行政書士 記述式対策の完全ガイド|40字の書き方
行政書士試験の記述式40字の書き方を完全解説。「誰が・誰に対し・何を・どの根拠で」の4要素テンプレート、下書き→字数調整→清書の手順、部分点の積み上げ方、行政法1問・民法2問の頻出テーマ、何点取ればよいかまで、条文を照合して整理しました。
結論|40字記述は「4要素」を1文に詰めれば部分点が取れる
行政書士試験の記述式で書くべき内容は、次の4要素です。
〔誰が〕は、〔誰に対し〕、〔どの根拠で〕、〔何を〕できる(すべきである)。
この4つを1文に圧縮すれば、それだけで40字前後になります。「誰が」「誰に対し」は問題文からそのまま拾えます。得点を左右するのは残る2つ、〔どの根拠で〕=条文番号・要件・法律構成と、〔何を〕=請求内容・訴訟類型です。ここに配点が集中します。
記述式は部分点方式です。4要素すべてを正解する必要はなく、1要素でも正しく書けば加点されると考えられています。だから白紙は絶対に避け、思いついた法律用語を1語でも書き込むのが正解です。
配点は1問20点×3問=60点。300点満点中の20%を占め、合格に必要な180点のうち、多くの合格者が記述式で20〜40点を上積みしています。目標は満点ではなく、3問すべてで部分点を積んで合計40点です。
以下、書き方のテンプレート、下書きから清書までの手順、部分点の積み上がり方、頻出テーマの順に解説します。
はじめに|記述式60点が合否を分ける
行政書士試験の記述式は、300点満点中60点を占める重要なパートです。択一式だけで180点の合格ラインに到達するのは至難の業であり、多くの合格者が記述式で20〜40点を上積みして合格を果たしています。
記述式の問題は全3問で、以下の構成です。
- 問題44:行政法から1問(20点)
- 問題45:民法から1問(20点)
- 問題46:民法から1問(20点)
各問は「40字程度で記述しなさい」という指示のもと、法的知識を正確かつ簡潔にまとめる力が試されます。
本記事では、記述式で安定して得点するための具体的なテクニックと対策法を徹底解説します。
なぜ記述式60点が合否を分けるのか
行政書士試験の合格基準は、次の3つをすべて満たすことです。
- 法令等科目(択一・多肢選択・記述)で満点244点中の50%以上=122点以上
- 基礎知識科目(旧・一般知識等)で満点56点中の40%以上=24点以上
- 試験全体で満点300点中の60%以上=180点以上
なお、令和6年度(2024年度)から一般知識等科目は「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へ名称が改められ、行政書士法等の諸法令が出題範囲に加わりました。配点56点・基準点24点の枠組みは変わっていません。配点構造の全体像は行政書士試験の配点と合格基準|全科目を徹底分析で確認できます。
このうち記述式60点は法令等科目に含まれ、しかも1問20点という択一の約4〜5倍の重みを持ちます。択一1問(多くは5肢から1つ選ぶ形式)が4点であるのに対し、記述1問はその5倍。つまり記述で1問しっかり書ければ、択一5問分を一気に取り返せる計算です。
具体的な得点設計で考えてみましょう。択一・多肢選択で稼げる現実的なラインを次のように想定します。
この想定では記述以外で164点。合格に必要な180点まであと16点を記述で取れば合格です。逆に言えば、記述が0点なら不合格になります。多くの受験生が「択一は合格圏なのに記述が振るわず不合格」という結果に泣くのは、この構造ゆえです。記述式は「おまけ」ではなく、合否を最終確定させる本丸だと位置づけてください。
記述式の得点分布の現実
記述式は採点者の裁量が入るため、自己採点と実際の得点がずれやすいパートです。一般に、次のような傾向が知られています。
- 3問とも完答できる受験生はごく少数。多くの合格者は3問合計で20〜40点に収まる
- 1問あたり「半分(10点前後)取れれば上出来」という年も珍しくない
- 年度によって記述の難易度が大きく変動し、難しい年は採点が甘め、易しい年は厳しめになる傾向がある(合格率を一定範囲に保つ調整と推測される)
したがって戦略は明確です。満点を狙うのではなく、3問すべてで部分点を確実に積み上げ、合計40点を目標にする。これが現実的かつ合格に直結する考え方です。
記述式の出題形式を正確に理解する
40字記述とは何か
記述式の解答用紙には、1行あたり40字のマス目が用意されています。「40字程度」とは厳密に40字ぴったりという意味ではなく、35〜45字程度の幅が許容されます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 句読点も1字としてカウントされる
- 漢字の誤字は減点対象になる
- 字数が大幅に不足すると得点が下がる(20字以下は実質0点に近い)
- 解答欄をはみ出して書くことはできない
出題パターン
記述式の問題文には大きく分けて2つのパターンがあります。
パターンA:「どのような○○をすべきか」型
例:「Xは、誰を被告として、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。」
パターンB:「○○の要件を示して説明せよ」型
例:「Aは、Bに対してどのような請求をすることができるか。その根拠とともに40字程度で記述しなさい。」
いずれのパターンでも、問われている内容を正確に把握し、必要な法的要素を漏れなく記述することが重要です。
40字の書き方|4要素テンプレートと下書き→清書の手順
ここが本記事の中核です。記述式は「何を書けばいいか分からない」から手が止まります。逆に言えば、書くべき要素があらかじめ決まっていると分かれば、知識が半分でも手は動きます。
書くべき4要素|誰が・誰に対し・何を・どの根拠で
40字記述の解答は、次の4要素を1つの文に織り込んだものです。
①は問題文を読めば必ず書けます。書けない受験生でも①は取れる。だからこそ白紙はもったいないのです。得点差がつくのは③と④で、ここは条文の要件と効果を正確に覚えているかにかかっています。
基本形は次の一文です。
〔① 誰が〕は、〔② 誰に対し〕、〔③ どの根拠で〕、〔④ 何を〕できる(すべきである)。
字数の目安は、①が3〜5字、②が5〜10字、③が10〜18字、④が10〜15字。合計して35〜45字に収まります。字数調整は③と④の詳しさで行うと覚えてください。
問い方に応じた3つの型
問題文の末尾の問い方によって、4要素のどこに重心を置くかが変わります。
型A:「どのような請求ができるか」型(民法に多い)
