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行政書士 個数問題の対策と攻略法|正答率を上げるコツ

行政書士試験で受験生が最も苦手とする個数問題。本記事では正答率が下がる理由から、消去法が効かない時の対処、5肢全肢を確実に判定する手順、本番での時間配分まで、個数問題で点を落とさないコツを徹底解説します。

行政書士試験の5肢択一式のなかで、多くの受験生が「これが出ると一気に正答率が下がる」と口をそろえるのが個数問題です。「正しいものはいくつあるか」「妥当でないものの数を答えよ」という形式の出題は、ふだんの過去問演習では7〜8割取れている人でも、本番でばたばたと取りこぼす厄介な存在です。

なぜ個数問題はこれほど難しいのか。それは、通常の択一問題で多くの受験生が無意識に頼っている消去法が一切通用しないからです。5つの肢すべてについて正誤を確実に判定できなければ、正解にたどり着けません。1肢でも判断を誤れば、その瞬間に得点はゼロになります。

しかし、裏を返せば、個数問題は正しい対策と解き方の手順を身につければ、確実に差をつけられる得点源にもなります。多くの受験生が苦手意識のまま放置するからこそ、ここを攻略できれば合否を分ける180点ラインで一歩リードできるのです。

この記事では、行政書士試験の個数問題に特化して、苦手になる構造的な理由から、本番で正答率を上げる具体的な手順とコツまでを、実践的に解説していきます。

この記事でわかること

  • 行政書士試験における個数問題の出題傾向と、なぜ正答率が下がるのかの構造的な理由
  • 通常の択一問題(正しいものを1つ選ぶ問題)との解き方の決定的な違い
  • 個数問題で点を落とさないための「5肢全肢判定」の具体的な手順
  • 自信のない肢に出会ったときの対処法と、捨てる勇気の持ち方
  • 普段の学習段階から個数問題に強くなるためのトレーニング方法
  • 本番での時間配分と、解く順番をどうコントロールするか
  • 個数問題でやりがちなミスとその防止チェックリスト

個数問題は「運ゲー」ではありません。実力を正確に得点へ変換するための技術があります。順番に見ていきましょう。

個数問題とは何か|行政書士試験での出題形式

個数問題とは、5つの選択肢それぞれの正誤を判定したうえで、「正しいものはいくつあるか」あるいは「妥当でないものはいくつあるか」を問う出題形式です。解答は通常、次のような選択肢から1つを選びます。

選択肢内容1一つ2二つ3三つ4四つ5五つ(またはゼロを含む場合あり)

行政書士試験の5肢択一式は全部で40問、各4点の160点満点です。このうち個数問題は毎年一定数出題されますが、その数は固定ではなく、年度によって変動します。傾向としては、法令科目(特に行政法・民法・商法)で散見されることが多く、一般知識でも出題されることがあります。

出題数が年によって変わる点には注意が必要です。「今年は多そうだ」と決め打ちせず、どの年でも一定数は出るものとして準備しておくのが堅実です。出題数の正確な予測に労力を割くより、出たときに確実に対応できる解法を身につけるほうがはるかに重要です。

「組合せ問題」との違いを整理する

個数問題と混同されやすいのが「組合せ問題」です。両者は似ていますが、難易度の構造が異なります。

形式問われ方消去法の可否通常の択一正しいもの(誤っているもの)を1つ選べ消去法が有効組合せ問題正しいものの組合せを選べ(例:ア・ウ)部分的に消去法が使える個数問題正しいものはいくつあるか消去法が一切使えない

組合せ問題では、選択肢の組合せパターンから「アが正しいことが分かれば、アを含まない選択肢は消せる」といった形で部分的に消去法が機能します。たとえば、ある肢の正誤に確信が持てなくても、他の肢の判定から答えを絞り込めることがあります。

ところが個数問題では、この絞り込みが効きません。1つでも曖昧な肢があれば、正解の個数を確定できないのです。これが、個数問題が「最も難しい出題形式」と言われる最大の理由です。

なぜ個数問題は正答率が下がるのか|3つの構造的理由

個数問題で取りこぼす原因は、単なる勉強不足だけではありません。問題形式そのものに、正答率を下げる構造があります。理由を理解すれば対策の方向性も見えてきます。

理由1|消去法という「逃げ道」がない

通常の択一問題では、5肢のうち明らかに誤っている肢を3つ消せれば、残り2つのうちどちらかが正解だと分かり、正答率は単純計算で50%まで上がります。あやふやな知識でも、消去法を組み合わせれば正解に届くことが多いのです。

