているのは衆議院のみです。参議院の選挙区選挙と比例代表選挙は別個の選挙であり、重複して立候補することはできません。

2は入れ替えの誤肢です。被選挙権は衆議院が25歳以上、参議院が30歳以上です。「参議院のほうが年齢要件が高い」と、任期の長さ(6年)や「良識の府」という位置づけとセットで覚えると混乱しません。

4は誤り。参議院議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選されます。任期4年で解散があるのは衆議院です。

5は誤り。合区が導入されているのは鳥取県・島根県徳島県・高知県の2組にとどまり、その他の選挙区は都道府県単位のままです。「全面的に」「すべての」といった全称表現は、多くの場合誤肢のサインです。

この例題の型:衆参の数字(定数・任期・被選挙権年齢)の入れ替えと、範囲を過大に言う全称表現。数字は表で縦に並べて覚え、全称表現には反射的に警戒する──この2つで、選挙制度の設問はかなりの確率で処理できます。

確認問題

衆議院議員選挙において、同一順位で重複立候補した候補者のうち、比例代表で復活当選する順位は、小選挙区における得票数の多い順に決定される。○か×か。

○ 正しい × 誤り
解説
同一順位で重複立候補した候補者の当選順位は、得票数の多い順ではなく「惜敗率」の高い順に決定されます。惜敗率とは、その候補者が立候補した小選挙区における当選者の得票数に対する、自分自身の得票数の割合です。選挙区ごとに有権者数や投票率が異なるため、絶対得票数で比較すると不公平になることから、この仕組みが採られています。なお、小選挙区で供託金没収点(有効投票総数の10分の1)に満たない得票しかできなかった重複立候補者は、比例名簿から除かれ復活当選できません。

2026年に出題が予想される経済・社会分野のトピック

インフレ・金融政策と新NISA

日本経済は長年のデフレから転換し、物価上昇(インフレ)局面を迎えています。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、金融政策の正常化に踏み出しました。その後も段階的な利上げが続き、2026年に入ってからも政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の誘導目標が引き上げられたと報じられています。

ただし、具体的な政策金利の水準を暗記する必要はありません。行政書士試験で問われるのは「引き締め方向か、緩和方向か」という向きと、その手段・波及経路です。最新の水準を確認したい場合は、日本銀行が公表する金融政策決定会合の結果を直接参照してください。数値は変動しますが、次項で整理する「緩和と引き締めの対応関係」は変わりません。

金融政策の基礎知識:金融緩和(利下げ・量的緩和)と金融引き締め(利上げ)の仕組み、日本銀行の独立性(日本銀行法)、イールドカーブ・コントロール(YCC)等の基本概念は押さえておきましょう。

新NISA制度:2024年1月にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)の2つの枠を併用でき、非課税保有限度額は1,800万円です。投資期間の無期限化が大きな変更点であり、「貯蓄から投資へ」の政策の一環として出題される可能性があります。

金融政策の用語を整理する

金融政策は、用語の方向性を取り違えると正答できません。基本の対応関係を表で確認しましょう。

局面政策手段政策金利通貨供給量ねらい金融緩和利下げ・量的緩和・国債買入れ引き下げ増やす景気刺激・物価上昇金融引き締め利上げ・量的引き締め引き上げ減らす景気過熱・インフレ抑制

日本銀行の3つの金融政策手段(公開市場操作=オペレーション、預金準備率操作、基準割引率・基準貸付利率の操作)のうち、現在の中心は公開市場操作です。また、物価の番人である日銀の「独立性」と、政府との連携(共同声明・物価安定目標2%)の関係は、経済分野で問われやすい論点です。

働き方改革と2024年問題

働き方改革関連法に基づく施策が段階的に施行されています。2024年4月からは、建設業・自動車運転業務・医師に対する時間外労働の上限規制が適用開始となりました(いわゆる2024年問題)。

2024年問題の影響:特に物流業界(トラックドライバー)と建設業界への影響が大きく、人手不足の深刻化やサービスの見直しが社会的な課題となっています。物流の効率化(中継輸送、モーダルシフト等)や建設業の生産性向上(ICT施工等)の取り組みが進められています。

時間外労働の上限規制の基本(原則として月45時間・年360時間、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間以内等)は、働き方改革の中核として押さえておきましょう。

少子高齢化とSDGs

少子高齢化は日本社会の最大の構造的課題であり、試験でも繰り返し出題されるテーマです。

人口動態:日本の合計特殊出生率は低下傾向が続いており、少子化対策が重要な政策課題となっています。高齢化率(65歳以上人口の割合)は約29%に達しており、社会保障制度の持続可能性が問われています。

SDGs(持続可能な開発目標):2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、2030年を期限とする17のゴールと169のターゲットから成ります。日本政府も「SDGsアクションプラン」を策定し、各種施策を推進しています。試験では、SDGsの基本的な枠組み(採択年、ゴール数、期限等)が問われることがあります。

人口・社会保障で押さえる数値感覚(2026年最新版)