〔誰が〕は〔誰に〕に対し、〔条文・法律構成〕に基づき、〔請求内容〕を請求できる。
②の相手方と④の請求内容が明確に問われます。③には条文番号か法律構成名(債務不履行、不法行為、不当利得など)を入れます。
型B:「誰を被告としてどのような訴訟か」型(行政法に多い)
〔誰が〕は、〔被告〕を被告として、〔対象処分〕の〔訴訟類型〕を提起すべきである。
行政法の記述はこの型が圧倒的多数です。被告と訴訟類型が二大配点ブロック。「A県知事」ではなく「A県」と書けるかで8点が動きます。
型C:「要件を示して説明せよ」型(両科目に登場)
〔制度・請求〕には、〔要件1〕、〔要件2〕、〔要件3〕が必要である(本件は〇〇にあたる)。
要件列挙型では、要件語そのものがキーワードです。要件を並べるだけで配点ブロックが積み上がるため、実は最も部分点を取りやすい型です。
下書き→字数調整→清書|3ステップの実演
本番では問題用紙の余白に下書きしてから解答欄に書きます。ここでは実際の設問例で、1問ずつ手順を追います。
実演1:行政法・取消訴訟の被告と訴訟類型(型B)
設問:A県知事は、Xの営業許可申請に対し拒否処分をした。Xがこの拒否処分の効力を争うには、誰を被告として、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。
ステップ1:下書き(要素を箇条書きで書き出す)
字数は一切気にせず、4要素を単語で並べます。
- ① 誰が → X
- ② 誰に対し(被告)→ A県知事? いや、行訴法11条1項1号で「処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」→ A県
- ③ どの根拠で → 拒否処分(=申請に対する処分)を争う
- ④ 何を → 取消訴訟の提起
行政事件訴訟法第11条第1項
「処分又は裁決をした行政庁(中略)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。」
同項第1号「処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」
ステップ2:一文に組み、字数を数える
型Bに当てはめた素案がこちらです。
「Xは、A県知事の所属するA県を被告として、営業許可の拒否処分の取消しを求める取消訴訟を提起すべきである。」(52字)
52字は超過です。「40字程度」の許容幅は概ね35〜45字なので、10字以上削る必要があります。
ステップ3:字数調整して清書
削る優先順位は、④結論の言い換え → ③の修飾語 → ②の重複の順です。
- 「取消しを求める取消訴訟」(11字)→ 「取消訴訟」(4字):意味は同じで7字削減
- 「A県知事の所属するA県」(11字)→ 「A県」(2字):被告として書くべきはA県のみで9字削減
- 「営業許可の拒否処分」→ 残す(対象の特定は配点ブロック)
合計16字を削って36字になりました。
清書(36字)
「Xは、A県を被告として、営業許可の拒否処分の取消訴訟を提起すべきである。」
配点ブロックは「A県(被告)」「取消訴訟(訴訟類型)」「拒否処分(対象)」の3つ。狙いどおり収まりました。
実演2:民法・無権代理の相手方の手段(型A)
設問:Bの代理人と称するAが、Cとの間でB所有の甲土地の売買契約を締結したが、AはBから代理権を与えられていなかった。Cは、契約の効力を早期に確定させるために、誰に対しどのような手段を取ることができるか。40字程度で記述しなさい。
ステップ1:下書き
- ① 誰が → C(相手方)
- ② 誰に対し → B(本人)。※無権代理人Aではない点が最大の落とし穴
- ③ どの根拠で → 民法114条、相当の期間を定めて
- ④ 何を → 追認するかどうかを確答すべき旨の催告
民法第114条
「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」
条文が「本人に対し」と明記している点に注意してください。催告の相手方をAと書くと、②の配点ブロックが丸ごと落ちます。無権代理の全体像は無権代理と表見代理|要件と効果の違いを徹底解説で確認しておきましょう。
ステップ2:一文に組む
「Cは、本人Bに対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。」(55字)
条文をそのまま写すと大幅超過になります。ここが「条文暗記」と「記述解答」の違うところです。
ステップ3:字数調整して清書
- 「その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告」→ 「追認するかどうかの催告」(意味を保ったまま圧縮)
- 「することができる」→ 「できる」
- 「相当の期間を定めて」→ 削らない(要件そのもの=配点ブロック)
清書(40字)
「Cは、本人Bに対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの催告をすることができる。」
削ってよいのは条文の言い回しであって、要件語ではない。この原則が字数調整の核心です。
実演3:民法・催告解除の要件(型C)
設問:AはBに建物を売却したが、Bは支払期日を過ぎても代金を支払わない。Aが売買契約を解除するには何が必要か。要件を示して40字程度で記述しなさい。
ステップ1:下書き(要件を漏れなく列挙)
民法第541条
「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。」
要件は3つ+除外事由1つです。
- 要件1:相当の期間を定めた履行の催告
- 要件2:その期間内に履行がないこと
- 要件3(消極要件):不履行が軽微でないこと
ステップ2〜3:字数を見ながら要件を積む
型Cは要件を並べるだけで加点されるので、字数が許す限り要件を足していくのがコツです。
- 要件1+2だけ(36字):「Aは、相当の期間を定めて催告し、期間内に履行がなければ契約を解除できる。」
- 要件1+2+3(42字):「Aは、相当の期間を定めて催告し、期間内に履行がなく不履行が軽微でなければ解除できる。」
どちらも35〜45字に収まっているので、本番ではより多くの要件が入る後者を選びます。
35字を下回りそうなときは、要件をもう1つ足すのが最も安全な増やし方です。逆に接続詞や前置きで水増しすると、字数だけ増えて配点ブロックは増えません。契約解除の改正論点は契約の解除|催告解除と無催告解除の改正点、債務不履行の全体像は債務不履行の3類型と損害賠償・解除の要件で押さえてください。
字数調整の早見表
下書きが長すぎる/短すぎるときの定型的な操作をまとめます。