しかし個数問題では、この逃げ道が完全に塞がれています。5肢すべてを正確に○か×か判定できて初めて正解できる。知識の「精度」がそのまま得点に直結する形式なのです。なんとなく分かっている、という半端な理解では1点も取れません。

理由2|1肢のミスが致命傷になる

仮に5肢中4肢を完璧に判定できても、残り1肢を間違えれば個数の合計がずれ、不正解になります。通常問題であれば4肢正確に判定できればほぼ正解できますが、個数問題では4肢正解でも0点です。

これは確率的にも厳しい構造です。各肢を90%の精度で判定できる受験生がいたとしても、5肢すべてを正解する確率は 0.9 の5乗で約59%にとどまります。各肢80%の精度なら約33%まで落ちます。普段の択一で「だいたい合っている」レベルの知識では、個数問題は安定して取れないのです。

理由3|微妙な肢が意図的に仕込まれる

出題者は、個数問題に判断を迷わせる微妙な肢を意図的に混ぜてきます。「原則は正しいが例外を見落とすと誤りになる」「条文の文言を一語だけ変えてある」「判例の結論は合っているが理由づけがずれている」といった、ひっかけの肢が定番です。

通常の択一なら、こうした微妙な肢が1つあっても他の肢で正解を導けます。しかし個数問題では、その微妙な肢こそが個数を左右するキーになります。出題者の狙いを理解したうえで、細部まで正確に詰める姿勢が求められます。

個数問題を解く基本手順|5肢全肢判定のステップ

個数問題に対する基本姿勢は明確です。最初から最後まで、5肢すべてを独立して判定する。通常問題のように「正解が1つ見つかったら終わり」という解き方は通用しません。ここでは実際の解答手順を5ステップに分けて示します。

ステップ1|まず「何を数えるのか」を確認する

個数問題で最初にすべきことは、設問文を正確に読むことです。「正しいものはいくつあるか」なのか「妥当でないものはいくつあるか」なのかで、数える対象が真逆になります。

ここを読み違えると、すべての肢を正確に判定したのに最後の集計で間違える、という最も悔しいミスが起こります。設問文の「正しい/誤っている」「妥当な/妥当でない」の部分には、問題用紙に丸印をつけるなどして、視覚的に固定しておきましょう。

ステップ2|各肢の横に○×△を必ず書き込む

5肢を1つずつ判定し、その肢の脇に判定結果を必ず書き込みます。確実に正しいなら○、確実に誤りなら×、判断に迷うなら△と記号化します。

頭の中だけで「これは正しい、これは間違い……」と処理しようとすると、5肢目を読むころには1肢目の判定を忘れてしまいます。手を動かして記号を残すことが、集計ミスを防ぐ最も基本的かつ強力なテクニックです。

ステップ3|△の肢を集中的に詰める

全肢を一周したら、△をつけた肢に戻ります。個数問題の勝負はここで決まります。△が0個なら、○の数を数えて即座に解答できます。△が残っている場合は、その肢を確定させるために知識を総動員します。

このとき、「条文の原則・例外」「判例の射程」「要件の数」など、自分が曖昧にしている論点を特定し、思い出せる手がかりを探ります。詰めきれない場合の対処は後述します。

ステップ4|誤りの肢は「どこが誤りか」を言語化する

×をつけた肢については、「なんとなく違う気がする」で済ませず、どの部分が、何と比べて誤っているのかを一言で言えるか確認します。「主体が違う」「期間が違う」「『できる』が『しなければならない』になっている」など、誤りの根拠を特定できれば、その判定は信頼できます。

逆に、誤りの根拠を言語化できない肢は、実は△かもしれません。「なんとなく違う」という感覚だけで×をつけてしまうと、それが思い込みだった場合に個数全体が崩れます。誤りの根拠を一言で説明できるかどうかを、判定の信頼性を測るものさしとして使いましょう。この言語化のプロセスが、判定精度を一段引き上げます。

ステップ5|記号を集計し、設問とつき合わせる

最後に、書き込んだ○×を集計します。ステップ1で確認した「数える対象」と照らし合わせ、最終的な個数を確定します。「正しいものの数」を聞かれているのに、うっかり誤りの数を答えていないか、最後にもう一度だけ設問文を見返してから解答をマークしましょう。