社会分野では「おおよその数値」を問う設問が出ます。細かい暗記は不要ですが、桁感覚と方向はつかんでおきましょう。政府の公表資料に基づく最新の数値は次のとおりです。

指標最新の数値出典・時点高齢化率(65歳以上人口の割合)29.4%令和8年版高齢社会白書(令和7年10月現在)合計特殊出生率1.14(過去最低を更新)2025年(令和7年)人口動態統計出生数(日本人)約67.1万人(10年連続で減少・過去最少)2025年(令和7年)人口動態統計人口置換水準(参考)約2.07人口を維持するのに必要とされる水準

読み取るべきは方向です。高齢化率は上がり続け、出生率と出生数は下がり続けている。この2つの矢印さえ間違えなければ、選択肢の多くは切れます。実際の設問では「上昇/下降の方向」と「世界比較での位置づけ(高齢化率は世界最高水準)」を取り違えさせる作りが定番です。なお、白書の数値は毎年6月頃に更新されるため、受験年度の最新版を必ず確認してください。

子ども・子育て支援金(2026年4月開始):少子化対策の財源として、公的医療保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の賦課・徴収が2026年4月から始まりました。児童手当の拡充や「こども誰でも通園制度」などの財源に充てられるとされています。「新しい税ではなく、医療保険料に上乗せして集める」という徴収の仕組みが特徴的で、社会保障の設問として問われる可能性があります。

社会保障制度では、年金・医療・介護の3本柱と、その財源(保険料+公費+自己負担)の関係、現役世代が高齢者を支える「世代間扶養(賦課方式)」の考え方を押さえておくと、社会保障をテーマにした設問に対応しやすくなります(詳細は社会保障制度の全体像を参照)。

確認問題

行政書士試験の一般知識等科目で足切りを回避するには、14問中8問以上(32点以上)の正解が必要である。○か×か。

○ 正しい × 誤り
解説
一般知識等科目の足切りラインは14問中6問以上(24点以上)です。8問ではなく6問が正しい基準です。14問中6問は約43%の正答率であり、半分以下の正解率でクリアできます。安定得点源(個人情報保護法・文章理解・IT用語)で5〜6問確保し、時事問題で1問取れば安全にクリアできます。

2026年に出題が予想される国際・法改正のトピック

国際情勢の重要トピック

国際関係に関する出題は毎年1〜2問あり、直近の重大な国際問題が問われる傾向があります。

ロシア・ウクライナ情勢:2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、国際秩序に大きな影響を与えました。国連安全保障理事会の機能不全(常任理事国の拒否権問題)、国連総会の決議、経済制裁の枠組みなど、国際法の基礎知識と絡めた出題が考えられます。

米中関係と経済安全保障:米中間の技術覇権競争、半導体規制、経済的なデカップリング(切り離し)の動きは、経済安全保障の文脈で出題される可能性があります。

気候変動対策:パリ協定に基づく温室効果ガスの削減目標、カーボンニュートラル(2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ)、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の動向が出題されることがあります。日本は2050年カーボンニュートラルを宣言しており、GX(グリーントランスフォーメーション)推進法なども関連するトピックです。

国際機関の基礎を整理する

国際分野では、国連の主要機関や国際的な枠組みの基本構成が問われます。国連安全保障理事会は常任理事国5か国(米・英・仏・露・中)と非常任理事国10か国から成り、常任理事国は拒否権を持ちます。これに対し国連総会は全加盟国が1国1票で参加し、決議に法的拘束力は原則としてない点が対比のポイントです。パリ協定は京都議定書の後継として、先進国だけでなく途上国を含む全ての締約国が削減目標を掲げる枠組みである点(京都議定書との違い)が頻出です。

個人情報保護法の改正動向

個人情報保護法は3年ごとに見直しが行われることが法律に明記されており(個人情報保護法の附則参照)、継続的に改正が行われています。

2022年4月施行の改正では、個人の権利の強化(利用停止・消去請求権の拡大、開示のデジタル化)、事業者の義務の強化(漏えい等報告の義務化、不適正利用の禁止)、ペナルティの強化(罰金の引上げ)などが行われました。

また、2023年4月には個人情報保護法が統一化され、国の行政機関・独立行政法人・地方公共団体に適用されていた別々の法律が、改正個人情報保護法に一元化されました。この一元化は試験で問われやすいポイントです。

個人情報保護法の出題は条文ベースで対策可能であり、安定した得点源にすべき分野です。主要な条文(定義規定、個人情報取扱事業者の義務、要配慮個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報等)を丁寧に学習しましょう(個人情報保護法の全体像|行政書士試験対策マイナンバー法の全体像|個人番号の利用と保護)。

【重要】令和8年改正は2026年度試験の出題対象外

ここで、2026年度受験生が最も混乱しやすい点を整理しておきます。個人情報保護法のいわゆる「3年ごと見直し」に基づく新たな改正法が、2026年(令和8年)7月10日に成立し、7月17日に公布されたと報じられています。データ利活用と権利利益の保護の両立を図る内容で、課徴金制度の導入などが盛り込まれたとされます。