削ってはいけないものは、条文の要件語(「相当の期間」「正当な理由」「重大な損害」など)、訴訟類型名、被告の特定、請求内容の核です。逆に真っ先に削ってよいのは、「本件において」「この場合」などの前置き、「すなわち」などの接続詞、明らかな主語の重複です。
部分点の仕組みと採点の考え方
記述式の採点基準は公表されていません。以下は、公表資料がない中で受験界に蓄積された分析と、実際の得点分布から推測される考え方です。断定的な採点表として受け取らず、答案戦略の指針として活用してください。
なぜ「キーワード単位で積み上がる」と考えられるのか
各問20点という配点は、0点か20点かの二択には設計しにくい大きさです。実際、記述式の得点は0点・20点に二極化せず、4点・8点・12点といった中間値に広く分布していることが、受験生の得点開示請求(成績通知)から知られています。4点刻みの得点が観測されるという事実は、解答が複数の要素に分解され、要素ごとに加点されていることを強く示唆します。
そこから導かれる実務的な理解が次の3点です。
- キーワード(法律用語・条文の要件・効果)1つにつき4〜8点程度が動く
- 1問あたり2〜4個のキーワードが配点対象になっている
- 文章全体として問いに答えているか(論理的整合性)も評価に影響する
したがって、完璧な解答が書けなくても、キーワードを1つ入れれば部分点が得られる可能性があります。白紙で出すのは絶対に避けましょう。
配点ブロックという考え方
答案を「配点ブロックの集合」として捉えると、何を優先して書くべきかが見えます。前掲の実演1を分解してみます。
ここから2つの結論が出ます。
- 1ブロックの誤りは他ブロックを巻き込まない。被告を間違えても、訴訟類型が正しければ約8点は残ります。
- 配点の大きいブロックから書く。字数が足りなくなったとき、真っ先に切り捨てるのは「対象の特定」であって、被告や訴訟類型ではありません。
難易度によって採点が動くという前提
記述式は年度ごとの難易度差が大きく、難しい年は採点が緩め、易しい年は厳しめになる傾向が指摘されています。合格率を一定の範囲に収める調整が働いていると推測されるためです。
これが答案戦略に与える意味は明確です。自己採点の絶対値に一喜一憂しても仕方がない。制御できるのは「配点ブロックをいくつ書けたか」だけなので、練習では点数ではなく拾えたキーワード数を記録してください。採点基準のより詳しい分析は行政書士試験の記述式採点基準を分析|部分点戦略で扱っています。
減点されるのはどんなときか
加点方式が基本と考えられますが、次のような答案は加点自体が発生しません。
- 問いに答えていない:被告を聞かれて訴訟の流れだけ書く(配点ブロックに乗らない)
- 法律用語を日常語に置き換える:「取消訴訟」→「やめさせる裁判」ではキーワード認定されない
- 誤った条文番号を断定的に書く:加点されないうえ、全体の論理も崩れる
- 両論併記で逃げる:「AまたはBを被告として」は、誤りを含む分だけ評価が下がりうる
キーワードの見つけ方|得点のカギを握る要素
記述式で得点するために最も重要なのは、出題者が求めているキーワードを正確に見抜くことです。
キーワードの種類
- 法律用語:取消訴訟、債務不履行、善意無過失など
- 条文上の要件:「正当な理由なく」「損害を知った時から」など
- 効果・結論:「損害賠償を請求できる」「処分の取消しを求める」など
- 当事者・被告:「処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」など
キーワードを見つけるための3ステップ
ステップ1:問題文の指示を分解する
問題文が「Xは、Yに対して、どのような請求をすることができるか。根拠とともに述べよ。」であれば、解答に必要な要素は以下の3つです。
- 誰に対して(相手方)
- どのような請求か(請求の内容)
- その根拠(条文・法理)
ステップ2:該当する条文を思い出す
問題文の事実関係から、どの条文が問題になっているかを特定します。例えば、他人の不法行為による損害が問題なら民法709条、行政処分に不服があるなら行政事件訴訟法3条2項(取消訴訟)を思い出します。
ステップ3:条文の要件を解答に組み込む
特定した条文の要件をキーワードとして解答に盛り込みます。
具体例で実践
問題例:BがAの所有する建物を過失により焼損した場合、AはBに対してどのような請求ができるか。根拠とともに40字程度で記述しなさい。
ステップ1:誰に → B、何を → 請求、根拠 → 条文
ステップ2:不法行為 → 民法709条
ステップ3:要件 = 故意又は過失、権利侵害、損害の発生、因果関係
解答例(38字):
「Aは、Bに対し、民法709条に基づき、建物の焼損による損害賠償を請求できる。」
キーワード:「民法709条」「損害賠償」「請求」
40字以内にまとめるテクニック
テクニック1:結論ファーストで書く
「AはBに対し、○○を請求できる。なぜなら〜」ではなく、「AはBに対し、○○に基づき△△を請求できる。」と結論と根拠をコンパクトにまとめます。
40字という制限の中では、理由の説明に字数を使う余裕はありません。結論と根拠を一文で表現するのが基本です。
テクニック2:定型表現を覚える
記述式でよく使う定型表現を暗記しておくと、解答作成がスムーズになります。
行政法の定型表現
- 「○○を被告として、△△の取消しを求める取消訴訟を提起すべきである。」
- 「○○は、処分の取消訴訟と併せて、△△の義務付け訴訟を提起すべきである。」
- 「○○の所属する国又は公共団体を被告として、損害賠償を請求できる。」
民法の定型表現
- 「○○は、△△に対し、民法○○○条に基づき、損害賠償を請求できる。」
- 「○○は、△△に対し、契約を解除した上で、原状回復を請求できる。」
- 「○○は、△△に登記なくして所有権を対抗することができる。」
テクニック3:不要な語句を削る
40字に収めるために、以下の語句は省略可能です。
- 「すなわち」「つまり」などの接続詞
- 「この場合」「本件において」などの前置き
- 主語が明らかな場合の主語(ただし、出題で「誰が」を問われている場合は必須)
テクニック4:字数の調整方法
字数が多すぎる場合
- 「することができる」→「できる」に短縮
- 「請求することができる」→「請求できる」
- 「であるから」→ 削除して句読点に置換
字数が少なすぎる場合
- 条文番号を追加する(「民法709条に基づき」など)
- 要件を1つ追加する(「故意又は過失により」など)
- 具体的な請求内容を書く(「損害賠償」→「建物の修繕に要した費用相当額の損害賠償」)