解答プロセスの具体例|架空の1問で手順を追う

抽象的な手順だけでは実感がわきにくいので、架空の個数問題を例に、ここまでのステップを実際にどう適用するかを追ってみましょう。ここでは内容の正確さよりも、思考のプロセスを示すことが目的です。

仮に「行政手続法に関する次の記述のうち、妥当でないものはいくつあるか」という設問で、ア〜オの5肢が並んでいるとします。解く人の頭の中は、おおむね次のように動きます。まず設問文を読み、「妥当でないもの」を数えるのだと確認し、その部分に丸印をつけます。ここで「妥当なものを数える」と勘違いすると、すべての判定が正しくても答えがひっくり返ります。次に、ア〜オを1つずつ読みながら、脇に○か×か△を書き込んでいきます。

肢頭の中の判定書き込む記号ア原則どおりで正しそう○イ主語がすり替わっている気がする×ウ期間の数字に確信が持てない△エ「できる」が「しなければならない」になっている×オ条文どおりで正しい○

△の肢を詰める。 一周し終えた時点で、確定しているのはア(○)、イ(×)、エ(×)、オ(○)。残るウが△です。ここで個数問題の勝負どころに立ちます。設問は「妥当でないもの」を数えるので、現時点で確実な×はイとエの2つ。ウが×なら3つ、ウが○なら2つになります。

ウの期間の数字を思い出そうと、関連制度の数字を横断的に手繰ります。「この手続の期間は確か……」と原則に立ち返り、思い出せればウを確定させます。もし思い出せなければ、ウを暫定で判断し、答えを「二つ」か「三つ」のどちらかに置きます。

集計と最終確認。 ウを×と確定できたとすると、妥当でないものはイ・ウ・エの3つ。解答は「三つ」です。最後に、設問が「妥当でないもの」だったことをもう一度確認してからマークします。この最終確認を省くと、ウを正確に判定できていても「妥当なもの」を数えて失点する、という痛いミスにつながります。

この一連の流れが、個数問題を解くときの標準的な思考プロセスです。重要なのは、どの肢でも判定→記号化→集計という同じ手続きを機械的に踏むこと。慣れれば、迷いなくこの流れに乗れるようになります。

自信のない肢に出会ったときの対処法

個数問題で最も難しいのが、ステップ3の「△の肢をどう確定させるか」です。すべての肢を完璧に判定できれば苦労はありませんが、現実には1つや2つ、迷う肢が出てきます。ここでの立ち回りが正答率を大きく左右します。

「原則」に立ち返って判定する

迷う肢の多くは、原則と例外の境界を突いてきます。細かい例外を思い出せないときは、まずその分野の大原則がどうなっているかを確認しましょう。肢の記述が原則どおりなら○の可能性が高く、原則からずれているなら、その例外が本当に存在するかを検討します。

例外の存在に確信が持てない場合、「原則として正しい記述」であれば○寄りに判断するのが一つの目安です。ただしこれはあくまで最後の手段であり、本来は普段の学習で例外まで押さえておくべき部分です。

他の肢から論点の方向性を推測する

5肢が同じテーマで構成されている場合、他の確実に判定できた肢が、迷う肢のヒントになることがあります。出題者は1つの問題のなかで関連する論点を並べることが多いため、確実な肢で確認した知識を、迷う肢に応用できないか考えてみましょう。

確定できないなら「期待値」で割り切る

どうしても1肢が確定できない場合、その肢を○と仮定したときと×と仮定したときで、答えの個数が1つずれます。このとき、残り4肢の判定に自信があれば、より自然なほうを選ぶしかありません。

重要なのは、1問に固執して時間を溶かさないことです。個数問題は1問4点ですが、その1問のために他の取れるはずの問題を落としては本末転倒です。一定時間考えて確定できなければ、暫定の答えをマークして次へ進み、時間が余れば戻る。この割り切りが本番では効きます。択一全体の解く順番や時間管理については択一式の解く順番と時間管理の戦略も参考にしてください。

普段の学習で個数問題に強くなる方法

個数問題は本番のテクニックだけで乗り切れるものではありません。土台となるのは、例外まで含めた正確な知識です。ここでは、日々の学習段階から個数問題に強くなるための具体的なトレーニングを紹介します。

過去問の全肢を「単問」として解く習慣をつける

最も効果的なのが、過去問を解くときに正解の肢だけで満足せず、5肢すべてについて○か×かと、その理由を答える習慣です。たとえば通常の「誤っているものを選べ」という問題でも、正解以外の4肢がなぜ正しいのかを一つひとつ説明できるようにします。