しかし、この改正は2026年度試験の出題対象ではありません。 理由は明快で、法令の基準日である2026年4月1日の時点で施行されていないからです。報じられているところでは、施行は2027年以降に段階的に行われる見込みです。

したがって2026年度試験に向けては、2022年4月施行の改正(権利強化・漏えい報告義務化)と2023年4月施行の一元化までを完璧にするのが正解です。新しい改正のニュースを見て慌てて手を広げる必要はありません。

とはいえ、基礎知識の「一般知識」分野で、社会の動きとして名前だけ問われる可能性はゼロではありません。備えるとしても、「令和8年に個人情報保護法の改正法が成立・公布された(施行はこれから)」という一行を知っていれば十分です。深追いは禁物です。改正の内容や施行日は今後変わり得るため、確認する場合は個人情報保護委員会の公表資料にあたってください。

個人情報保護法の「一元化」の構造を理解する

2023年4月施行の一元化以前は、民間事業者には個人情報保護法、国の行政機関には行政機関個人情報保護法、独立行政法人には独立行政法人等個人情報保護法、地方公共団体には各自治体の個人情報保護条例という、いわゆる「2000個問題」と呼ばれる規律の乱立がありました。これらが1本の個人情報保護法に統合され、監督機関も個人情報保護委員会に一元化されたのが今回の大きな構造変化です。

ただし注意点として、地方公共団体に関する規律は法律に統合されたものの、条例で独自の保護措置を定める余地が完全になくなったわけではない点、また民間部門と公的部門で義務規定の建付けが完全に同一ではない点に留意しましょう。「全ての規律が一字一句同じになった」とする選択肢は誤りです。

その他の法改正トピック

改正民法(嫡出推定):2024年4月施行の民法改正により、嫡出推定の規定が見直されました。再婚禁止期間(旧733条)が廃止され、嫡出推定の規定が合理化されています。

フリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律):2024年11月施行。フリーランスの取引条件の明確化や報酬の支払い遅延の禁止等を定めた法律です。

法改正トピックを表で総ざらい

時事と法令の境界にある「最近の法改正」は、施行時期とセットで問われます。2026年度試験の法令の基準日(2026年4月1日)までに施行されたものを、時系列で一覧にしました。この表が、2026年度試験における法改正時事の全体像です。

法改正・新法施行時期要点改正個人情報保護法(公的部門一元化)2023年4月官民・国地方の規律と監督機関を一元化改正民法(嫡出推定・再婚禁止期間)2024年4月再婚禁止期間(旧733条)を廃止、嫡出推定を合理化相続登記の申請義務化(不動産登記法)2024年4月取得を知った日から3年以内の申請義務働き方改革関連法(上限規制の猶予業種)2024年4月建設・運送・医師に時間外労働の上限規制適用フリーランス保護法2024年11月取引条件の明示・報酬支払遅延の禁止等情報流通プラットフォーム対処法2025年4月プロバイダ責任制限法を改称、削除対応の迅速化・透明化改正戸籍法(氏名の振り仮名)2025年5月戸籍に振り仮名を記載する制度の開始AI推進法2025年9月(全面施行)内閣にAI戦略本部、AI基本計画。推進法であり規制法ではない改正行政書士法2026年1月使命規定、デジタル対応、業務制限の明確化、両罰規定改正民法(父母の離婚後の親権等)2026年4月離婚後も父母双方が親権を持ち得る制度へ住所等変更登記の義務化(不動産登記法)2026年4月変更から2年以内の申請義務、経過措置あり子ども・子育て支援金の徴収開始2026年4月医療保険料に上乗せして徴収、加速化プランの財源

施行年月は引っかけの定番です。「2024年4月施行を2023年と問う」など、年のずれを狙った選択肢に注意してください。

覚え方のコツは、年ごとにまとめて塊で記憶することです。「2024年4月=嫡出推定・相続登記・働き方改革の3点セット」「2026年4月=共同親権・住所変更登記・子育て支援金の3点セット」というように、同じ月に施行されたものをグループで押さえると、年月のずれに気づきやすくなります。バラバラに1つずつ覚えると、必ずどれかを取り違えます。

なお、戸籍の振り仮名については、2025年5月26日の施行後、市区町村から戸籍に記載される予定の振り仮名が通知され、届出がないまま1年が経過した場合には市区町村が把握している振り仮名が記載され得る、という運用が案内されています。行政書士業務と直結する制度変更であり、「行政書士法等」分野の素材としても意識しておきましょう。

安定得点源の強化戦略

個人情報保護法で2〜3問確保する

個人情報保護法は、条文の知識で対応できる問題が多く、最も安定した得点源です。以下のテーマを優先的に学習しましょう。

定義規定の正確な理解:個人情報(2条1項)、個人識別符号(2条2項)、要配慮個人情報(2条3項)、仮名加工情報(2条5項)、匿名加工情報(2条6項)、個人関連情報(2条7項)の各定義を正確に区別できるようにしましょう。