40字答案構成テンプレート|要件→あてはめ→結論
記述式で安定して部分点を取るために、答案を「型」に落とし込む練習が決定的に重要です。本番で頭が真っ白になっても、型さえ覚えていれば手が動きます。基本となる3要素の型を覚えましょう。
基本テンプレート:要件→あてはめ→結論
40字記述の骨格は、次の3つの要素を1文に圧縮したものです。
40字では3要素を独立した文に分けず、1つの文に織り込むのがコツです。基本形は次のとおりです。
〔主体〕は、〔相手方〕に対し、〔根拠・要件〕により、〔結論(請求・訴訟)〕できる(すべきである)。
パターン別テンプレート
問題文の問い方に応じて、3つの定型に当てはめると迷いません。
① 民法「請求できるか」型のテンプレート
〔誰が〕は〔誰に〕に対し、〔条文・法律構成〕に基づき、〔何を〕を請求できる。
- 字数の中心は「条文・法律構成」と「何を」。ここにキーワードが集中する
- 例:「Aは、Bに対し、債務不履行に基づき、契約解除と原状回復を請求できる。」
② 行政法「どんな訴訟・処分か」型のテンプレート
〔誰が〕は、〔被告〕を被告として、〔訴訟類型・救済手段〕を提起すべきである。
- 行政法では「被告は誰か」「訴訟類型は何か」が二大配点ポイント
- 例:「Xは、A県を被告として、拒否処分の取消訴訟を提起すべきである。」
③ 「要件を示して説明せよ」型のテンプレート
〔制度・請求〕には、〔要件1〕、〔要件2〕、〔要件3〕が必要であり、本件は〇〇にあたる。
- 要件列挙型は、要件そのものがキーワード。要件を並べるだけで部分点が積み上がる
- 例(民法109条1項の場合):「表見代理の成立には、代理権授与の表示と、相手方の善意無過失が必要である。」
テンプレートを使った組み立て手順
本番では次の順序で答案を組み立てます。
- 結論を先に決める(誰が・何を・できる/すべき)
- 結論を導く根拠(条文番号・法律構成)を決める
- 問題文の事実から、あてはめに必要な要件キーワードを拾う
- テンプレートの空欄を埋める
- 字数を数えて35〜45字に調整する
この手順なら、知識があやふやでも「結論+根拠+要件のどれか」を埋められ、確実に部分点に届きます。
行政法の記述式|傾向と対策
出題傾向
行政法の記述式(問題44)は、主に以下のテーマから出題されます。
- 取消訴訟の被告・訴訟要件
- 義務付け訴訟・差止訴訟の要件
- 国家賠償法の要件
- 行政手続法の手続的瑕疵
- 行政不服審査法の審査請求
行政法の解答例
例題1:Xが、A市長による建築許可の拒否処分に対して取消訴訟を提起する場合、被告は誰か。40字程度で記述しなさい。
解答例(36字):
「Xは、A市を被告として、建築許可の拒否処分の取消訴訟を提起すべきである。」
行政事件訴訟法第11条第1項
「処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。」
同項第1号「処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」
注意:11条1項は号建ての条文です。「処分の取消しの訴え」(1号)と「裁決の取消しの訴え」(2号)で被告が書き分けられており、いずれも行政庁そのものではなく、その行政庁が所属する国又は公共団体が被告になります。なお、処分庁が国・公共団体に所属しない場合(指定確認検査機関など)は、例外的に当該行政庁自身が被告です(同条2項)。
例題2:Xが、行政庁Aに対して法令に基づく許認可の申請をしたが、相当の期間内に何らの処分もされない。Xはどのような訴訟を提起できるか。40字程度で記述しなさい。
下書き(59字):
「Xは、Aの所属する国又は公共団体を被告として、不作為の違法確認の訴えを併合提起した上で申請型義務付け訴訟を提起できる。」
60字は大幅超過です。この設問は「どのような訴訟を提起できるか」を問うており、被告は問われていません。問われていない要素から削るのが鉄則なので、被告の記述を落として訴訟類型に絞ります。
清書(41字):
「Xは、不作為の違法確認の訴えを併合して、申請型義務付け訴訟を提起することができる。」
行政事件訴訟法第3条第6項
「この法律において『義務付けの訴え』とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。」
同項第2号「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。」
申請型義務付け訴訟には、併合提起の要件があります。
行政事件訴訟法第37条の3第3項
「第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。」
不作為型(同条1項1号)なら不作為の違法確認の訴えを、拒否処分型(同項2号)なら取消訴訟又は無効等確認の訴えを併せて提起します。この併合提起が記述の配点キーワードになりやすいポイントです。詳しくは申請型義務付け訴訟の要件と判例|行政事件訴訟法を解説を参照してください。
なお、非申請型義務付け訴訟(3条6項1号)は要件が異なり、「重大な損害を生ずるおそれ」があり、かつ「その損害を避けるため他に適当な方法がない」ことが必要です(37条の2第1項)。差止訴訟も「一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合」に限られます(37条の4第1項)。要件の異同は差止訴訟の要件と判例|行政事件訴訟法を解説で整理できます。
行政法の頻出テーマを要件レベルで押さえる
行政法の記述は、訴訟要件を問う問題が中心です。以下の頻出テーマは、要件を丸ごとキーワードとして覚えておくと、ほぼそのまま解答に転用できます。
処分性(行政事件訴訟法3条2項)
取消訴訟の対象となる「処分」とは何かを問うテーマです。判例の定義がそのまま記述のキーワードになります。
行政事件訴訟法第3条第2項
「この法律において『処分の取消しの訴え』とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に『処分』という。)の取消しを求める訴訟をいう。」
括弧内は「次項に規定する裁決」です。「次号」と覚えている受験生が少なくありませんが、3条2項に号は存在しません。裁決の取消しの訴えを定義しているのは3条3項なので、「次項」が正しい表現です。訴訟類型の全体像は行政事件訴訟法の基本|訴訟類型と取消訴訟の要件で確認してください。