この訓練を続けると、どの問題も実質的に個数問題と同じ精度で解くことになります。普段から全肢判定をしていれば、本番で個数問題が出ても「いつもの解き方」で対応できるのです。

「○×の理由」を一言で言えるかチェックする

肢を判定する際、「○」「×」だけでなく、その根拠を一言添える練習をします。「主語が違う」「数字が違う」「原則と例外が逆」といった具合です。根拠を言えない判定は、本番では崩れます。

この際、誤りの肢がどう作られているかのパターンを蓄積すると効果的です。誤り肢の作り方には定番があり、それを知っていれば微妙な肢に出会ったときの嗅覚が鋭くなります。

誤り肢の典型パターンを押さえる

出題者が肢を誤りにするときの手口には、いくつかの定番があります。これを知っておくと、どこを疑えばよいかが分かります。

パターン具体例主体のすり替え「市町村長」を「都道府県知事」に変える数字・期間の改変「30日」を「14日」に、「3分の2」を「過半数」に変える義務・裁量の言い換え「できる」を「しなければならない」に変える原則と例外の逆転例外的な扱いを原則であるかのように書く要件の欠落・追加必要な要件を抜く、または不要な要件を加える判例の理由づけのずれ結論は正しいが理由づけが別の判例のもの

これらのパターンを意識すると、肢を読む際の着眼点が定まります。特に主体・数字・期間・義務の有無は誤り肢の頻出ポイントなので、肢を読むたびに反射的にチェックする癖をつけましょう。数字や期間の知識を横断的に整理しておくと、この種のひっかけに強くなります。行政書士試験に出る数字・期間の暗記リストで頻出数字をまとめて押さえておくと効果的です。

似た制度を横断整理して例外に強くなる

個数問題は、似て非なる制度の細部を突いてきます。たとえば行政手続法の「申請に対する処分」と「不利益処分」、行政不服審査法と行政事件訴訟法の各種期間など、紛らわしい制度を横並びで整理しておくと、肢の正誤を素早く判定できます。横断整理の具体的な進め方は法令科目の横断整理テクニックで詳しく解説しています。

科目別に見る個数問題の出やすい論点と対策

個数問題は、細部の正確な知識を試すのに適した論点で出されやすい傾向があります。科目ごとに、どんなところが狙われやすいかを押さえておくと、学習の重点配分に役立ちます。

行政法|数字・期間・主体が密集する論点が危険

行政法は、似た制度のなかに数字や主体の違いが密集しており、個数問題の格好の素材になります。行政不服審査法の審査請求期間、行政事件訴訟法の出訴期間、行政手続法の各種手続など、紛らわしい期間や主体が多数登場します。

特に、行政不服審査法と行政事件訴訟法は制度がよく似ているため、両者を取り違えさせる肢が作られやすい分野です。「審査請求」と「取消訴訟」の期間や要件を横並びで整理しておくと、肢の正誤を素早く判定できます。地方自治法も、直接請求の要件や議会・長の権限など、数字と主体が絡む論点が多く、個数問題で問われやすい科目です。

民法|要件の数と原則・例外が狙われる

民法では、ある制度の「要件をすべて挙げられるか」「原則と例外を正確に区別できるか」が問われます。たとえば、各種契約の成立要件、時効の要件、相続の承認・放棄の要件などは、要件を1つ抜いたり、不要な要件を加えたりする形で肢が作られます。

民法は条文数が多く、すべてを完璧に覚えるのは現実的ではありませんが、個数問題で狙われやすい「要件の数」「期間」「原則・例外」に絞って正確さを高めると、効率よく対応できます。改正点も格好の出題素材なので、改正前後で何が変わったかは正確に押さえておきましょう。

商法・会社法|機関設計や手続の細部

商法・会社法は、機関設計のパターンや各種手続の要件など、細かい数字と組合せが問われやすい分野です。取締役の人数要件、株式の譲渡制限、株主総会の決議要件などは、数字をすり替える形で肢が作られます。

会社法は範囲が広く深追いしにくい科目ですが、頻出の機関設計と決議要件あたりは、個数問題に備えて正確に整理しておく価値があります。

一般知識|情報通信・個人情報保護法の用語

一般知識では、情報通信・個人情報保護分野で個数問題が出ることがあります。用語の定義や法律上の取扱いを問う形式で、定義を一語変えたり、対象範囲をずらしたりする肢が並びます。一般知識は足切りがある科目なので、確実に取れる論点で個数問題が出たら、丁寧に拾っておきたいところです。