個人情報取扱事業者の義務:利用目的の特定(17条)、利用目的による制限(18条)、不適正な利用の禁止(19条)、適正な取得(20条)、取得に際しての利用目的の通知等(21条)、安全管理措置(23条)、第三者提供の制限(27条)などの義務規定を整理しましょう。

個人情報保護委員会の役割:個人情報の保護に関する基本方針の策定、監視・監督権限、報告・立入検査権限等を押さえておきましょう。

紛らわしい「加工情報」3種を比較する

個人情報保護法で最も誤答が多いのが、仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の区別です。横並びで整理しておきましょう。

種別大まかな性質第三者提供仮名加工情報他の情報と照合しない限り特定個人を識別できないよう加工。内部分析での利用を想定原則として認められない(委託・事業承継・共同利用等を除く)匿名加工情報特定個人を識別できず、かつ復元できないよう加工一定の公表等を条件に第三者提供が可能個人関連情報生存する個人に関する情報で、個人情報・仮名加工情報・匿名加工情報のいずれにも当たらないもの(例:Cookie等)提供先で個人データとなることが想定される場合は本人同意の確認等が必要

「仮名加工情報は第三者提供できる」「匿名加工情報は復元できる」といった選択肢は典型的な誤りです。加工の程度(識別可能性・復元可能性)と提供の可否をセットで覚えるのが攻略の鍵です。

要配慮個人情報(人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実等)は、取得に際して原則として本人の同意が必要であり、オプトアウトによる第三者提供が認められない点も頻出ポイントです。

文章理解で2〜3問確保する

文章理解は、出題形式が安定しており、テクニックを身につければ確実に得点できる分野です。3問出題されるうち2〜3問を正解することを目標にしましょう。

並べ替え問題:バラバラにされた文を正しい順序に並べ替える問題です。接続詞(「しかし」「また」「したがって」)や指示語(「この」「それ」「そのような」)に注目して、文の前後関係を判断しましょう。最初の文と最後の文を特定するのがコツです。

空欄補充問題:文章中の空欄に適切な語句や文を入れる問題です。空欄の前後の文脈を丁寧に読み、論理的なつながりを考えて選択肢を絞りましょう。

要旨把握問題:文章の主旨に合致する選択肢を選ぶ問題です。筆者の主張(結論)を正確に把握し、具体例や補足説明に惑わされないことが重要です。

文章理解の対策としては、過去問を10問以上解いて出題パターンに慣れることが最も効果的です。公務員試験の文章理解の問題も練習に使えます。

文章理解は「最後に解く」のが鉄則

文章理解は1問あたりの所要時間が長く、本試験で時間切れに陥りやすい分野です。確実に得点できる分野だからこそ、解答順序の工夫が効きます。おすすめは、試験開始直後ではなく、法令科目の択一を終えた後など、ある程度落ち着いた段階でまとめて処理することです。並べ替え問題では「絶対に隣り合うペア」「絶対に先頭・末尾に来る文」をまず確定させ、選択肢を消去法で絞ると速く正確に解けます。

IT・情報通信で1〜2問確保する

IT・情報通信分野は、基本用語の暗記で対応可能な問題が多い分野です。個人情報保護法と合わせて4問程度出題されるうち、1〜2問の正解を目指しましょう。

押さえておくべきIT用語:AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、5G、DX(デジタルトランスフォーメーション)、サイバーセキュリティ、フィッシング、ランサムウェア等。

情報通信に関する法律:電子署名法、情報流通プラットフォーム対処法(旧・プロバイダ責任制限法)、不正アクセス禁止法、特定電子メール法等の基本的な内容を押さえておきましょう。用語レベルの整理はIT用語の基礎知識|行政書士試験の情報通信対策情報通信技術の基礎|ネットワークとセキュリティが役立ちます。

この分野は、令和6年度・令和7年度とも問54〜問56の3問が安定して配置されており、時事と暗記の中間にある得点源です。基本用語を押さえたうえで、次の2つの新しい法律を上乗せしておきましょう。

生成AIとAI推進法(2025年9月1日全面施行)

生成AIの普及を背景に、AIの開発・利用のルール整備が国内外で進んでいます。日本では「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(通称:AI推進法、AI新法)が2025年5月28日に成立し、同年6月4日に公布、2025年9月1日に全面施行されました。法令の基準日(2026年4月1日)より前の施行であり、2026年度試験の出題対象に入ります。

押さえるべきポイントは3つです。

① 内閣にAI戦略本部が置かれる:AI政策の司令塔として、内閣に「AI戦略本部」が設置されます。行政組織の新設は時事の定番テーマであり、デジタル庁・こども家庭庁と並べて出題される可能性があります。

② 政府がAI基本計画を策定する:AIの研究開発および活用の推進に関する基本的な計画を政府が定める、という枠組みが設けられています。「基本法型」の法律であることの表れです。