判例(最判昭39.10.29)は、処分性を「公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているもの」と定義します。記述では「直接」「国民の権利義務を形成・確定」という語が配点キーワードになります。
原告適格(行政事件訴訟法9条)
「処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」が誰かを問うテーマです。
行政事件訴訟法第9条第1項
「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴えは、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者……に限り、提起することができる。」
第三者の原告適格が問われた場合、9条2項が定める考慮要素(処分の根拠法令の趣旨・目的、害される利益の内容・性質)を踏まえ、「個別的利益として保護されているか」を論じます。キーワードは「法律上の利益」「個別的利益として保護」。
狭義の訴えの利益
処分が取り消されても回復すべき利益が残っているか、というテーマです。建築工事完了後の建築確認取消しの訴えの利益(最判昭59.10.26=消滅する)、運転免許停止処分の期間経過(訴えの利益消滅)などが典型。記述では「処分の効果が期間経過等により消滅した」「回復すべき法律上の利益」がキーワードです。
行政不服審査法の審査請求
行政不服審査法第2条
「行政庁の処分に不服がある者は、第四条及び第五条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。」
審査請求先(処分庁に上級行政庁があれば最上級行政庁=4条)、審査請求期間(処分を知った日の翌日から起算して3か月=18条1項)が頻出。「審査請求」「最上級行政庁」「3か月」がキーワードです。訴訟(取消訴訟)と審査請求は別制度なので、問われた制度を取り違えないこと。
行政手続法の手続的瑕疵
不利益処分における理由の提示(14条)、申請に対する処分の審査基準(5条)・標準処理期間(6条)、聴聞・弁明の機会の付与(13条)が頻出です。
行政手続法第14条第1項
「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」
条文上の表記は「名宛人」ではなく「名あて人」です。記述では漢字表記でも意味は通りますが、条文素読の段階から正確な表記で覚えておくと、多肢選択の穴埋めでも迷いません。
なお、申請拒否処分の理由提示は8条、不利益処分の理由提示は14条と条文が分かれています。
行政手続法第8条第1項
「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。」
理由提示の不備が処分の取消事由になるか(最判平23.6.7=なる場合がある)が記述で問われやすく、「理由の提示」「名あて人」「不利益処分」がキーワードになります。聴聞・弁明の振り分け(13条1項)は不利益処分と聴聞手続き|要件と流れを完全解説、申請に対する処分の手続は申請に対する処分|審査基準・標準処理期間を解説で確認できます。
行政法で落としやすいポイント
- 被告を間違える:行政庁ではなく行政庁の所属する国又は公共団体が被告
- 訴訟類型を間違える:義務付け訴訟と差止訴訟の区別、申請型と非申請型の区別
- 行政事件訴訟法と行政不服審査法を混同する:訴訟と審査請求は別の制度
- 「処分性」と「原告適格」を混同する:処分性は対象(行為)の問題、原告適格は主体(誰が訴えられるか)の問題
民法の記述式|傾向と対策
出題傾向
民法の記述式(問題45・46)は、主に以下のテーマから出題されます。
- 債務不履行に基づく損害賠償請求
- 不法行為に基づく損害賠償請求
- 物権変動と対抗要件
- 代理(無権代理・表見代理)
- 契約解除と原状回復
- 抵当権の物上代位
- 債権譲渡
- 相続
民法の解答例
例題1:AがBに甲土地を売却したが、BがCに甲土地を転売し移転登記を済ませた後、AがBの債務不履行を理由に売買契約を解除した。AはCに甲土地の返還を請求できるか。40字程度で記述しなさい。
解答例(43字):
「AはCに対し甲土地の返還を請求できない。解除前の第三者Cは登記を備えており保護される。」
民法第545条第1項ただし書
「ただし、第三者の権利を害することはできない。」
判例(最判昭33.6.14)は、解除前の第三者は対抗要件(登記)を備えていれば保護されるとしています。
例題2:Aが、Bから甲土地の売却を委任されたと称してCと売買契約を締結したが、AはBから代理権を与えられていなかった。Cは、契約の効力を確定させるために誰に対しどのような手段を取れるか。40字程度で記述しなさい。
解答例(40字):
「Cは、本人Bに対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの催告をすることができる。」
民法第114条
「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」
落とし穴:催告の相手方は本人Bであって、無権代理人Aではありません。114条後段の「確答をしないときは追認を拒絶したものとみなす」という効果も配点キーワードになり得ます。無権代理人A自身に責任を追及する場合は117条(履行又は損害賠償)で、条文も相手方も異なる点に注意してください。
民法は「要件と効果」で覚える
民法の記述で得点する最短ルートは、頻出テーマを「要件(こういう事実があれば)→効果(こういう請求ができる)」のセットで暗記することです。問題文の事実が要件を満たすかを判定し、効果を結論として書けば答案になります。主要テーマの要件・効果を整理します。
表見代理の要件語は条文ごとに違います。110条は「第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」であって「善意無過失」ではありません。記述で110条を書くなら「正当な理由」が配点キーワードです(110条表見代理の判例|「正当な理由」の判断基準)。
物上代位は372条が304条を準用する構造です。304条1項ただし書の「その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」が最頻出の要件語になります(抵当権の効力と実行|物上代位・法定地上権・一括競売)。
債務不履行解除のテンプレ解答例
問題:「AがBに建物を売ったが、Bが期日を過ぎても代金を支払わない。Aは契約を解除できるか。要件とともに40字程度で記述しなさい。」
民法第541条本文