個数問題の練習|ミニクイズで判定力を試す

ここで、個数問題で問われる細部の知識を、○×形式で確認してみましょう。本番では、こうした一つひとつの判定の積み重ねが個数の正誤を決めます。

確認問題

個数問題では、5肢のうち4肢を正確に判定できれば、消去法によって残り1肢を判定しなくても正解の個数を確定できる。

○ 正しい × 誤り
解説
個数問題では消去法が一切使えません。組合せ問題と異なり、選択肢の組合せから絞り込むことができないため、5肢すべてを独立して正誤判定しなければ正解の個数を確定できません。これが個数問題の最大の難しさです。
確認問題

個数問題を解く際は、各肢の脇に○×△などの記号を書き込みながら判定するのが、集計ミスを防ぐうえで有効である。

○ 正しい × 誤り
解説
頭の中だけで全肢を処理しようとすると、後半の肢を読むうちに前半の判定を忘れてしまいます。手を動かして記号を残すことで、最後に確実に集計でき、個数の数え間違いを防げます。基本かつ強力なテクニックです。
確認問題

個数問題は「正しいものはいくつあるか」という問い方のみであり、「妥当でないものはいくつあるか」という問い方はされない。

○ 正しい × 誤り
解説
個数問題には「正しいものの数」を問う形式と「妥当でない(誤っている)ものの数」を問う形式の両方があります。どちらを数えるのかを設問文で正確に確認しないと、全肢を正しく判定しても最後の集計で逆の答えを出してしまいます。
確認問題

個数問題で1肢だけどうしても判定できない場合でも、その1問に時間を集中投下して必ず確定させるべきである。

○ 正しい × 誤り
解説
1問は4点であり、そこに固執して他の取れる問題を落とすのは得策ではありません。一定時間考えて確定できなければ、残り4肢の判定から自然なほうを暫定でマークし、次へ進むのが本番での賢明な立ち回りです。時間が余れば戻ればよいのです。

法令の正確な理解が前提|条文・判例で迷わないために

個数問題で安定して得点するには、解法テクニック以前に、条文と判例の正確な理解が欠かせません。微妙な肢は、まさにこの正確さを試すために作られているからです。たとえば行政手続法では、申請に対する処分と届出の区別がよく狙われます。

届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
― 行政手続法 第37条

このように、届出は形式上の要件を満たして到達した時点で手続上の義務が完了します。「行政庁の受理や応答を要する」という肢が出れば、それは誤りです。こうした条文の文言レベルの理解が、個数問題の1肢を正確に判定する力になります。

判例についても同様です。結論だけでなく、その理由づけや判断基準まで押さえておかないと、「結論は正しいが理由づけがずれている」タイプの肢に対応できません。条文と判例は、個数問題対策の土台として、普段から正確に積み上げておきましょう。

本番での時間配分と立ち回り

個数問題は、解法だけでなく時間管理の面でも特別な配慮が必要です。全肢を判定する都合上、通常問題より解答に時間がかかるからです。本番でのペース配分を考えておきましょう。

個数問題には通常問題より時間がかかると織り込む

行政書士試験は3時間で60問を解きます。択一40問、多肢選択3問、記述3問、一般知識という構成のなかで、択一1問にかけられる時間は限られています。個数問題は5肢すべてを丁寧に判定するため、通常問題の1.5倍程度の時間がかかると見積もっておくとよいでしょう。

この「時間がかかる」という前提を持っておくと、本番で個数問題に出会ったときに焦りません。時間がかかること自体は想定内だからです。問題は、想定していないと「なぜこんなに時間が……」と動揺し、判定が雑になることです。

解く順番でコントロールする

個数問題に出会ったら、その場で無理に完璧を目指すより、全肢を一周判定して△が残ったら一旦マークして次へ進むという選択肢を持っておきましょう。一周してすぐ解ける問題を先に確保し、迷う個数問題は後回しにする。これで時間切れによる取りこぼしを防げます。

試験全体の解答順序や時間配分の組み立て方については、5肢択一式の解法テクニック完全ガイドで体系的に整理しています。個数問題は択一全体の戦略のなかに位置づけて考えるのが効果的です。

見直し時間に個数問題を優先的に回す

時間が余って見直しをするなら、まず個数問題から見直すのが合理的です。理由は単純で、個数問題は1肢のミスが致命傷になるため、見直しによる修正効果が最も大きいからです。通常問題は消去法でカバーできても、個数問題はカバーが効かない分、丁寧な見直しが効きます。