③ 規制法ではなく推進法である:条項の多くは国や政府を対象とする理念・責務規定であり、事業者に課される義務は活用事業者の努力義務的な責務にとどまるとされています。企業に多くの義務を課すEUのAI規則(リスクベース・アプローチ)とは対照的に、日本はイノベーション推進を重視した枠組みを採ったと整理されます。この日欧の対比は、設問として作りやすい格好の素材です。

「AI推進法は違反した事業者に罰則を科す規制法である」といった選択肢が出たら、性格の取り違えとして誤りと判断できます。

情報流通プラットフォーム対処法(2025年4月1日施行)

もう1つ、情報通信分野で押さえておきたいのが「情報流通プラットフォーム対処法」(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)です。従来の「プロバイダ責任制限法」を改正し、法律の名称そのものが改称されました。2024年5月17日に公布、2025年4月1日に施行されています。

改正の柱は、SNS等における誹謗中傷などの違法・有害情報への対応を強化する点にあり、大規模プラットフォーム事業者に対して、①削除申出への対応の迅速化、②削除の運用に関する透明化が求められるようになったとされます。

出題の狙われ方は明確です。法律名の新旧を結びつける設問と、改正の柱を取り違えさせる設問です。「プロバイダ責任制限法は現在も同名で存続している」「発信者情報開示制度が廃止された」といった記述は誤りと判断できます。法律名の改称は、時事として最も出題しやすい素材の1つなので、新旧の名称をセットで記憶してください。

確認問題

一般知識等科目の足切り回避のために最も効率的な戦略は、時事問題を徹底的に学習することである。○か×か。

○ 正しい × 誤り
解説
時事問題は出題範囲が広く予測が難しいため、時事対策に過度な時間を割くのは非効率です。最も効率的な戦略は、安定得点源(個人情報保護法で2〜3問、文章理解で2〜3問、IT用語で1〜2問)を確保することで5〜6問を固め、時事問題は1〜2問の上乗せを狙う程度にとどめることです。安定得点源の強化を優先しましょう。
確認問題

個人情報保護法上、匿名加工情報は特定の個人を識別できず復元もできないよう加工された情報であるのに対し、仮名加工情報は他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工された情報である。○か×か。

○ 正しい × 誤り
解説
匿名加工情報は特定の個人を識別できず、かつ復元できないように加工した情報で、一定の公表等を条件に第三者提供が可能です。一方、仮名加工情報は他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工した情報で、内部での分析利用を主に想定し、原則として第三者提供は認められません(委託・事業承継・共同利用等を除く)。加工の程度と提供の可否をセットで押さえることが重要です。

行政書士のニュース対策|情報源の選び方(2026年版)

「行政書士 ニュース 2026」で情報源を探している方向けに、何を読み、何を読まないかをここで具体化します。時事対策の失敗は、たいてい「情報を集めすぎること」から始まります。

情報源を選ぶ3つの基準

数ある情報源から取捨選択するための基準は、次の3つです。

基準1:制度が書いてあるか(出来事だけでないか)
行政書士試験で問われるのは制度と用語です。「誰が何をした」だけを伝えるニュースは、試験対策としては価値がありません。「この改正で何がどう変わったのか」まで書いてある情報源を選んでください。

基準2:施行年月が明記されているか
時事の設問で最も狙われるのは施行年月です。「成立した」のか「公布された」のか「施行された」のかを区別して書いていない情報源は、そのまま覚えると事故につながります。

基準3:一次情報にたどり着けるか
省庁の公表資料や法令原文へのリンクがあるか。まとめサイトの孫引きは、条文番号や日付が間違っていることが少なくありません。

具体的な情報源リスト(優先順位つき)

上記の基準で選ぶと、使うべき情報源は次のように絞られます。

優先度情報源使い方頻度★★★予備校の時事対策テキスト(1冊のみ)出題可能性の高いトピックが厳選されている。1冊に絞るのが鉄則直前期に2〜3周★★★行政書士試験研究センターの試験案内出題範囲・法令の基準日・合格基準の一次情報年1回、必ず確認★★☆政府広報オンライン新制度を国民向けに平易に説明。施行日が明記されている月1回、新着を確認★★☆各省庁の白書の「概要版」数値(高齢化率・出生率等)の出典。全文は不要公表時期(6〜8月頃)に一度★★☆e-Gov法令検索条文の現行規定を確認する。改正の有無を最終確認疑問が生じたとき★☆☆新聞の一面・社説世の中の重心を掴む。深追いはしない毎日5〜10分★☆☆ニュースアプリ(政治・経済・社会カテゴリ)通勤時間などのすき間で見出しだけ毎日5分☆☆☆SNS・個人ブログ・まとめサイト原則として使わない。誤情報が混ざるリスクが高い―

白書の活用──「概要版だけ」で十分

政府が毎年発行する各種白書は、時事問題で問われる数値の出典になります。全文を読む必要はまったくありません。概要版やダイジェスト版に目を通せば十分です。

確認すべき白書:高齢社会白書(内閣府/高齢化率)、少子化社会対策白書(こども家庭庁/出生率・出生数)、情報通信白書(総務省/IT・通信の動向)、経済財政白書(内閣府/景気・物価)、環境白書(環境省/気候変動)など。