「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」
解答例(38字):「Aは、相当の期間を定めて催告し、期間内に履行がなければ売買契約を解除できる。」
キーワード:「相当の期間」「催告」「期間内に履行がない」「契約の解除」。要件をそのまま並べるだけで4つのキーワードが入り、部分点を確実に拾えます。
民法で落としやすいポイント
- 条文番号を間違える:特に債務不履行(415条)と不法行為(709条)の混同に注意
- 当事者の関係を取り違える:問題文の事実関係を図に書いて整理する
- 善意・悪意、過失の有無を見落とす:第三者保護規定では主観的要件が重要
- 要件の一部しか書かない:「催告」だけでなく「相当の期間」「期間内に履行がない」まで書いて初めて満点に近づく
記述式の頻出テーマ|出題実績から逆算する
記述式は3問しか出ないため、テーマの循環が早く、過去の出題実績がそのまま次の出題予想になります。ここでは出題実績ベースで、狙いを定めるべきテーマを整理します。
出題構成は「行政法1問・民法2問」で固定
まず前提として、記述式の科目配分は次のとおりです。
「行政法2問・民法1問」と逆に覚えている受験生が非常に多いので注意してください。民法が2問ある以上、記述対策の学習量も民法に厚く配分するのが合理的です。科目全体の時間配分は行政書士試験 科目別の勉強順序と時間配分、民法と行政法の学習バランスは民法と行政法の学習バランス|配点から逆算する戦略を参照してください。
行政法(問題44)の頻出テーマ
行政法の記述は、行政事件訴訟法の訴訟類型を問う問題が主軸です。これに行政手続法・行政不服審査法・国家賠償法が加わります。
① 行政事件訴訟法の訴訟類型(最頻出)
抗告訴訟の類型は3条に列挙されています。記述で問われるのは「本件ではどの訴えを提起すべきか」であり、類型名を正確に書けるかが勝負です。
類型の選択が④結論ブロックそのものです。事案から類型を即断できるよう、「申請したのに応答なし→不作為の違法確認+申請型義務付け」「これから不利益処分が出そう→差止め」と反射で結びつけておきます。
② 訴訟要件(処分性・原告適格・訴えの利益・被告適格・出訴期間)
訴訟要件は要件語そのものが配点キーワードです。出訴期間は行訴法14条1項が「処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月」、同2項が「処分又は裁決の日から一年」と定めます(いずれも正当な理由があるときは例外)。数字は記述でも問われ得るので正確に。処分性の判例は通達の法的性質と処分性|墓地通達事件ほか判例解説や病院開設中止勧告事件|行政指導の処分性を解説、原告適格は原告適格と訴えの利益の違い|9条の判断基準を解説に整理があります。
③ 執行停止・仮の救済
取消訴訟を提起しても処分の効力は止まりません(行訴法25条1項=執行不停止原則)。止めるには執行停止の申立てが必要で、要件は「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」(25条2項)、消極要件として「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」「本案について理由がないとみえるとき」(25条4項)です。仮の救済制度|執行停止・仮の義務付け・仮の差止めを比較で3制度を横断できます。
④ 行政手続法(申請に対する処分・不利益処分・行政指導)
審査基準(5条)、標準処理期間(6条)、申請拒否の理由提示(8条)、不利益処分の理由提示(14条)、聴聞・弁明の振り分け(13条1項)が頻出です。行政指導では、32条2項の「行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」、36条の2の中止等の求めが記述向きの条文です(行政指導の中止等の求め|36条の2の要件と相手方)。
⑤ 行政不服審査法(審査請求)
審査請求先は4条で、上級行政庁がない場合は当該処分庁等(1号)、それ以外は原則として最上級行政庁(4号)です。審査請求期間は「処分があったことを知った日の翌日から起算して三月」(18条1項)。訴訟の出訴期間(六箇月)と混同しないことが最大の注意点です。両制度の違いは行政不服審査法vs行政事件訴訟法|2法の徹底比較で対比できます。
⑥ 国家賠償法
1条(公権力の行使に当たる公務員の違法な行為)と2条(公の営造物の設置管理の瑕疵)の書き分けが問われます。要件語(「職務を行うについて」「故意又は過失」「通常有すべき安全性を欠く」)を正確に。国家賠償法の全体像|1条と2条の横断整理が起点になります。
民法(問題45・46)の頻出テーマ
民法の記述は、要件と効果をセットで書かせる問題が中心です。総則・物権・債権・親族相続からまんべんなく出ますが、実績上の中心は次のとおりです。
要件効果型の設問が来たら、条文の要件を機械的に並べる。これが民法記述の最短ルートです。要件が3つある制度なら、3つ書けば3ブロック分の加点が期待できます。
テーマの潰し方|過去問10年→要件カード化
頻出テーマを効率よく仕上げる手順は次のとおりです。
- 過去10年分の記述式(30問)を分類する:行政法10問・民法20問がテーマ別にどう分布しているかを自分で表にする
- 出たテーマの隣接論点を洗う:たとえば「申請型義務付け」が出た年があれば、非申請型・差止めも同じ枠で押さえる
- 要件カードを作る:表面に制度名、裏面に「要件(列挙)/効果/条文番号」。40字の材料はここに全部入ります
- カードから40字を組む練習:知識のインプットと答案作成を分離せず、覚えた直後に1文を書く
過去問の回し方は行政書士試験 過去問の効果的な使い方|回転数と復習法、条文の覚え方は行政書士試験 条文学習の効率的なやり方|素読・横断・記憶のコツで補強できます。行政法・民法それぞれの記述パターンをさらに具体的に見たい場合は、行政書士 記述式の行政法|頻出パターン10選と行政書士 記述式の民法|頻出パターン10選が実戦的です。
記述式の学習スケジュール
試験1年前〜半年前:基礎固め期
- 択一式の学習と並行して、重要条文の要件と効果を正確に覚える
- 「AがBに対して○○を請求できる」という形式で条文の効果をまとめるノートを作成する
- この段階では記述式の問題を解く必要はなく、知識のインプットを優先する
試験半年前〜3か月前:実践期
- 過去問の記述式を解き始める
- 最初は時間制限なしで丁寧に解答を作成し、模範解答と照らし合わせる
- キーワードを何個拾えたかをチェックし、自分の弱点テーマを把握する
- 1日1問ペースで記述式の練習を積む