見直しのときは、最初に解いたときの記号(○×△)が残っているはずなので、それを手がかりに、特に△をつけた肢と、設問の「数える対象」を重点的に再確認します。一度確定したと思った肢でも、頭が冷えた状態で読み直すと別の解釈に気づくことがあります。ただし、見直しで判定を変えるのは、明確な根拠を思い出したときに限るのが鉄則です。根拠のない迷いで答えを変えると、かえって正解を誤答に書き換えてしまう典型的な失敗につながります。

やりがちなミスと防止チェックリスト

個数問題で起こりやすいミスと、その防止策をチェックリストにまとめます。本番直前にこのリストを見返すだけでも、取りこぼしを減らせます。

  • 設問文の「正しいもの/妥当でないもの」を確認したか(数える対象の取り違え防止)
  • 全5肢を独立して判定したか(消去法で済ませようとしていないか)
  • 各肢の脇に○×△を書き込んだか(記憶だけで処理していないか)
  • △の肢を放置せず、確定を試みたか
  • ×と判定した肢の「誤りの根拠」を言語化できたか
  • 最後にもう一度、設問文と集計結果を照合したか
  • 1問に時間をかけすぎていないか(割り切って次に進めたか)
  • マークシートの個数選択肢と、自分の数えた数が一致しているか

特に多いのが、全肢を正確に判定したのに、最後の集計や設問の読み違いで失点するケースです。これは知識ではなく手続きのミスであり、本来取れたはずの1問を失うのは非常にもったいない。チェックリストで防げるミスは、確実に防ぎましょう。

よくある質問(FAQ)

個数問題について受験生からよく寄せられる疑問に答えます。

個数問題は捨ててもよいですか

完全に捨てるのは得策ではありません。出題数は年によって変動し、複数問出ることもあるため、すべて捨てると無視できない失点になります。ただし、本番で1問に時間をかけすぎないという意味での「割り切り」は必要です。全肢を一周判定して確定できなければ暫定でマークし、先へ進む。捨てるのではなく、深追いしないという姿勢が現実的です。

個数問題が苦手でも合格できますか

できます。行政書士試験は択一40問のうち個数問題は一部であり、合格基準は全体で180点以上です。個数問題で多少取りこぼしても、他の問題で着実に得点すれば合格圏に届きます。とはいえ、個数問題対策を通じて鍛える「全肢判定の精度」は、通常の択一問題の正答率も底上げするため、取り組む価値は十分にあります。

何問解けば個数問題に慣れますか

問題数そのものより、解き方の質が重要です。1問1問を「全5肢について○×とその理由を言う」という解き方で取り組めば、通常の過去問演習がそのまま個数問題のトレーニングになります。過去問を回す際に、正解の肢だけで満足しない習慣をつけることが、慣れへの最短ルートです。

個数問題の対策はいつから始めるべきですか

基礎知識が一通り入ってからが効果的です。土台となる知識が曖昧な段階で全肢判定を求めても、△ばかりで練習になりません。インプットがある程度進み、過去問演習に入る段階で、全肢判定の習慣を組み込むのがよいでしょう。直前期には、誤り肢の典型パターンとチェックリストを見返して、本番での立ち回りを確認します。

まとめ

行政書士試験の個数問題は、消去法が使えず、1肢のミスが致命傷になるという構造から、多くの受験生が苦手とする出題形式です。しかしその難しさの本質は、5肢すべてを正確に判定する精度が問われる点にあり、これは裏を返せば、正確な知識と正しい解法を身につけた人ほど安定して得点できることを意味します。

押さえるべきポイントを整理します。

  • 個数問題は消去法が一切使えないため、5肢全肢を独立して判定する
  • 各肢の脇に○×△を書き込み、設問の「数える対象」を最初に固定する
  • 迷う肢は原則に立ち返り、それでも確定できなければ割り切って先へ進む
  • 普段から過去問を全肢判定で解き、誤り肢の典型パターンを押さえる
  • 主体・数字・期間・義務の有無は誤り肢の頻出ポイント、反射的にチェックする
  • 本番では時間がかかる前提で立ち回り、見直しは個数問題を優先する

個数問題は、苦手にする人が多いからこそ、攻略できれば確実に差をつけられる得点源です。今日から過去問演習で全肢判定の習慣をつけ、本番では落ち着いて手順どおりに解く。この積み重ねが、合否を分ける180点ラインを超える力になります。

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