白書は毎年6月から8月頃に公表されるのが通例です。たとえば令和8年版高齢社会白書は2026年6月に公表され、令和7年10月現在の高齢化率が29.4%であることが示されています。受験年度に公表された最新版の数値を、1つの指標につき1つの数字だけメモしておけば十分です。

やってはいけない情報収集の3パターン

最後に、実際に受験生が陥りがちな失敗パターンを挙げておきます。

パターン1:情報源を増やす
不安になると新聞・アプリ・テキスト・SNSと手を広げがちですが、情報量と得点は比例しません。むしろ、同じことを違う言い回しで何度も読むだけの時間になります。テキストは1冊、ニュースは1つの経路に絞ってください。

パターン2:出来事を年表で暗記しようとする
「◯月に△△があった」を並べても、試験では問われません。問われるのは制度です。ニュースを見たら「これは何法の話か」「いつ施行されたか」の2点だけをメモして、あとは忘れて構いません。

パターン3:直前期に新しい情報を入れる
試験2か月前から新しいトピックを追加するのは、最も効率の悪い時間の使い方です。前述のタイムラグの構造上、直前のニュースが出題される可能性は低いからです。9月以降は「新規追加ゼロ、反復のみ」と決めてしまいましょう。

時事の「出題されやすい角度」を知る

過去の出題傾向を踏まえると、時事問題は「最新ニュースそのもの」よりも、「ニュースの背景にある制度・基本知識」を問う形で出題されることが多いのが実情です。たとえば、新NISAが話題であれば「NISAの非課税の仕組みや投資枠」が、こども家庭庁が話題であれば「行政組織の設置形態」が問われます。したがって、時事を追うときは「このニュースの背景にある制度は何か」「関連する法律・用語は何か」を一段掘り下げる姿勢が得点に直結します。

逆に、ある特定の事件の発生日や、政治家の個人名、企業の業績数値といった「鮮度の高い細部」が直接問われることはまれです。細かい固有名詞の暗記よりも、制度の枠組みと用語の正確な理解に時間を割きましょう。

深入りしない姿勢が重要

時事問題対策で最も重要なのは、深入りしないことです。一般知識等科目は56点満点のうち24点を取れば足切りをクリアでき、法令科目で高得点を取るための時間を確保することのほうが合格に直結します。

時事対策に費やす時間の目安は、週に30分〜1時間程度です。毎日ニュースをチェックすること(5〜10分)と、月に1回程度まとめ記事や白書の概要を確認すること(30分程度)を習慣化すれば十分です。

法令科目の学習時間を削ってまで時事対策に時間をかけることは避けましょう。一般知識等で5割〜6割の正答率(7〜8問正解)を安定して取れる状態を目指し、それ以上の高得点は求めないのが合格への最適戦略です。

直前期(試験2〜3か月前)のチェックリスト

直前期にやるべきことを絞り込んでおくと、焦らずに時事対策を仕上げられます。2026年11月8日の試験まで残り2か月半という時期(本記事更新時点)を前提に、優先度順で整理しました。

  • 行政書士法の総則を1周する(業務範囲・登録・義務・罰則)。2年連続で出題実績があり、最も確実な上乗せ
  • 選挙制度の骨格を確認する(衆参の対比表・死票・惜敗率・ドント式・一票の格差の3段階)。本記事の例題6問を解き直すだけでも効果あり
  • 予備校等の時事対策テキストを1冊に絞り、重要トピックを2〜3周する
  • 2024年〜2026年4月に施行された法改正を、施行年月とセットで塊で暗記する(本記事の法改正一覧表)
  • 新NISA・金融政策・働き方改革など定番の経済社会トピックの「数値と仕組み」を確認する
  • 白書の数値を1指標1数字だけ確認する(高齢化率29.4%、合計特殊出生率1.14 など)
  • 個人情報保護法の改正点と、仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の区別を最終チェックする
  • 文章理解は週に数問ずつ解き、解くスピードと精度を維持する
  • 新しい情報を追加しないと決める(9月以降は反復のみ)

時事に「これだけは」を絞り込むことで、限られた直前期の時間を法令科目に振り向けられます。直前期全体の過ごし方は直前期1か月の過ごし方試験1週間前の過ごし方も参考にしてください。

まとめ

本記事では、2026年11月8日に実施される令和8年度行政書士試験に向けた、基礎知識科目(旧・一般知識等科目)の時事問題対策と足切り回避戦略を解説しました。要点を4つにまとめます。