試験3か月前〜直前:仕上げ期
- 時間を計って解答する練習(1問5〜7分が目安)
- 過去10年分の記述式を最低2周回す
- 予備校の模試で記述式の添削を受ける
- 頻出テーマの模範解答を暗記する
本番での解答戦略
時間配分は「記述に25分」だけ覚える
行政書士試験の試験時間は3時間(180分)です。記述式3問に割ける時間は合計20〜25分、1問あたり5〜8分が目安になります。
記述式に関して押さえるべき時間のルールは次の3点だけです。
- 記述は最後に回さない。残り10分で3問に着手すると、下書きも字数調整もできません
- 1問に10分以上かけない。詰まったら書ける要素だけ埋めて次へ進み、見直し時間に戻る
- 見直し時間を15分以上残す。記述の清書し直しは見直し時間の主要用途です
180分全体をどの順番で解くか、どのパートに何分を割り当てるかは、この記事では深入りしません。解く順番の設計と時間管理の具体策は主記事の行政書士試験の時間配分|180分の解く順番と当日の進め方にまとめてあります。記述式に特化した時間の使い方は記述式の時間配分と解答テクニック|40字の書き方が詳しいので、あわせて確認してください。
本番で使える5つのルール
- 白紙で出さない:キーワードを1つでも書けば部分点の可能性がある
- 問題文の指示に正確に答える:「誰を被告として」と聞かれたら被告を書く
- 略字・略語は使わない:「取消訴訟」を「取消し」と略さない
- 漢字に自信がなければひらがなで書く:誤字は減点対象
- 下書きをしてから清書する:問題用紙の余白を使って字数を確認する
過去問の解答例分析|部分点はこう積み上がる
記述式の採点がどう動くかを、典型的な過去問パターンを使って分解してみます。出題者が想定するキーワードを「採点ブロック」として可視化すると、部分点の取り方が見えてきます。
分析例:行政法・取消訴訟の被告と訴訟類型
問題:「A県知事の営業許可拒否処分を争うため、Xはどのような被告に対し、いかなる訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。」
満点解答例(35字):「Xは、A県を被告として、営業許可拒否処分の取消訴訟を提起すべきである。」
この解答を採点ブロックに分解すると次のようになります。
ここから部分点の取り方が見えます。
- 訴訟類型を「取消訴訟」と書ければ、被告を間違えても約8点は確保できる
- 逆に「A県知事を被告として」と書くと被告ブロックは0点だが、訴訟類型と対象で約12点は残る
- どこか1ブロックでも正しく書けば加点されるのが部分点方式
分析例:民法・無権代理
問題:「Bの代理人と称するAがCと契約したが、Aに代理権はなかった。Cが本人Bに対して取りうる手段を、40字程度で記述しなさい。」
満点解答例(38字):「Cは、Bに対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの催告をすることができる。」
「催告」という用語だけでも約8点。さらに「相当の期間」を添えれば約16点。用語1語が大きな配点を持つことがわかります。だからこそ白紙は厳禁であり、思いついたキーワードは1つでも書き込むべきなのです。
書いてはいけないNG|減点・0点になる答案
部分点方式とはいえ、次のような答案は加点されないどころか減点や実質0点になります。
- 問いに答えていない:「被告は誰か」と聞かれているのに被告を書かず、訴訟の流れだけ説明する。問いに対応しない記述は配点ブロックに乗らない
- 法律用語を日常語で言い換える:「取消訴訟」を「やめさせる裁判」、「催告」を「お願いする」などと書くとキーワード認定されない
- 条文・要件をぼかす:「何らかの請求ができる」「適切な訴訟を起こす」のような中身のない記述は0点
- 誤った条文番号・誤った法律構成:間違った条文を断定的に書くと、その部分は加点されず論理破綻として全体の心証も悪化する
- 字数の極端な不足:20字未満は内容が薄く、実質的に部分点が付きにくい
- 解答欄をはみ出す・複数解答を併記する:「AまたはBを被告として」のように逃げで両論併記すると、誤りを含む分だけ評価が下がることがある
- 判読不能な乱筆・誤字:採点者が読めない字は採点対象外。法律用語の誤字(「賠償」を「倍償」など)は減点
「やりがち」だが避けるべき書き方
- 理由を長々書いて結論を書く前に字数が尽きる(結論ファースト原則違反)
- 問題文の事実をそのまま書き写すだけで法的評価を加えない
- 「〜と思われる」「〜ではないだろうか」など曖昧な語尾で締める
記述式のよくある誤解
記述式には受験生が陥りやすい思い込みがあります。代表的なものを正しておきます。
誤解1:記述式は満点を取らないと意味がない
誤りです。記述式は部分点方式で、合格者の多くは3問合計20〜40点です。満点ではなく「各問で部分点を積む」のが正解の戦略です。
誤解2:字数は40字ぴったりにしないと減点される
誤りです。「40字程度」は概ね35〜45字が許容範囲です。字数を1字合わせることに神経を使うより、キーワードを漏らさないことが先決です。
誤解3:きれいな文章・うまい文章が評価される
誤りです。採点はキーワードの有無が中心で、文学的なうまさは評価されません。むしろ装飾的な表現は字数を浪費します。
誤解4:記述対策は直前期だけで間に合う
危険な誤解です。記述で問われる知識は択一の知識と同じ条文・判例ですが、「正確にアウトプットする」訓練は別物です。最低でも試験3か月前からは答案作成の練習が必要です。
誤解5:行政法は2問、民法は1問出る
誤りです。行政法1問・民法2問が正しい構成です。配分を逆に覚えていると学習バランスを誤ります。
よくある質問(FAQ)
Q. 記述式は何点取れば合格に十分ですか。
A. 一概には言えませんが、択一・多肢選択で160点前後を確保できる前提なら、記述で20点取れば合格ラインに届く計算です。逆に択一が伸び悩む場合は記述で40点以上を狙う必要があります。いずれにせよ「3問とも部分点を取る」ことが最重要です。
Q. 漢字を間違えたら必ず0点ですか。
A. キーワード全体が判読不能になるほどの誤字は加点されない可能性が高いですが、軽微な誤字は減点にとどまることもあります。自信のない漢字はひらがなで書く方が安全です。法律用語(取消訴訟、損害賠償など)はひらがなでも意味が通れば加点され得ます。
Q. 結論と理由のどちらを優先して書くべきですか。
A. 結論を優先してください。40字では理由を詳述する余裕がありません。「結論+根拠(条文・要件のキーワード)」を一文に圧縮するのが基本です。
Q. 過去問は何年分やればよいですか。