  1. 足切りラインは14問中6問(24点・40%)、安定得点源で5〜6問確保が基本戦略:情報通信・個人情報保護(3問)+文章理解(2〜3問)+行政書士法等(1問)で安定得点源を固め、時事問題で1〜2問を上乗せする
  2. 「法令の基準日=2026年4月1日」で覚える範囲を仕分ける:この日までに施行された改正(改正行政書士法・改正民法の親権規定・住所等変更登記の義務化など)は出題対象、それ以降のものは対象外。この一線を引くだけで、覚えるべき法改正が明確に絞れる
  3. 時事より先に「行政書士法等」を固める:2024年度の再編で加わった分野で、令和6年度・令和7年度とも出題実績あり。範囲が狭く、時事に週1時間かけるよりはるかに費用対効果が高い
  4. 選挙制度は「対比軸」で覚える:小選挙区制と比例代表制、衆議院と参議院、拘束名簿式と非拘束名簿式、違憲状態と違憲。対比があるところに選択肢が生まれる以上、対比表を縦に覚えるのが最短ルート

基礎知識科目は「足切りをクリアすればよい」と割り切ることが、合格への最短ルートです。時事のニュースを追いかけるより、本記事で示した数字と制度を反復するほうが、確実に得点に近づきます。安定得点源の強化を最優先にして、自信を持って試験に臨みましょう。

なお、本記事に記載した日程・数値・法改正の情報は2026年8月28日時点で確認できたものです。試験の実施要領や合格基準は必ず行政書士試験研究センターの公表資料で、法令の内容はe-Gov法令検索などの一次情報でご確認ください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 行政書士試験の時事問題はどこから出ますか?

時事問題は、基礎知識科目(旧・一般知識等)の「一般知識(政治・経済・社会)」5〜6問の中に組み込まれて出題されます。独立した時事の枠はありません。主な出題源は、(1)直近1〜2年の行政組織の新設・改編(デジタル庁・こども家庭庁・AI戦略本部など)、(2)法令の基準日(試験年度の4月1日)までに施行された法改正・新法(改正行政書士法、改正戸籍法、情報流通プラットフォーム対処法、AI推進法など)、(3)継続的に注目される制度・政策(選挙制度、金融政策・新NISA、少子高齢化、SDGs、国際情勢)です。芸能・スポーツ・個別の事件事故は出ません。「ニュースそのもの」よりも「ニュースの背景にある制度・用語」が問われるのが特徴です。

Q2. 小選挙区制の特徴は何ですか?

小選挙区制は、1つの選挙区から1人(最多得票者)だけを選ぶ制度です。特徴として、二大政党制になりやすく政権が安定しやすい一方、当選者以外に投じられた死票が多くなり少数意見が反映されにくい、という長所・短所があります。衆議院は小選挙区制と比例代表制を組み合わせた「小選挙区比例代表並立制」(定数465=小選挙区289+比例176、衆議院の比例は拘束名簿式)を採用し、重複立候補・比例復活も認められています。同一順位で重複立候補した候補の当選順位は、得票数ではなく惜敗率で決まります。一票の格差をめぐっては、最高裁が「違憲状態」と判断しつつ選挙自体は有効としてきた点も頻出です。

Q3. 一般知識等科目で足切りに遭う受験生はどのくらいいますか?

正確な統計は公表されていませんが、受験生全体の10〜15%程度が一般知識等科目の足切りに遭っていると推測されています。法令科目で合格ラインに達していても、一般知識等で6問に届かず不合格になるケースは決して珍しくありません。足切りを「他人事」と思わず、計画的に対策することが重要です。

Q4. 時事問題対策はいつから始めるべきですか?

試験の半年前(5月頃)から本格的に始めるのが適切です。ただし理由は「早すぎると情報が古くなるから」ではありません。むしろ逆で、法令の基準日が試験年度の4月1日である以上、4月時点で確定している情報がそのまま出題範囲だからです。5月頃に「4月1日までに施行された改正」を整理してしまえば、それ以降は範囲が増えません。日常的にニュースをチェックする習慣は学習開始当初から身につけておくとよいでしょう。試験直前の2〜3か月前には、予備校の時事対策テキストで重要トピックを総復習しましょう。

Q5. 個人情報保護法はどの範囲まで学習すべきですか?

個人情報保護法は全180条以上の大きな法律ですが、試験で問われるのは主に総則部分(定義規定)と個人情報取扱事業者の義務に関する規定です。具体的には、1条〜3条(目的・定義)、17条〜26条(個人情報取扱事業者の義務の基本規定)、27条〜30条(第三者提供の制限)、2条5項〜7項(仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の定義)を重点的に学習しましょう。条文の素読が最も効果的な学習法です。

Q6. 文章理解の対策に使える問題集はありますか?

行政書士試験の過去問に加えて、国家公務員一般職試験や地方上級試験の文章理解の問題を練習に使うことをおすすめします。出題形式(並べ替え・空欄補充・要旨把握)が共通しており、問題数も豊富です。「公務員試験 文章理解」で検索すると多くの問題集が見つかります。20〜30問解けば出題パターンに十分慣れることができます。

Q7. 一般知識等科目で高得点(10問以上正解)を目指すべきですか?

基本的には目指す必要はありません。一般知識等で10問正解(40点)を取るための学習時間を、行政法や民法の学習に充てたほうが、合格可能性は高まります。一般知識等は7〜8問正解(28〜32点)を安定して取れる状態を目標にし、それ以上の得点は「取れたらラッキー」程度に考えましょう。ただし、法令科目にすでに十分な自信がある場合は、一般知識等での上積みを狙う戦略もあり得ます。

Q8. 科目名が「基礎知識」に変わって、対策は変える必要がありますか?

戦略の骨格は変えなくてよいが、時間配分は変えるべきです。 2024年度から「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へと名称が変わり、出題範囲に「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が加わりました。足切りの仕組み(14問中6問)は維持されていますが、その結果として政治・経済・社会の出題は5〜6問に減り、行政書士法等が1〜2問を占めるようになりました。つまり、時事に割り当てるべき時間の一部を、行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法に振り替えるのが正解です。令和6年度・令和7年度とも実際に出題されており、範囲も狭いため、最も費用対効果の高い上乗せになります。

Q9. 2026年度(令和8年度)試験はいつですか?申込みはもう終わっていますか?

令和8年度行政書士試験は、2026年11月8日(日)午後1時〜午後4時に実施されます。受験手数料は10,400円、合格発表は2027年1月27日(水)の予定です。申込期間はインターネットが2026年7月21日〜8月24日、郵送が7月21日〜8月17日で、本記事の更新時点(2026年8月28日)ではすでに終了しています。試験地・試験場や細かな取扱いは年度により変わるため、必ず行政書士試験研究センターの試験案内で最新情報を確認してください。

Q10. 2026年度試験では、どこまでの法改正が出題対象になりますか?

2026年(令和8年)4月1日現在で施行されている法令までです。これは試験案内に明記されている「法令の基準日」です。したがって、2026年1月1日施行の改正行政書士法、2026年4月1日施行の改正民法(父母の離婚後の親権等)や住所等変更登記の義務化は出題対象に入ります。一方、2026年4月2日以降に成立・公布・施行されたものは、法令科目の出題対象外です。たとえば2026年7月に公布された個人情報保護法の改正法は、令和8年度試験の法令としては範囲外になります。ただし基礎知識の「一般知識」分野では、社会の動きとして名前が扱われる可能性が残るため、「成立・公布された」という事実だけ知っておけば十分です。

Q11. 小選挙区制は行政書士試験で本当に頻出なのですか?

はい。選挙制度は、基礎知識の政治分野と憲法の双方で繰り返し扱われる論点です。理由は3つあり、①制度が安定していて作問しやすい、②憲法の選挙権・投票価値の平等(14条・15条・44条)と横断できる、③小選挙区制と比例代表制、衆議院と参議院という対比軸が豊富で正誤問題を作りやすい、という点にあります。実際、憲法側でも最大判平成11年11月10日(小選挙区比例代表並立制・重複立候補制の合憲性)などが問われています。本記事の「過去問で問われた小選挙区制|例題と解説」で、出題の型を6パターン確認してください。

Q12. 小選挙区制で「これだけは覚える」ポイントを教えてください。

優先順位をつけると次の5つです。①定数465=小選挙区289+比例176(数字の入れ替えが頻出)、②死票は小選挙区制で多く、比例代表制で少ない(「ない」ではなく「少ない」)、③衆議院の比例は拘束名簿式・政党名投票・全国11ブロック(参議院は非拘束名簿式・全国1単位)、④重複立候補者の復活順位は惜敗率で決まる(得票数ではない)、⑤一票の格差は「違憲状態→違憲→無効」の3段階で判断され、選挙は無効とされてこなかった。この5つを押さえれば、選挙制度の設問はかなりの確率で処理できます。

Q13. ドント式の計算問題は捨てても大丈夫ですか?

捨てないでください。 ドント式は、手順を知っていれば確実に正解できる数少ない領域です。各党の得票数を1、2、3……と順に割り、得られた商の大きい順に定数ぶんの議席を配分する──それだけです。表を全部埋める必要はなく、定数ぶんの商が確定した時点で打ち切れば1〜2分で解けます。周辺論点として、商が同数で議席を決められない場合は選挙長がくじで定めること、ドント式は衆参双方の比例代表で採用されていることも押さえておきましょう。本記事の例題3で計算の流れを確認できます。

Q14. 直前期に新しいニュースが出てきたら、覚えるべきですか?

原則として不要です。理由は2つあります。第1に、法令の基準日が試験年度の4月1日である以上、それ以降の法改正は法令科目の出題対象外だからです。第2に、試験問題は相当の期間をかけて作成されるため、直前のニュースが問題に反映される可能性は構造的に低いからです。9月以降は「新規追加ゼロ、既に整理した内容の反復のみ」と決めてしまうほうが、精神的にも学習効率の面でも有利です。不安になったら、新しい情報を探すのではなく、行政書士法の条文を1周してください。そのほうが確実に1問に近づきます。

演習で定着させる

一般知識は足切り(14問中6問)があるため、取れる分野を確実に取る設計が要ります。この分野では時事の背景知識と制度理解の結びつけ方が問われます。行政書士ブートラボの肢別演習で出題実績のある論点から固めていくと、限られた学習時間でも足切り回避の確度を上げられます。

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