A. 最低でも過去10年分を2周が目安です。記述式はテーマが循環するため、過去問の頻出テーマを潰すことが最も効率的な対策になります。
Q. 予備校の添削は受けるべきですか。
A. 可能なら受けることを強く推奨します。記述式は自己採点が甘くなりがちで、第三者の客観的な採点で「どのキーワードが抜けたか」を把握できると弱点が明確になります。模試の記述添削だけでも活用価値があります。
Q. 本番で全く分からない問題が出たらどうすればよいですか。
A. 白紙だけは避けてください。問題文に登場する法律用語、思いつく条文番号、関連しそうなキーワードを1つでも書き込みます。部分点方式なので、的外れでなければ加点される可能性が残ります。
Q. 白紙は本当に避けるべきですか。何を書いても無駄では。
A. 避けるべきです。白紙は確実に0点ですが、書けば0点ではない可能性が生まれます。特に「誰が」「誰に対し」は問題文から拾えるので、知識ゼロでも埋まります。加えて、型Bの行政法なら「取消訴訟を提起すべきである」と書くだけで訴訟類型ブロックに乗る可能性があります。期待値がプラスである以上、書かない理由はありません。
Q. 字数がオーバーしたら減点されますか。
A. 「40字程度」の許容幅は概ね35〜45字とされ、この範囲なら字数自体による減点は考えにくいです。ただし解答欄のマス目を物理的に超えて書くことはできないため、実質的な上限は解答欄のサイズです。45字を超えそうなら、削るのではなく組み立て直すのが安全です。長すぎる下書きは、たいてい条文の言い回しをそのまま写しているのが原因です。
Q. 字数が足りないときはどう埋めればよいですか。
A. 接続詞や前置きで水増ししても加点されません。要件を1つ追加するか、条文番号を明示するか、請求内容を具体化するのが正解です。この3つはいずれも配点ブロックを増やす方向の操作です。逆に「本件において」「〜と考えられる」などは字数だけ食って0点です。
Q. 記述式の対策はいつから始めるべきですか。
A. 遅くとも試験の3か月前です。理想は半年前から。記述で問われる知識は択一と同じ条文・判例ですが、「正確にアウトプットする」訓練は別物で、択一の知識があっても最初は40字にまとまりません。ただし、学習初期から記述の問題を解く必要はなく、条文を覚える段階で「要件と効果をセットで書けるノート」を作っておけば、それがそのまま記述の素材になります。直前期の詰め方は行政書士試験 直前期の追い込み勉強法を参照してください。
Q. 記述式は捨ててもよいですか。択一だけで180点は取れませんか。
A. 現実的ではありません。記述以外の満点は240点で、そこで180点を取るには得点率75%が必要です。基礎知識で28点(7問正解)と想定すると、法令の択一・多肢選択184点中152点=得点率82.6%が要求されます。これは択一だけで見れば上位数%の水準で、狙って再現できる数字ではありません。記述で20〜40点を取る前提で設計するほうが、はるかに合格確率が高いというのが配点構造からの結論です。
Q. 漢字が思い出せません。ひらがなでも部分点は入りますか。
A. 法律用語がひらがなでも意味が特定できる場合は、加点される余地があります。「そきゅう(遡及)」「けんけつ(欠缺)」のように読みが一意なら伝わります。一方、誤った漢字を当てると別語と読まれるリスクがあるため、自信がなければひらがなが原則です。ただし「取消訴訟」「損害賠償」「催告」など頻出用語は書けて当然の水準なので、直前期に手で書いて確認しておきましょう。
Q. 「40字程度」なのに解答欄が2行あるときは、2行使うべきですか。
A. 解答欄は1行40マスが基本です。仮に余白があっても、求められているのは40字程度の1文なので、無理に行を埋める必要はありません。字数を稼ぐために説明を足すと、論点がぼやけて配点ブロックが薄まります。
Q. 模範解答と表現が違いますが、これは0点ですか。
A. 表現が一字一句一致する必要はありません。判定されているのは配点キーワードが入っているかです。自己採点では模範解答との一致率ではなく、「キーワードをいくつ拾えたか」を数えてください。ただし法律用語を自分の言葉に置き換えるのは危険で、「取消訴訟」を「取消しを求める裁判」と書くと認定されない可能性があります。構文は自由、用語は条文どおりが原則です。
Q. 独学でも記述対策はできますか。
A. できます。ただし自己採点が甘くなるという構造的な弱点があるため、キーワードのチェックリストを先に作ってから採点する運用にしてください。「書いてから模範解答を見る」のではなく、「模範解答からキーワードを3つ抜き出し、それが自分の答案にあるかを○×で判定する」という手順にすると、甘さがかなり消えます。可能なら模試の添削を年1〜2回は挟むと精度が上がります(行政書士試験の模試活用法|効果的な復習術も解説)。
確認問題
行政書士試験の記述式は、行政法2問・民法1問の合計3問で構成されている。
記述式の採点では部分点が認められており、キーワードを1つでも書ければ得点の可能性がある。
取消訴訟の被告は、処分をした行政庁そのものである。
記述式の「40字程度」とは厳密に40字ちょうどを意味し、字数が1字でもずれると減点される。
債務不履行に基づく契約解除を記述する場合、「相当の期間を定めた催告」と「期間内に履行がないこと」は配点キーワードになりうる。
まとめ
行政書士試験の記述式は、60点という大きな配点を持ち、合否を左右する重要なパートです。
記述式攻略の要点
- 書くべきは4要素:〔誰が〕〔誰に対し〕〔どの根拠で〕〔何を〕を1文に圧縮する
- 出題構成:行政法1問・民法2問の計3問(各20点、合計60点)。逆に覚えない
- 手順は下書き→字数調整→清書:要素を単語で並べ、一文に組み、35〜45字に整える
- 削ってよいのは条文の言い回し、削ってはいけないのは要件語
- 部分点を狙う:配点ブロック単位で加点される。1ブロックの誤りは他を巻き込まない
- 白紙は厳禁:「誰が」だけでも問題文から書ける。期待値は常にプラス
学習の進め方
- 試験1年前〜半年前:条文の要件・効果を正確にインプット
- 試験半年前〜3か月前:過去問を使った実践演習(1日1問)
- 試験3か月前〜直前:時間を計った演習と模範解答の暗記
記述式は「知識の正確さ」と「表現力」の両方が求められる問題です。日頃から「40字でまとめる」練習を重ね、本番で確実に得点できるようにしましょう。
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- 不法行為(709条)の要件と重要判例を徹底解説
試験戦略・時間配分